電子帳簿保存法改正で見積書の保存要件が変化!電子取引時の保管方法を解説

「電子帳簿保存法が改正されたけど、見積書の保存要件はどうなるのかな?」
「見積書の電子データ保存における正しい方法を知りたい」

事業者の方の中には、上記のように考えていることがあるかもしれません。電子帳簿保存法は2022年および令和5年(2023年)税制改正に伴い、内容が改正されています。ひょっとしますと人によっては、改正内容に沿って要件や方法を覚えることを面倒に感じるかもしれません。

しかし、電子データ保存は事業者にとってメリットもあります。保存業務の効率化を図れるといったことがメリットの代表例といえます。そのため覚えておいて損はありません。

そこでこの記事では、電子帳簿保存法の施行における見積書の電子データ保存の対応方法やメリットなどを解説します。電子帳簿保存法への準備がまだお済みでない事業者の方は、ぜひ読んでみてください。

見積書も電子帳簿保存法の対象書類!

まずは電子帳簿損法に関する基本情報を解説します。

  • そもそも電子帳簿保存法とは?
  • 見積書も電子帳簿保存法の対象書類です
  • 見積書の保存期間

そもそも電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法について国税庁は、以下のように説明しています。

各税法で原則紙での保存が義務化されている帳簿類について一定の条件を満たした上で電子的記録(電子データ)による保存を可能とすること及び電子的に授受した取引情報の保存義務等を定めた法律です。

引用元:国税庁|電子帳簿保存法が改正されました>(2023年6月6日時点)

企業でのデジタル化が推進される中、税務や会計の分野でもIT技術を活かしてコスト削減と業務効率化のニーズが高まっていたことが制定の理由のようです。

しかしながら、制定当初は電子保存に関する要件が厳しかったため、積極的に導入する企業は少ない傾向にありました。そのため電子帳簿保存法は改正を繰り返して、徐々に電子保存に関する要件を緩和させたという経緯があります。

見積書も電子帳簿保存法の対象書類です

電子帳簿保存法改正により見積書の保存にも影響が出ます。以下のように見積書も電子帳簿保存法の対象になっているからです。

対象となる書類は?
自己がコンピューターを作成して取引相手に交付する書類の写し

(例)見積書、納品書、請求書、領収書などの控え

引用元:国税庁|はじめませんか、帳簿書類の電子化!(2023年6月6日時点)

では、電子帳簿保存法における電子データの保存にはどのような方法があるのでしょうか。以下の表をご覧ください。

保存方法 内容
電子帳簿保存 電子的に作成した帳簿・書類をデータのまま保存
スキャナ保存 紙で受領・作成した書類を画像データで保存
電子取引 電子的に授受した取引情報をデータで保存

引用元:国税庁|電子帳簿保存法が改正されました(2023年6月6日時点)

以上が電子データの保存方法になります。各保存方法の要件に関しては後述します。

見積書の保存期間

見積書には保存期間があります。法人の見積書の保存期間は以下のように原則7年です。

法人は、帳簿(注1)を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成または受領した書類(注2)を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間(注3)保存しなければなりません。

(注1)「帳簿」には、例えば総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあります。
(注2)「書類」には、例えば棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などがあります。
(注3)青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失金額が生じた事業年度においては、10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)となります。

引用元:国税庁|帳簿関係書類の保存期間(2023年6月6日時点)

ただし上記にもありますように、欠損金の繰越控除を適用する場合は10年。2018年4月1日前に開始した事業年度に対して適用するであれば、9年間保存しなければなりません。

その一方で個人事業主の見積書の保存期間は、以下のように原則5年間です。

帳簿や書類を5年間(記帳制度適用者が記帳制度に基づいて作成した帳簿については、7年間)、納税者の住宅地や事業所などの所在地に整理して保存する必要があります。
(注1)一定の要件の下、電子計算機を使用して作成する帳簿および書類に係る電子的記録をもって、帳簿類等の保存に代えることができることとされています。
(注2)令和4年分以降の所得において、事業に係る雑収入を有する場合で、その年の前々年分の業務に係る収入金額が300万円を超える人は、現金預金取引等関係書類を保存しなければならないこととされています。

