電子帳簿保存法の義務化は2024年1月から!対象書類・猶予期間も解説

電子帳簿保存法の義務化が近づいてきました。電子取引においては、授受したデータは電子保存することが原則義務となります。そのため、これから準備を行うという方がいらっしゃるかもしれません。

準備が必要ということで面倒に感じるかもしれませんが、電子保存は紙保存と比較して様々なメリットがあります。対象書類を探すときの業務効率化がその代表例。

従来のような紙保存ですと「1週間前の取引先との書類を確認したい」というとき、保管場所まで行って探す必要があります。しかし電子保存であれば、その必要はありません。パソコンを使うことで、その場で検索・表示・プリントアウトできるからです。移動時間や探す手間を省略できます。電子保存が義務化されることを機に、業務効率化や生産性の向上を図るのがおすすめです。

そこでこの記事では、電子帳簿保存法の義務化・概要・保存区分・対応するために必要なことなどを解説します。これから対応する方や、準備の途中段階の方はぜひご参考ください。

電子帳簿保存法の義務化は2024年1月から!

電子帳簿保存法は、2024年1月より義務化がスタートします。法改正において電子取引でやり取りしたデータは、そのまま保存することが義務づけられます。解説は以下のとおりです。

申告所得税・法人税に関して帳簿・書類を保存する義務のある方が、注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などに相当する電子データをやりとりした場合には、その電子データ(電子取引データ)を保存しなければなりません。

引用元:国税庁|電子取引データの保存方法をご確認ください【令和6年1⽉以降⽤】

そのため、例えばメールで受けたデータを印刷してファイルに綴じているのであれば、義務化までに対応しなければなりません。

ただし電子保存が義務化されるのは、以下のように電子取引に限ります。

電子帳簿保存法の保存区分 保存方法
電子帳簿等保存
【希望者のみ】
ご自身で最初から一貫してパソコン等で作成している帳簿や国税関係書類は、プリントアウトして保存するのではなく、電子データのまま保存ができます。
スキャナ保存
【希望者のみ】
決算関係書類を除く国税関係書類(取引先から受領した紙の領収書・請求書等)は、その書類自体を保存する代わりに、スマホやスキャナで読み取った電子データを保存することができます。
電子取引データ保存
【法人・個人事業者は対応が必要です】
申告所得税・法人税に関して帳簿・書類の保存義務が課されている者は、注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などに相当する電子データをやりとりした場合には、その電子データ(電子取引データ)を保存しなければなりません。

引用元:国税庁|電子帳簿保存法の内容が改正されました~令和5年度税制改正による電子帳簿保存制度の見直しの概要~(2023年8月26日時点)

上記資料を見ますと、電子帳簿等保存・スキャナ保存は『希望者のみ』と書かれていますよね。この時点で電子保存が義務ではないことがわかります。

そして肝心の電子取引データ保存なのですが、『電子データをやりとりした場合には、その電子データ(電子取引データ)を保存しなければなりません』と明記されています。つまり『紙で受け取った文書の電子保存(スキャナ保存)は義務ではない』が、『電子取引データで受け取った取引情報の電子保存は義務になる』ということです。

具体例を挙げますと、例えば飲食店などで手にした領収書は電子保存が義務ではありませんが、Amazonなどで手にした領収書は電子保存が義務付けられるイメージです。インターネットやメールなどを通じて取得した書類(PDFなど)は、電子保存が義務であることを覚えておきましょう。電子帳簿保存法の対象書類については後述します。

なお、もしも電子保存をするのであればDenHoをご利用ください。DenHoであれば電子帳簿保存法に問題なく対応できます。ぜひご利用ください。

電子帳簿保存法の対象書類や猶予期間を解説

電子帳簿保存法について以下4点を解説します。

  • そもそも電子帳簿保存法とは
  • 電子帳簿保存法は何を目的とした法律なの?
  • 猶予(宥恕)期間は?
  • 対象書類は?

