身分証明書のOCR

身分証明書のOCRライブラリを自社のシステムに組み込むときに押さえておきたいポイント

申込受付業務において、本人確認のための身分証明書の提示を求めることがあります。

かつては、対面で直接確認したり、身分証明書のコピーを郵送して目視でオペレーターが確認することも多かったのですが、今日においてはスマートフォンなどから写真を送ることで本人確認業務のデジタル化が急速に進むようになりました。

さらに、スマートフォンから提出された身分証明書の写真をAI-OCRにより、記載事項を読み取ることで本人から申告されている氏名や住所の情報が身分証明書に記載の情報と一致するかのチェックを自動化することも可能になりました。そのため今日では身分証明書OCRを多くの企業の申し込み受付業務にて見かけるようになりました。

自宅で好きな時間に申し込みをできることで顧客にとっての利便性向上に大きく貢献することはもちろん、業務をさばく企業側にとっても、自動化による人件費のコスト削減と、処理のリードタイム圧縮につながるメリットもあり、今後も身分証明書のOCRによる読み取り機能は採用が拡大していくことが見込まれます。

身分証明書のOCR機能を自社の申込受付システムに組み込むときに考慮したいポイント

身分証明書のOCR機能を自社の申込受付システムに組み込むときに、ゼロからOCR機能を開発するよりも、一般的には既製のOCRのライブラリやクラウドのAPIサービスを採用することのほうが多いかと思われます。

既製のOCR製品を身分証明書読み取りに採用するときには、確認しておきたいポイントがいくつかあります。

身分証明書の種類はどこまで対応すべきか

一つ目はOCRで読み取ることが可能な身分証明書の種類です。

OCRで読み取り可能な身分証明書の種類は、本人確認書類として受付可能な種類の数に直結します。これは、サービスの利便性に直結するとも言えます。

もちろん、受付可能な本人確認書類の種類が多いほうが、顧客にとっても利便性は高く満足度が向上します。

しかし、OCRで読み取る対象の書類の種類が多くなるほど、対応可能なOCR製品は限られることも事実です。

例えば、運転免許証やマイナンバーなどは、全国一律でフォーマットが統一されているため対応可能なOCR製品の選択肢は数多くありますが、自治体や健保組合ごとにフォーマットが異なる健康保険証や事業者ごとにフォーマットの異なる公共料金の領収書などは、OCRの読み取り難易度が上がるため、対応するOCR製品は限られてきます。

申込受付システムへOCR製品を組み込む際には、どこまで対象となる身分証明書の種類を広げるかが最初に悩むことになるでしょう。

対象となる身分証明書の種類が増えればコストにも影響します。しかしOCR製品を組み込み実装後、あとからメーカーが対応していない書類の種類を拡張することは困難です。はじめから対応種類の拡張性の高いOCR製品を選定し、最初は無理にたくさんの種類を扱わず、様子を見ながら種類を拡張できる仕組みを採用することを検討されるのが良いでしょう。

顧客視点のユーザビリティを配慮したUIの実装が可能か

OCR製品の選定というと、読み取り精度の高さにばかり目が行きがちであることが多く、そのほかの大事な点を見落としがちです。

全てのITサービス開発において言えることですが、最も大事なことは、利用する顧客の視点に立ち、利用者の使い勝手に正面から向き合うことです。どんなに高精度で読み取れるOCR機能であっても、利用者が使いにくい、使い方に迷ってしまうシステムを構築していたら、システム利用時の離脱率を高めてしまい、本来の目的を達成できません。

スマートホン向けにOCR機能を実装するということは、身分証明書をカメラで撮影して画像ファイルを生成する過程が必要となります。

スマートフォンのカメラ機能を利用するには、ネイティブアプリで開発する方法、WEBシステムとして開発する方法の2通りがあります。ネイティブアプリ、WEBアプリのそれぞれにはメリット・デメリットがあり、トレードオフを熟慮しなければなりません。

ネイティブアプリで開発する場合

メリット

デバイスのカメラ機能をOSのAPI経由で利用できるため、申込みの情報入力の流れを途切れさせることなく、アプリ内で完結させることができます。(カメラで撮影後に元の申込画面へ遷移させることができるため、ユーザーが迷うことはなくなります。)

デメリット

アプリをストアからインストールさせることが必要です。アプリをインストールさせることは思いのほかハードルが高く、申込のコンバージョン率の障害になる場合があります。
また、アプリとして開発する場合、既存のWEBサイト内に構築済みの既存システムと分断されることも多く、管理コストや製造コストが大きく膨らむ場合があります。

WEBシステムとして構築する場合

メリット

既存のWEBサイトの延長で申込画面を開発しやしく、ユーザーの導線として違和感のない画面遷移が可能になります。

既存のWEBシステムへの組み込みむことは開発ハードルが高くないため、コストを抑えて開発することが可能な場合が多いと言えます。

デメリット

一般的にスマートフォンのカメラ機能をWEBから利用する場合、カメラアプリまたは写真アプリへ遷移してしまうため、申し込み入力のフローが一度途切れてしまいます。申し込み画面を見失ってしまうことが離脱率を高めてコンバージョンに影響を及ぼします。

スマートOCRの開発方法の提案

開発コスト・保守コストをかけず、且つユーザーの導線を途切れさせない良いとこどりの方法として、スマートOCRではWEBページ内にカメラ機能を埋め込む方法をご提案します。

カメラのプレビュー画面をWEBページ内に埋め込み、WEBシステム内にカメラアプリが組み込まれているかのようなつくりとなっており、WEBページ内でカメラ撮影・確認を完結することができます。これにより、ユーザーは画面を見失うことなく操作が可能です。

実は、この手法を採用しているWEBシステムは、まだ少数といえます。理由は独特なノウハウを必要とするためです。

iOSにおいては実装は難しくないのですが、Androidにおいては、HTMLに埋め込むカメラのストリーミング画像のピンボケを調整する特殊な処理が求められます。

これはデバイス固有の対応が必要になるため、スマートフォンの機種ごとの処理を広く網羅し、膨大な量の実機テストを必要とします。

スマートOCRにおいては既にこの機能の開発実績があり、国税庁様の確定申告書作成コーナーにおける源泉徴収票OCR読み取りなど、大規模な採用事例もございます。

対面受付で読み取りをスタッフが行うケースではネイティブアプリで構築しても良いでしょうが、顧客が直接申し込みの入力をスマートフォンの操作で行う場合は、前述のWEBページにカメラ機能を埋め込む手法をお勧めしています。もちろん、スマートOCRではいずれの方法においても対応可能です。

スマートOCRの身分証明書パック

スマートOCRでは、身分証明書のOCR機能の組み込みを容易にするパッケージのラインナップが用意されています。
金融機関をはじめとした多くの企業にて実績がり、APIの提供やフロントエンドのUI開発まで広範囲なサポートが可能です。
身分証明書のOCR機能をご検討の際は、お気軽にご相談ください。


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