引用元:国税庁|No2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度(2023年6月6日時点)

そのため個人事業主の保存期間は、法人よりも短いことになります。なお課税売上高が1,000万円超の個人事業主は、以下のように消費税課税事業者になります。

その課税期間(個人事業者は暦年、法人は事業年度)の基準期間(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)における課税売上高が1,000万円を超える事業者は、消費税の納税義務者(課税事業者)となります。基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合は、その課税期間においては課税事業者となります。

引用元:国税庁|消費税のしくみ(2023年6月11日時点)

そして消費税課税事業者になった個人事業主の場合、見積書の保存期間は以下のように7年間になります。

課税事業者は、帳簿を備え付けて、これに取引を行った年月日、内容、金額、相手方の氏名または名称などの必要事項を整然とはっきり記載し、この帳簿の閉鎖の日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間、事業者の納税地またはその事業に係る事務所等で保存しなければなりません(注)。

引用元:国税庁|No.6621帳簿の記載事項と保存(2023年6月11日時点)

そのため個人事業主は、課税売上高で保存期間が変わることを覚えておきましょう。

また見積書を適格請求書(インボイス)にした場合、保存期間は7年になり、国税庁では次のように説明しています。

適格請求書発行事業者には、交付した適格請求書の写し及び提供した適格請求書に係る電磁的記録の保存義務があります(新消法57の4⑥)。
この適格請求書の写しや電磁的記録については、交付した日又は提供した日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、納税地又はその取引に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地に保存しなければなりません(新消令70の13①)。
(参考) 仕入税額控除の要件として保存すべき請求書等についても、同様です(新消令50①)。
引用元:国税庁|5 適格請求書等の写しの保存(適格請求書の写しの保存期間等)|96ページ目(2023年6月6日時点)

以上のように見積書の保存期間は、法人が7・9・10年間のいずれか、個人事業主は5・7年間のどちらかが保存期間になります。正しく理解して、保存期間前に廃棄してしまったということがないようにしましょう。

電子帳簿保存法改正が見積書に与える影響

実は電子帳簿保存法は直近だけでも2回改正されています。それぞれで改正内容がガラッと変わる部分もあるため、ココでは年度別で解説します。

  • 2022年に施行された電子帳簿保存法の改正内容
  • 令和5年度(2023年)税制改正に伴う電子帳簿保存法の改正内容

2022年に施行された電子帳簿保存法の改正内容

2022年に施行された電子帳簿保存法の改正は、どのような内容なのでしょうか。主な改正内容は、以下の表のとおりです。

電子帳簿保存法保存区分 2022年改正の内容
電子帳簿等保存 1.税務署長の事前承認制度が廃止
2.優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置を整備
3.最低限の要件を満たす電子帳簿についても、電磁的記録による保存が可能
スキャナ保存 1.税務署長の事前承認制度が廃止
2.適正事務処理要件が廃止
3.タイムスタンプの要件が緩和
4.検索要件が緩和
5.不正があった場合の重加算税の加重措置を整備
電子取引データ保存 1.タイムスタンプの要件が緩和
2.検索要件が緩和
3.電子データでの保存が義務化
4.申告漏れ等に課される重加算税が10%加重される措置を整備

引用元:国税庁|電子帳簿保存法が改正されました(2023年6月14日時点)

一番のポイントは2024年1月1日より、電子取引で授受した各書類の電子データ保存が義務化されたこと。国税庁では、以下のように説明しています。

令和5年12月31日までに行う電子取引については、保存すべき電子データをプリントアウトして保存し、政務調査等の際に提示・提出していれば差し支えありません(事前申請等は不要)
令和6年1月からは保存要件に従った電子データの保存が必要ですので、そのために必要な準備をお願いします。

引用元:国税庁|電子帳簿保存法が改正されました(2023年6月6日時点)