そもそも電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは、国税関係帳簿や書類などの電子保存を認める法律のことです。1988年に制定され改正を重ねてきた歴史があります。電子帳簿保存法については、以下のように解説されています。

各税法で原則紙での保存が義務づけられている帳簿書類について一定の要件を満たした上で電磁的記録(電子データ)による保存を可能とすること及び電子的に授受した取引情報の保存義務等を定めた法律です。

引用元:国税庁|電子帳簿保存法が改正されました|1ページ目(2023年8月16日時点)

上記のとおり、保存の義務があった書類は、電子保存が認可されました。保存には、様々なパターンがあり保存区分を大きく3つに分類しています。

区分された内容は、以下の表のとおりです。

区分 保存内容
①電子帳簿等保存 電子的に作成した帳簿・書類をデータのまま保存
②スキャナ保存 紙で受領・作成した書類を画像データで保存
③電子取引 電子的に授受した取引情報をデータで保存

引用元:国税庁|電子帳簿保存法の内容が改正されました~令和5年度税制改正による電子帳簿保存制度の見直しの概要~(2023年8月26日時点)

保存区分は3つに分けられ要件があります。帳簿や書類のデータがどの区分であるのかを把握して対応できるようにしましょう。詳細な要件の内容については、後ほど解説します。

電子帳簿保存法は何を目的とした法律なの?

電子帳簿保存法は、ペーパーレス化や生産性向上の推進を目的とした法律です。制度ができた経緯を、国税庁は次のように解説しています。

高度情報化・ペーパーレス化が進展する中で、会計処理の分野でもコンピュータを使用した帳簿書類の作成が普及してきており、経済界をはじめとする関係各界から、帳簿書類の電磁的記録(いわゆる電子データ)及びマイクロフィルムによる保存の容認について、かねてから強い要望が寄せられていました。
 政府においては、こうした要望を受けとめ、規制緩和推進計画等の閣議決定、緊急経済対策、市場開放問題苦情処理対策本部決定等において、平成9年度末までに、帳簿書類の電磁的記録等による保存を容認するための措置を講ずることを決定していました。
 このような関係各界からの要望や政府全体としての取組を踏まえ、平成10年度税制改正の一環として、適正公平な課税を確保しつつ納税者等の帳簿保存に係る負担軽減を図る等の観点から、国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存制度等の創設等が行われました。

引用元:国税庁|制度創設等の背景(2023年8月16日時点)

高度情報化社会となりパソコンで業務を行うのが当たり前の時代です。『いつまでも紙による保存ではなく時代に合わせて変化させるべき』という強い要望が当時からありました。保存業務における負担軽減を図る考えは、企業のかねてからの要望でした。そのこともあり、電子帳簿保存法を制定したのかもしれません。

猶予(宥恕)期間は?

2022年の法改正により、猶予(宥恕)措置は2022年1月1日から2023年12月31日までの2年間です。解説は以下のとおりです。

具体的には、電子取引の取引情報に係る電子データの保存に関する当面の宥恕措置として、令和4年1月1日から令和5年 12 月 31 日までの間に申告所得税及び法人税に係る保存義務者が行う電子取引につき、その電子取引の取引情報に係る電子データを保存時に満たすべき要件に従って保存をすることができなかったことについて、納税地等の所轄税務署長がやむを得ない事情があると認め、かつ、その保存義務者が税務調査等の際にその電子データの出力書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限ります。)の提示等の求めに応じることができるようにしている場合には、その保存時に満たすべき要件にかかわらず、その電子データの保存をすることができることとする経過措置が講じられたものです。

引用元:国税庁|電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】令和5年6月|(2023年8月16日時点)

猶予期間内においては、受けたデータを紙で出力して保存できます。税務職員の求めに対して、提示できれば問題はありませんでした。

ちなみにですが、宥恕と猶予の違いは以下の通りです。

寛大な心で罪を許すこと。「御宥恕を請う」「先方の過失を宥恕する」

引用元:goo辞書|宥恕(2023年8月16日時点)

『宥恕』の意味は寛大な心で過去を許すことです。宥恕期間においては、寛大な措置として紙の保存が可能なことを指します。

1 ぐずぐず引き延ばして、決定・実行しないこと。「もはや一刻の猶予も許されない」「猶予している場合ではない」
2 実行の日時を延ばすこと。「返済を一か月間猶予する」「執行猶予」

引用元:goo辞書|猶予(2023年8月16日時点)

一方の『猶予』の意味は実行する時期を先送りにして余裕を与えることです。つまりは、余裕をもって準備してくださいというメッセージが込められています。この猶予期間を活かして、電子保存の準備を進めていきましょう。

対象書類は?

