電子帳簿保存法には一問一答がある!スキャナ保存・電子取引データ保存などを解説

「電子帳簿保存法には一問一答があるって聞いたけど、本当?」
「電子帳簿保存法について詳しく知りたい」

このような疑問を抱く企業・個人事業主が多いのではないでしょうか。まず電子帳簿保存法とは電子データの取り扱いに関する法律を指します。定められた要件を満たすことで、国税関係帳簿書類を電子データで保存することが可能になります。

しかし電子帳簿保存法は区分ごとに細かな要件があり、それぞれを正確に把握するのは困難になりがちです。疑問点を1つずつ調べていると相当な時間を要してしまうため、業務の負担が増えてしまうおそれがあります。

そんなときは電子帳簿保存法の一問一答をチェックするのがおすすめです。詳細は本文で解説しますが、電子帳簿保存法の一問一答とは国税庁が公表している資料のこと。電子帳簿保存法に関する詳しい情報を、短時間でパパっと確認できます。

そこで本記事では、国税庁が公開している電子帳簿保存法一問一答について解説します。電子保存の導入を検討している企業・個人事業主の方は、ぜひ参考にしてみてください。

電子帳簿保存法には一問一答という国税庁の資料がある

電子帳簿保存法の一問一答とはどのような資料なのか、下記の2点について解説していきます。

  • 国税庁が作成した電子帳簿保存法一問一答とは?
  • そもそも電子帳簿保存法とは?

国税庁が作成した電子帳簿保存法一問一答とは?

電子帳簿保存法の一問一答とは、電子帳簿保存法に関してよくある質問やポイントなどが掲載されている、国税庁のオフィシャル資料のことを指します。

電子帳簿保存法は税制改正で抜本的な見直しが行われました。要件が緩和されたため、以前より電子保存を導入しやすくなりました。しかし電子帳簿保存法の制度を利用するには要件をすべて満たす必要があるため、正確に要件の内容を理解することは困難です。

そういった場合に活用できるのが、電子帳簿保存法の一問一答です。一問一答には制度の概要・適用要件などが、質問に回答する形式で記載されています。容易に電子帳簿保存法の要件を把握することが可能です。

また、一問一答には改正前から変更された箇所に下線が引かれているバージョンも用意されています。改正前から電子保存を導入している企業は、変更点のみを重点的に確認する際にも役立つでしょう。

なお、もしも国税関係帳簿書類を電子保存するのであればDenHoをお使いください。DenHoであれば、手書き文字のデータ化も可能です。手書き書類が多い場合は、ぜひDenHoをご利用ください。

そもそも電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法とは国税関係の帳簿・書類を電子データで保存するときの取り扱いなどを定めた法律のことです。国税庁では下記のように解説しています。

電子帳簿保存法は、税務関係帳簿書類のデータ保存を可能とする法律で、同法に基づく各種制度を利用することで、経理のデジタル化が図れます。

引用元:国税庁|電子帳簿等保存制度特設サイト(2023年10月2日時点)

電子帳簿保存法は、1998年の税制改正の一環として創設されました。創設の目的は、納税者の帳簿保存に係る負担軽減を図ることにあります。その証拠に国税庁では、下記のように解説されています。

高度情報化・ペーパーレス化が進展する中で、会計処理の分野でもコンピュータを使用した帳簿書類の作成が普及してきており、経済界をはじめとする関係各界から、帳簿書類の電磁的記録(いわゆる電子データ)及びマイクロフィルムによる保存の容認について、かねてから強い要望が寄せられていました。
政府においては、こうした要望を受けとめ、規制緩和推進計画等の閣議決定、緊急経済対策、市場開放問題苦情処理対策本部決定等において、平成9年度末までに、帳簿書類の電磁的記録等による保存を容認するための措置を講ずることを決定していました。
このような関係各界からの要望や政府全体としての取組を踏まえ、平成10年度税制改正の一環として、適正公平な課税を確保しつつ納税者等の帳簿保存に係る負担軽減を図る等の観点から、国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存制度等の創設等が行われました。

引用元:国税庁|制度創設等の背景(2023年10月2日時点)

電子帳簿保存法が創設される以前は、国税関係書類は紙での保存が義務づけられていました。そのため、電子データで取り交わした書類もすべて紙に印刷して保存しなければならず、業務の負担になってしまうことが問題視されるようになりました。