今までは紙に出力して保存することも可能でしたが、2024年1月1日以降は電子データとして保存する必要があります。電子データ保存の義務化に向けて企業が円滑に電子データ保存へと移行するために2年間の猶予期間が与えられています。

なお、保存義務がある事業者は以下のとおりです。

所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合は、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。

引用元:国税庁|電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存等の特例に関する法律 第七条(2023年6月5日時点)

『所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者』と明記されています。上記のことから電子帳簿保存法の対象となるのは、次の企業と事業者です。

  • 法人税の納付義務がある法人
  • 所得税の納付義務があり事業を経営する個人事業主

電子帳簿保存法が本格施行となり、電子データ保存の義務化となる前にしっかりと準備をしましょう。

令和5年度(2023年)税制改正に伴う電子帳簿保存法の改正内容

電子帳簿保存法は令和5年度税制改正に伴い、再度改正されました。詳細は以下のとおり。

電子帳簿保存法保存区分 令和5年度税制改正大綱の内容
電子帳簿等保存 1.「優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置」となる書類の見直し。※1
スキャナ保存 1.解像度・階調・大きさに関する情報の保存が不要。※2
2.入力者等情報の確認要件が不要。
3.帳簿との相互関連性の確保が必要な書類が重要書類※3に限定。
電子取引データ保存 1.検索機能が不要とされる対象者の範囲が、準期間(2課税年度前)の売上高が「1,000 万円以下」の保存義務者から「5,000 万円以下」の保存義務者に拡大。
2.入力者等情報の確認要件が不要。
3.対象者に「電子取引データをプリントアウトした書面を、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理された状態で提示・提出することができるようにしている保存義務者」が追加。
4.令和4年度税制改正で措置された「宥恕措置」は、適用期限(令和5年 12 月 31 日)をもって廃止。
5.改ざん防⽌や検索機能など保存時に満たすべき要件に沿った対応は不要となり、電子取引データを単に保存しておくことができる。※4

引用元:国税庁|電子帳簿保存法の内容が改正されました〜令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要〜(2023年6月14日時点)

※1:具体例として、仕訳帳・総勘定元帳・売上帳・仕入帳・売掛帳・買掛帳・貸付帳・固定資産台帳などが軽減措置の対象に挙げられます。
※2:スキャナで読み取る際に守らなければならない解像度(200dpi 以上)や階調(原則としてカラー画像)などの要件自体に変更はありません。
※3:契約書・納品書・請求書・領収書など、資金やモノの流れに直結・連動する書類のこと。対する見積書や注文書などは、一般書類に分類されます。
※4:宥恕措置の内容が電子帳簿保存法の本則(82ページ|(3)の②)に盛り込まれ、条件を満たせば2024年1月1日以降も、電磁的記録を紙に出力して保存することが認められました。

注目すべきは電子取引データ保存です。実は以下2つの要件を満たす場合に限り、紙に出力して保存することが認められたのです。

イ:保存時に満たすべき要件に従って電子取引データを保存することができなかったことについて、所轄税務署⻑が相当の理由があると認める場合(事前申請等は不要)
ロ:税務調査等の際に、電子取引データの「ダウンロードの求め」及びその電子取引データをプリントアウトした書面の提示・提出の求めにそれぞれ応じることができるようにしている場合

引用元:国税庁|電子帳簿保存法の内容が改正されました〜令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要〜(2023年6月14日時点)

まず国税庁は『「宥恕措置」は、適用期限(令和5年 12 月 31 日)をもって廃止』および『電子取引データを単に保存しておくことができる』と明記しています。

つまり『これまでは経過措置として【2023年12月31日までであれば紙に出力して保存しても良い】としていましたが、2024年1月1日以降も猶予措置としてOKにしました』ということ。電子取引データの電子保存が義務ではなくなったということですね。条件付きとはいえ、方針を大きく変えてきた印象を見受けます。