電子帳簿保存法には対象書類が国税関係帳簿と国税関係書類(電子取引含む)の2種類あります。それぞれの具体例は以下のとおりです。

(注1)「帳簿」には、例えば総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあります。
(注2)「書類」には、例えば棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などがあります。

引用元:国税庁|No.5930 帳簿書類等の保存期間(2023年8月16日時点)

会計ソフトで作成した帳簿・書類が対象になります。またパソコンで作成した書類を紙で渡しても控えが対象になります。

決算関係書類は、貸借対照表や損益計算書など決算の時に計算・整理されたものが対象です。契約書などは取引関係書類に分類されるのですが、これは以下2種類に分類されます。

書類 重要書類 一般書類
区分 資金や物の流れに直結・連動する書類 資金や物の流れに直結・連動しない書類
書類の例 契約書、納品書、請求書、領収書など 見積書、注文書、検収書など

引用元:国税庁|はじめませんか、書類の電子スキャナ保存【令和6年1⽉以降用】(2023年8月16日時点)

資金や物の流れで判断して2つに分類されます。

例えば注文書は商品やサービスのかかる金額を取引相手に注文するものであり、注文書だけでは支払いをしません。つまり金銭・商品はまったく動いていないということ。そのため、注文書は重要度が低くなり、一般書類に該当します。対象書類を的確に把握して備えていきましょう。

電子帳簿保存法の2023年改正内容などを解説

直近の改正内容について以下の2点を解説します。

  • 電子帳簿保存法の2022年改正内容を解説
  • 電子帳簿保存法は2023年にも改正されました

電子帳簿保存法の2022年改正内容を解説

2022年の改正にて、電子帳簿保存法の各要件は大きく緩和されました。内容は次のとおりです。

①電子帳簿等保存に関する改正事項
1. 税務署長の事前承認制度が廃止
2. 優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の整備
3. 最低限の要件を満たす電子帳簿についても、電磁気的記録による保存が可能

②スキャナ保存に関する改正事項
1. 税務署長の事前承認制度が廃止
2. タイムスタンプ要件、検索要件等についての要件緩和
3. 適正事務処理要件の廃止
4. スキャナ保存された電磁的記録に関連した不正があった場合の重加算税の加重措置の整備

③電子取引(区分③)に関する改正事項
1. タイムスタンプ要件及び検索要件についての要件緩和
2. 適正な保存を担保する措置としての見直し

参考:国税庁|電子帳簿保存法が改正されました(2023年8月16日時点)

この改正では事前承認制度といったものが廃止となり、タイムスタンプの要件を緩和するなど抜本的な見直しを実施しています。

その中でも一番のポイントは、電子取引でのデータ保存義務化です。大きな影響を受ける企業が少なからず存在しているとみて良いでしょう。

電子帳簿保存法は2023年にも改正されました

2023年税制改正に伴い再度、改正されました。その内容については以下のとおりです。

①電子帳簿保存に関する主な改正内容
1. 「優良な電子帳簿保存に係る過少申告加算税の軽減措置」の対象となる帳簿の見直し

②スキャナ保存に関する主な改正事項
1) 解像度・階調・大きさに関する情報の保存が不要
2) 入力者等情報の確認要件不要
3) 帳簿との相互関連性の確保が必要な書類が重要書類に限定

③電子取引データ保存に関する主な改正事項
1) 検索機能の全てを不要とする措置の対象者の見直し
2) 令和4年度税制改正で措置された「宥恕措置」は、適用限度をもって廃止
3) 新たな猶予措置の整備

参考:国税庁|電子帳簿保存法の内容が改正されました~令和5年度税制改正による電子帳簿保存制度の見直しの概要~(2023年8月16日時点)

『優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置』の対象となる帳簿の範囲を見直しています。改正前は、すべての青色関係帳簿が対象でした。しかし、改正後は関係帳簿を限定しました。

スキャナ保存では、解像度・階調・大きさの情報の保存が不要になりました。しかしその一方で、解像度200dpi以上や階調(原則カラー画像)などの要件は、継続しています。