その結果、民間企業から政府に対して電子データによる保存の容認を強く要望する声が寄せられるようになり、電子帳簿保存法が制定・施行されたというわけです。

そんな電子帳簿保存法は、電子取引・電子帳簿書類・スキャナ保存の3つの保存区分に分かれています。国税庁による区分の解説については下記の通りです。

制度区分 内容
電子取引 メールやインターネットを介してやり取りした取引情報に関わるデータを電子データで保存する制度
電子帳簿・電子書類 会計ソフトなどパソコンを使用して帳簿や取引書類を作成・保存できる制度
スキャナ保存 取引関係書類を画像データ化して保存できる制度

引用元:国税庁|電子帳簿等保存制度特設サイト(2023年10月2日時点)

各制度の詳細は後述しますが、電子帳簿書類とスキャナ保存は任意制です。義務ではありません。

その一方で電子取引データ保存については2021年度の法改正で義務化されました。法人・個人事業主は、制度が始まる2024年1月1日以降は電子データで受け取った取引関係の書類は、以下のように電子データで保存しなければなりません。

請求書・領収書・契約書・見積書などに関する電子データを送付・受領した場合には、その電子データを一定の要件を満たした形で保存することが必要です。

引用元:国税庁|電子取引関係(2023年10月2日時点)

電子取引データは、電子帳簿保存法第7条が定める要件を満たした保存方法で電子データを保存する必要があります。企業や個人事業主は電子帳簿保存法の要件を満たしているシステム・ソフトなどの導入が必要です。

もちろん前述しましたように、電子帳簿書類とスキャナ保存は必ずしも利用する必要はありません。しかし、電子保存を導入することで、下記のメリットが生まれます。

  • 業務の効率化が図れる
  • 書類の保管スペースが必要なくなる
  • 紙保管によるコストの削減

電子帳簿保存法に対応したシステムを導入することで、業務を効率化することが可能。その結果、人件費の削減を図れることでしょう。

また、紙で保存していた書類を電子データで保存できるため、保存スペースを確保する必要がなくなることもメリットの1つです。オフィスの省スペース化にも繋がります。さらに紙データも不要になることで印刷代や保管ファイル代などの費用も削減でき、コスト削減効果を期待できます。

このように電子帳簿保存法の制度を活用することで企業は業務の効率化やコスト削減などが期待できます。

電子保存を検討している企業・個人事業主の方は、国税庁の電子帳簿保存法一問一答を確認し、概要や注意点をよく理解してからシステムを導入しましょう。

スキャナ・電子取引など!一問一答には3種類ある

電子帳簿保存法の保存区分が3つあることもあり、電子帳簿保存法の一問一答には下記3種類があります。

  • 電子帳簿・電子書類関係
  • スキャナ保存関係
  • 電子取引関係

電子帳簿・電子書類関係

電子帳簿・電子書類関係の一問一答は『会計ソフトなどで電子的に作成した帳簿書類』に関する、よくある質問がまとめられている資料です。電子帳簿・電子書類関係の一問一答には下記のような内容を確認可能です。

問7 国税関係帳簿書類について電磁的記録等による保存等を行う場合には、どのような要
件を満たさなければならないのでしょうか。

引用元:国税庁|電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】令和5年6月|7ページ目(2023年10月2日時点)

一問一答では要件の概要が表で簡潔にまとめられており、必要な要件を簡単に確認することが可能です。

一問一答をチェックすることで、電子帳簿保存法について深い知識がない場合でも、電子帳簿保存法の規則に則って帳簿書類を運用することが可能です。パソコン上で作成した請求書などの取り扱いを把握したいときは、上記の電子帳簿保存法の一問一答をチェックし、適用要件や注意すべきポイントなどを事前に確認しましょう。

スキャナ保存関係

スキャナ保存関係の一問一答とは、スキャナ保存制度に関するよくある質問をまとめた資料です。確認したい箇所をすぐに見つけることができるので、導入後に制度の要件を確認したい場合にも活用することが可能です。

例えば下記のような内容が記載されています。

問9 スキャナ保存を行おうと考えていますが、どのような要件を満たさなければならない のでしょうか。

引用元:国税庁|電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】令和5年6月|8ページ目(2023年10月2日時点)

一問一答ではスキャナ保存制度を利用するための要件について、質問に回答する形で簡潔に解説されています。必要な解像度やディスプレイのサイズなどもチェックできるため、システムだけでなく機器を購入する際の参考にすることも可能です。