ただし、今回の改正で内容がこのように大きく変わったことを考えますと、今後も何かしらの改正が再び行われるかもしれません。電子帳簿保存法の動向は、定期的に確認した方が良いでしょう。そうすれば期限ギリギリに、対応に追われることがなくなります。

タイムスタンプなど!電子書類の保管要件を解説

電子帳簿保存法では、電子データを保存する場合の要件を規定しています。

  • 真実性の確保
  • 可視性の確保

真実性の確保

真実性の確保とは、保存されたデータが改ざんされないようにすることです。具体的に言いますと、パソコンに保存していた書類データを簡単に改ざん・削除しにくい環境を構築することが、真実性の確保に該当します。

では、真実性の確保を行うには、どのようにすればよいのでしょうか。電子取引においては、以下いずれかの措置を行えば要件を満たすとされています。

真実性の確保
以下の措置のいずれかを行うこと。
① タイムスタンプが付された後、取引情報の授受を行う
② 取引情報の授受後、速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付す
③ 記録事項の訂正・削除を行った場合に、これらの事実及び内容を確認できるシステム又は記録事項の訂正・削除を行うことができないシステムで取引情報の授受および保存を行う
④正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規定を定め、その規定に沿った運用を行う

参考:国税庁|電子帳簿保存法が改正されました|4ページ目(2023年6月14日時点)
参考:国税庁|電子帳簿保存法の内容が改正されました〜令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要〜(2023年6月14日時点)

基本的にはタイムスタンプを付与すれば、真実性の確保を実現できます。導入するシステムにもよりますが、見積書をアップロード・送信するだけでタイムスタンプを付与できます。非常に便利ですので、手間はそれほどかからないでしょう。

可視性の確保

可視性の確保とは、保存されたデータを検索・表示できるようにすることです。電子保存をする際は、単に保存をするのではなく、税務職員などから見積書の提示を求められたときに表示および手渡せるようにしておかなければならないということですね。

そして電子取引データを保存する際に、可視性を確保するには以下3つの要件を満たさなければなりません。

可視性の確保
保存場所に、電子計算機(パソコン等)、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと

電子計算機処理システムの概要書を備え付けること

検索機能※を確保すること

参考:国税庁|電子帳簿保存法が改正されました|4ページ目(2023年6月14日時点)
参考:国税庁|電子帳簿保存法の内容が改正されました〜令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要〜(2023年6月14日時点)
※:電子帳簿等保存の検索要件1~3に相当する要件のこと。ただしダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、『2.日付又は金額の範囲指定により検索できる』および『3.2つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できる』は不要。
なお、この場合において『前々年度の売上高が5,000 万円以下』もしくは『取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理された状態で紙に出力・提示・提出できる』場合には、検索機能のすべてが不要

容易に電子データの検索・表示ができるようにしておくことは、税務調査に限らず企業にとっても探す手間が省け、効率化につながるといえます。これを機に、保存時の環境やルールを見直すのがおすすめです。

見積書以外にも電子帳簿保存法の対象書類はある

見積書以外にも電子帳簿保存法の対象書類はあります。具体的には以下のとおり。

  • 国税関係帳簿
  • 国税関係書類(電子取引含む)

国税関係帳簿

国際関係帳簿とは、企業が行っている取引や資金の流れを記録した帳簿を指します。具体例としましては以下のとおり。

「帳簿」には、例えば総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあります。

引用元:国税庁|帳簿書類等の保存期間(2023年6月6日時点)

取引内容のみならず、日時や取引先、財産状況など様々な内容を記載する必要があり、保存義務があります。そして、これらを電子保存する場合は電子帳簿保存法の対象になります。

国税関係書類(電子取引含む)

国税関係書類とは、保存が義務付けられている書類のこと。国税関係書類には決算関係書類と取引関係書類の2種類があります。詳細は以下のとおり。

電子帳簿保存法の対象種類 具体例 該当する保存区分
国税関係書類
(電子取引含む)
試算表
棚卸表
貸借対照表
損益計算書
請求書およびその写し
領収書およびその写し
納品書およびその写し
注文書およびその写し
見積書およびその写し
など
電子帳簿等保存
スキャナ保存
電子取引データ保存