また帳簿と相互関連性を確認すべき書類が『重要書類』に限定されました。そのため、一般書類は相互関連性の確保が不要です。重要書類と一般書類の具体例は先述していますので、ご参考ください。

以上のように前年の改正内容からさらに緩和されました。そのようにすることで対応できる企業の拡大を図ったのかもしれません。

電子取引など!電子帳簿保存法の保存要件は3つ

以下の3つの保存区分における要件について具体的に解説します。

  • 電子帳簿等保存の要件
  • スキャナ保存の要件
  • 電子取引データ保存の要件

電子帳簿等保存の要件

電子帳簿などを保存する際は、要件がありますので遵守しましょう。要件は、以下の表を参照ください。

要件 優良帳簿 優良以外の帳簿 書類
電子計算機処理システムの概要書等の備付け
見読可能装置の備付け等
ダウンロードの求めに応じること △※2 〇※3 △※4
COMの作成過程等に関する書類の備付け      
COMの見読可能装置の備付け等      
電磁的記録の訂正・削除・追加の事実及び内容を確認することができる電子計算機処理システムの使用    
帳簿間での記録事項の相互関連性の確保    
検索機能の確保 △※2    
索引簿の備付け      
COMへのインデックスの出力      
当初3年間における電磁的記録の並行保存又はCOMの記録事項の検索機能の確保      

引用元:国税庁|電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】令和5年6月|8ページ目(2023年8月16日時点)

上表に記載されている※の詳細は以下の通り。

※2 「ダウンロードの求め」に応じる場合には、検索機能のうち、範囲を指定して条件を設定できる機能及び二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定できる機能は不要となる。
※3 優良帳簿の要件を全て満たしている場合には「ダウンロードの求めに応じること」の要件は不要となる。
※4 検索機能の確保に相当する要件を満たしている場合には「ダウンロードの求めに応じること」の要件は不要となる。

引用元:国税庁|電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】令和5年6月|8ページ目(2023年8月16日時点)

優良な電子帳簿とは、以下4つの条件をクリアした帳簿のことです。

  • 訂正などの履歴が残ること
  • 帳簿間で相互関連性があること
  • 検索機能があること
  • モニター、説明書などを備え付けること

さらには、過少申告加算税の軽減措置を受けられます。解説は以下のとおりです。

一定の帳簿を優良な電子帳簿(上記ルールのうち「優良」欄の要件をすべて満たしている帳簿)として保存している場合には、後からその電子帳 簿に関連する過少申告が判明しても過少申告加算税が5%軽減される措置を受けることができます(あらかじめ届出書を提出している必要がありま す。)。
対象となる帳簿の範囲や「優良」欄の要件を確認するためのフロー図などを国税庁ホームページに掲載しておりますのでご確認ください。

引用元:国税庁|国税庁|はじめませんか、帳簿・書類のデータ保存(電子帳簿等保存)【令和6年1⽉以降⽤】 (2023年8月16日時点)

上記のとおり、その年中の仕訳帳と総勘定元帳を優良帳簿としてクリアすれば、65万円の青色申告特別控除の適用を受けられます。

その一方で訂正削除履歴が残らなくても、以下最低要件をクリアすれば電子保存は一応可能です。

• システムの説明書やディスプレイ等を備え付けていること
• 税務職員からのデータの「ダウンロードの求め」に応じることができること
※ データで保存できる帳簿は、正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)に従って作成されている帳簿に限ります。

引用元:国税庁|はじめませんか、帳簿・書類のデータ保存(電子帳簿等保存)【令和6年1⽉以降⽤】 (2023年8月16日時点)

システムの説明書は、システムトラブルが発生した時や困ったときに活用するものであり、備え付ける必要があります。さらにもう1つの条件である税務職員からの求めに応じられれば、クリアしたことになります。

条件はあるものの、それほどハードルは高くないと言えるでしょう。

スキャナ保存の要件

スキャナ保存をするためには様々な要件がありますので、内容を確認して遵守しましょう。要件は以下のとおりです。

要件 重要書類 一般書類 過去分重要書類
入力期間の制限(書類の受領等後又は業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに入力)    
一定水準以上の解像度(200dpi 以上)による読み取り
カラー画像による読み取り(赤・緑・青それぞれ 256階調(約 1677 万色)以上) ※1
タイムスタンプの付与 〇※2 〇※3 〇※3
ヴァージョン管理(訂正又は削除の事実及び内容の確認等)
スキャン文書と帳簿との相互関連性の保持  
見読可能装置(14 インチ以上のカラーディスプレイ、4ポイント文字の認識等)の備付け ※1
整然・明瞭出力
電子計算機処理システムの開発関係書類等の備付け
検索機能の確保
その他     ※4:※5

引用元:国税庁|電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】令和5年6月|8ページ目(2023年8月16日時点)

先ほど重要書類(領収書など)と一般書類(注文書など)について触れましたが、それぞれ要件が変わりますのでご注意ください。なお、上表の注釈詳細は以下の通り。

※1 一般書類の場合、カラー画像ではなくグレースケールでの保存可。
※2 入力事項を規則第2条第6項第1号イ又はロに掲げる方法により当該国税関係書類に係る記録事項を入力したことを確認することができる場合には、その確認をもってタイムスタンプの付与に代えることができる。
※3 当該国税関係書類に係る記録事項を入力したことを確認することができる場合には、タイムスタンプの付与に代えることができる。
※4 過去分重要書類については当該電磁的記録の保存に併せて、当該電磁的記録の作成及び保存に関する事務の手続を明らかにした書類(当該事務の責任者が定められているものに限られます。)の備付けが必要。
※5 過去分重要書類については所轄税務署長等宛に適用届出書の提出が必要。

引用元:国税庁|電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】令和5年6月|8ページ目(2023年8月16日時点)

画像の読み込みは原則カラー画像ですが、一般書類についてはグレースケール(白黒)の保存が認められます。

ちなみにですが、dpiとは解像度の単位のことです。1インチに何個ドットがあるかを示します。例えば、1インチに20個のドットがあれば20dpiということになります。20dpiですと解像度が荒いため、文字などを表記するには不鮮明です。スキャナ機器を導入する際は、解像度にご注意ください。

電子取引データ保存の要件

電子取引データ保存では、真実性の確保と可視性の確保を遵守しましょう。改ざん防止と検索を容易にするためです。要件については、以下のとおりです。

電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備付け(自社開発のプログラムを使用する場合に限ります。)
見読可能装置の備付け等
検索機能の確保

次のいずれかの措置を行う(規4①)
一 タイムスタンプが付された後の授受
二 速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付す
※ 括弧書の取扱いは、取引情報の授受から当該記録事項にタイムスタンプを付すまでの各事務の処理に関する規程を定めている場合に限る。
三 データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用して、授受及び保存を行う
四 訂正削除の防止に関する事務処理規程を策定、運用、備付け

引用元:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】令和5年6月|9ページ目(2023年8月16日時点)

書類の備え付けなどを可視性の確保と言います。検索機能の確保では、様々な方法があります。システムを使って検索機能を設定することが可能です。索引簿の作成が可能なソフトでより簡単に検索する方法もあります。簡易的な方法を次のように解説しています。

検索要件を満たすための簡易な方法とは?
専⽤のシステムを導入していなくても、以下のいずれかの方法で対応することができます。

①表計算ソフト等で索引簿を作成する方法
表計算ソフト等で索引簿を作成、表計算ソフト等の機能を使って検索する方法です。 索引簿のサンプルは、国税庁HPに掲載しています。

②規則的なファイル名を付す方法
データのファイル名に規則性をもって「日付・金額・取引先」を入力し、特定のフォルダに集約しておくことで、 フォルダの検索機能が活⽤できるようにする方法です。

引用元:国税庁|電子取引データの保存方法をご確認ください【令和6年1⽉以降⽤】|1ページ目(2023年8月16日時点)

索引簿の作成やExcelなどの検索機能を使用して検索する方法とファイル名に規則性を持たせる方法があります。

ファイル名に規則性を持たせる方法では簡単に検索できるようにしなければなりません。『日付_金額_取引先名』といったように必要情報が記載されたファイル名にしておく必要があります。

また改ざん防止のための措置とは、帳簿・書類に対する正当性の証明を指します。上記資料でいえば、一から四のいずれかを確保しなければなりません。これを真実性の確保と言います。真実性の確保では、簡単にデータ改ざんができないような措置を取らなければなりません。