2023年6月6日時点

見積書以外にも請求書など、電子帳簿保存法の対象書類は数多くあることがわかりますよね。そのため上記の書類を電子保存する場合も、電子帳簿保存法を遵守しなければなりません。

電子取引時などにおける見積書の保存方法を解説

見積書の電子データによる保存方法は、どのような方法があるのでしょうか。以下の3点に着目して解説していきます。

  • パソコンで作成した見積書の保存方法
  • 紙で授受した見積書の保存方法
  • 電子取引時に授受した見積書の保存方法

パソコンで作成した見積書の保存方法

パソコンで作成した見積書の保存方法は、紙資料としての保管と電子データの保管による2通りがあります。

  • 紙に出力して保存
  • 電子データのまま保存

紙に出力した場合の注意点としては、経年劣化により文字の鮮明度が落ちることです。保管場所の環境への配慮や丁寧に扱わないと破損するおそれもあります。

その一方、電子データで保存する場合は、授受したPDFなどのファイルを加工することなく保存する必要があります。もちろん電子メールなどの電子取引で授受した場合は、紙で出力して保存することが認められていません。

紙で授受した見積書の保存方法

紙で授受した見積書の保存方法も2つあります。

  • スキャンして電子保存
  • 紙のまま保存

取引先から受け取った見積書、自ら作成した見積書の紙の控えについては、一定の要件のもと、スキャナによる保存が認められています。国税庁では、スキャナ保存について次のように説明しています。

文書保存の負担軽減を図る観点から、各税法で保存が義務付けられている書類は、一定の要件の下で、紙のままではなくスキャナで読み取った電子データの形式で保存することができます。

引用元:国税庁|はじめませんか、書類のスキャナ保存!(2023年6月6日時点)

そんなスキャナ保存の要件は以下のようになっています。

  • 入力期間の制限
  • 解像度200dpi以上で読み取る
  • カラー画像(赤・緑・青それぞれ256階調【約1677万色】以上)※1
  • タイムスタンプの付与※2
  • ヴァージョン管理
  • スキャン文書と帳簿との相互関連性の保持※3
  • 見読可能装置(14インチ以上のカラーディスプレイなど)の備付け
  • 電子計算機処理システムの開発関係書類などの備付け
  • 検索機能の確保

参考:国税庁|はじめませんか、書類のスキャナ保存!(2023年6月14日時点)
参考:国税庁|電子帳簿保存法の内容が改正されました〜令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要〜(2023年6月14日時点) ※1:一般書類(見積書・注文書などのように、資金や物の流れに直結・連動しない書類)は、グレースケール(白黒)で保存可能。
※2:入力期間内にその国税関係書類に係る記録事項を入力したことを確認できる場合は、このタイムスタンプの付与要件に代えることが可能です。ただし、認定タイムサーバーから時刻を取得する第三者の運営するクラウドサービスのみ、タイムスタンプがなくてもOKになります。
※3:一般書類をスキャナ保存する場合については、相互関連性の確保が不要

複合機のスキャン機能だけではなく、スマートフォンやデジタルカメラなども使用が可能です。紙で授受した場合は紙のまま保存することも可能ですが、業務効率を考えるとスキャナ保存による電子保存をおすすめします。ファイリングなどの手間がないからです(詳しくは後述)。

もしもスキャナ保存をするのであれば、弊社のDenHoをご利用ください。スマホやタブレットで撮影・アップロードするだけで、簡単にスキャナ保存できます。「スキャナ保存したいけど、スマホとかでパパッとできないかな?」と考えている方は、ぜひご検討ください。

電子取引時に授受した見積書の保存方法

電子保存法の改正によって保存方法がコロコロと変わっていますが、2023年6月時点では電子保存および紙保存の両方が認められています。

ただし、電子保存をするのであれば真実性と可視性の確保が、紙保存をするのであれば上述した2つの条件を満たさなければなりません。

そのため電子保存・紙保存のいずれを選ぶにせよ、保存要件を事前に確認しておく必要があります。ご注意ください。

電子保存時の要件である真実性と可視性の要件に関しましては、記事の前半で記載していますのでご参考ください。

見積書などの書類を電子保存するメリット

見積書を電子データ化することで、以下のメリットが生まれます。

  • 見積書の管理コストを削減できる
  • 見積書の保存業務を効率化できる
  • 見積書の紛失を防げる

見積書の管理コストを削減できる

見積書を電子データとして保存することは、管理コストを削減することにつながります。なぜなら紙資料で保管した場合、必要となるモノがあまりにも多いからです。コストの要因としては、以下のモノが挙げられます。

  • 用紙
  • インク
  • ファイル、バインダー
  • 保管キャビネット

上記のモノは紙資料で保管した場合、永遠にコストとして発生します。

しかしながら電子データ保存を行うことで印刷することが無くなり、パソコン上でデータを見ることができることから大幅なコストダウンを図れるのです。

電子データ保存は、紙による管理コストで発生していた無駄なコストを一気に省けることができ、メリットのひとつといえます。

見積書の保存業務を効率化できる

見積書の電子データ化は、保存業務を効率化できます。なぜなら帳簿書類を電子データとして保存しておくことで、ファイリング作業が無くなるからです。

今まで紙資料として物理的にファイリングをしてきたのなら、電子ファイリングを進めて効率化を進めましょう。ファイルを格納することもなくなり省スペース化を実現でき、ペーパーレス化を促進させることができます。

紙資料のファイリングは『印刷→ファイルの作成→キャビネットに収納→保管業務』といった一連の作業が発生し、コストも手間もかかります。

見積書の電子データ化は、ファイル名を体系化させて管理ができ、一目で検索がしやすく効率的です。紙資料すべてをスキャンして電子データ化するには、時間も労力も発生しますが、段階的に進めていくことをおすすめします。

もしも見積書を電子保存するのであれば、弊社のDenHoをご利用ください。取引先名などを自動でデータ化でき、業務効率化を簡単に図れます。「見積書を電子保存したいけど、手動入力に時間はかけたくない」と悩んでいる方は、ぜひご検討ください。

見積書の紛失を防げる

見積書のデータ保存は、紛失防止につながります。なぜなら物理的に保存を行っておらず、物理的に盗難されることを防ぐことができるからです。

帳簿書類は紙資料の場合、キャビネットなどの保管庫に入れ、無人になるときは施錠して盗難に備えるのが一般的です。

しかしながら、キャビネットをこじ開けられた場合は、第三者に帳簿書類を盗まれるリスクがありました。さらには、書類整理時に誤ってシュレッダーしてしまい書類を紛失するリスクも少なからず発生していました。

帳簿書類を電子データ化することは、パスワード設定を掛けることもでき、第三者からデータを守るうえでセキュリティを強化することができるのです。電子データ化をするということは、紙といった物理的な保管が無くなることから、紛失してしまうという概念が無くなります。

しかしその反面、サイバー攻撃によるデータ流出を防ぐためにセキュリティを強化する必要があります。ご注意ください。

まとめ 見積書は電子保存するのがおすすめです

従来では、見積書は紙での保存が当たり前の世界でしたが、電子データによる保存がおすすめです。見積書の電子データ保存は、コスト削減につながり業務効率を飛躍的に向上させてくれます。要件は多岐に渡りますが確実に理解して、電子帳簿保存法にしっかりと対応していきましょう。紙保存から電子データ保存への進化は、必ずや企業にとって大きなメリットをもたらすことでしょう。

そして電子保存をするのであれば、弊社のDenHoをご利用ください。検索項目を自動でデータ化できますので、電子保存業務の効率化を迅速に実現可能です。ぜひご相談ください。
電子帳簿保存システムDenHo

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