真実性の確保と可視性の確保がポイントになりますので、よく覚えておきましょう。

電子帳簿保存法に対応するために必要なこと

電子帳簿保存法に対応するために必要なことは、以下の3点です。

  • 現在の書類保存状況を確認する
  • 保存管理システムを導入する
  • 業務フローを見直す

現在の書類保存状況を確認する

現在の書類保存状況を確認しましょう。何を電子保存および紙保存しているかを把握し、本当にシステムを導入すべきか確認するためです。現状を把握するには、以下の点をポイントに確認しましょう。

確認事項 確認内容
取引書類 書類はどのような取引書類があるのか
授受方法 どのような方法で受け取っているか(PDF・クラウド・FAXなど)
保存方法 受け取ったものはどのようにしてどこに保存しているか
ボリューム 月間・年間でどれほど受け取っているか

紙保存のボリュームが多く、業務をひっ迫していることを洗い出すことが必要です。導入することでどれほどの効果が出るのかを検証しましょう。導入費以上のコストカットを見込めるのであれば、今すぐに導入することを強くおすすめいたします。

保存管理システムを導入する

電子帳簿保存法に対応したシステムの導入を行いましょう。保存区分ごとの要件は細かいため、独自で対応するのは難しいからです。

電子帳簿保存法に対応したシステムを導入するには、『JIIMA認証※』がポイントになります。

※JIIMA認証とは、対象のソフトやシステムが電子帳簿保存法の要件を満たしていると、JIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)に認められた証のこと。

JIIMA認証には、以下の5つの認証があります。

  • 電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証
  • 電子帳簿ソフト法的要件認証
  • 電子取引ソフト法的要件認証
  • 電子書類ソフト法的要件認証
  • アーカイブ用光ディスク認証

電子帳簿保存法における各保存区分の要件を、あなたの代わりに、しかも正確に判断してくれます。これにより、導入した企業は個別にチェックをする必要がありません。

仮にJIIMA認証されていないシステムを導入しますと、電子帳簿保存法の要件を本当にクリアしているのかを判断できませんよね。その結果、導入予定のシステムの機能と電子帳簿保存法の要件を、1つずつ自分で照らし合わせなければいけません。

上述しましたように電子帳簿保存法の区分は3つあり、要件も細かく分かれています。自分ですべてを確認するのは、かなり骨が折れますよね。そのような時間的余裕がある方は、少ないのではないでしょうか。そのことを考えますとJIIMA認証されているシステムを導入するのが手軽であり、やはりおすすめです。

業務フローを見直す

業務フローを見直しましょう。紙保存と電子保存とでは業務フローが異なるため、そのままではうまくフィットせず、業務に支障をきたす可能性があるからです。

具体例として、見積書をメールで受けたときで比較してみます。

紙の保存 電子保存
①受信したデータを印刷 ①受信したデータをそのまま保存
②ファイルに綴じる ②『日付_金額_取引先』のファイル名に変更してフォルダに格納
③キャビネットにファイルをしまう

上記のように比較してみると、同じ『保存』という行為でも、そのために実行している業務内容がまったく異なります。それにも関わらず、『電子保存』という新たな作業を既存フローにそのまま組み込んでしまっては、無理が生じてしまうのは明らかです。電子保存を導入する前に、業務フローをイチから見直すことを強くおすすめします。

また、せっかく導入するのであれば、最大限の効率化を図るべきです。既存の業務フローと新たな業務フローの変更点に着目し、どこを見直し、どのように社員に周知するかが大切です。そのようにすることで、単に導入した場合に比べて業務の効率化を最大限に実現できるでしょう。

まとめ|電子帳簿保存法で電子保存が義務化!

ここまで電子帳簿保存法の解説をしてきました。電子保存を行うことで様々なメリットが生じるのは確かです。働く社員が業務にひっ迫され、本来業務をできずにいるのなら、やはりシステムを導入するのが良いでしょう。

もちろんその際は電子帳簿保存法に対応したシステムを導入するのがおすすめです。安心して業務に取り組めることでしょう。

もしも保存管理システムの導入を検討しているのであれば、DenHoをご利用ください。電子帳簿保存法に対応でき、迅速な保存業務を実現可能です。ぜひご相談ください。

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