もちろんそのほかにも、以下のような情報が簡潔に記載されています。

  • 基本的事項
  • 入力方式
  • 解像度
  • タイムスタンプ
  • 訂正削除履歴の確保
  • 検索機能
  • 一般書類
  • 過去分重要書類
  • その他
  • 経過措置

スキャナ保存の導入を検討の際は、ぜひ参考にしてみてください。

電子取引関係

電子取引関係の電子帳簿保存法一問一答には、電子帳簿保存法の電子取引データ保存に関する質問がまとめられています。電子取引関係の電子帳簿保存法一問一答における、電子取引データの定義は下記のとおりです。

「電子取引」とは、取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいいます(法2五)。 なお、この「取引情報」とは、取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいいます。 具体的には、いわゆるEDI取引、インターネット等による取引、電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含みます。)、インターネット上にサイトを設け、当該サイトを通じて取引情報を授受する取引等をいいます。

引用元:国税庁|電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】令和5年6月|3ページ目(2023年10月2日時点)

上記のような電子取引データの保存方法や適用要件が解説されているということですね。電子取引関係の電子帳簿保存法一問一答をチェックすることで、疑問を迅速に解消することが可能です。

そして何より先述しましたように、電子取引データの電子保存は義務付けられています。そのため、企業や個人事業主の方は対策しなければなりません。今のうちに電子取引関係の電子帳簿保存法一問一答を確認し、対策を行うことをおすすめいたします。

なお、万が一電子取引関係の電子帳簿保存法一問一答を読んでもわからないことがある場合は、国税庁に問い合わせると良いでしょう。電子帳簿保存法の管轄は国税庁だからです。丁寧に教えてくれるハズです。

電子帳簿保存法の一問一答における注意点

電子帳簿保存法の一問一答における注意点は下記の3つになります。

  • 一問一答には古いものがある
  • 電子帳簿保存法自体が頻繁に改正されている
  • 電子帳簿保存法には罰則がある

一問一答には古いものがある

実は、電子帳簿保存法の一問一答には下記のように古いものもあります。

電子帳簿保存法一問一答
【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】
令和4年6月
国税庁

引用元:国税庁|電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】令和4年6月(2023年10月2日時点)

上記の資料は2022年6月に交付されたもの。先ほどご紹介した資料は2023年6月に交付されたものです。日付以外はまったく同じ記載。そのため気づきにくいところですが、間違えないように気を付けましょう。

電子帳簿保存法自体が頻繁に改正されている

電子帳簿保存法の改正は、以下のように頻繁に繰り返されています。

改正年度 改正内容
2005年 国税関係書類のスキャナ保存制度の導入
2015年 スキャナ保存の要件を一部改正
2016年 スキャナ保存の要件を一部改正
2019年 電子帳簿保存等の承認申請書の提出期限の特例の創設
承認を受ける前に作成又は受領をした重要書類のスキャナ保存の可能化
承認申請手続の見直し
事前相談体制の整備
2021年 電子帳簿等保存の要件を一部改正
スキャナ保存の要件を一部改正
電子取引データ保存の要件を一部改正
2023年 電子帳簿等保存の要件を一部改正
スキャナ保存の要件を一部改正
電子取引データ保存の要件を一部改正

電子帳簿保存法はコンピューターの普及に伴い、国税関係の帳簿・書類を電子データでの保管を可能にすることを目的に1998年に制定されました。その後、デジタル化の推進を目的に要件緩和などの見直しが行われ、度々電子帳簿保存法は改正が行われています。電子帳簿保存法は見直しが行われるたびに要件が緩和されており、企業や個人事業主が導入しやすい制度へと変更されています。

ただし改正により要件が逐一変更されているため、電子帳簿保存法の一問一答は必ず最新版の資料を確認する必要があります。要件を満たした運用を行ってくださいね。

電子帳簿保存法には罰則がある

電子帳簿保存法の規則に違反している場合、下記の罰則があるので注意が必要です。

  • 重加算税が10%加重される
  • 青色申告の承認取り消し
  • 推計課税や追徴課税が課される
  • 会社法による過料が科される

代表例が『重加算税が10%加重される』です。その証拠に国税庁の資料にて以下のように明記されています。

電子取引の取引情報に係る電磁的記録に関して、隠蔽し、又は仮装された事実があった場合には、その事実に関し生じた申告漏れ等に課される重加算税が 10%加重される措置が整備されました。

引用元:国税庁|電子帳簿保存法が改正されました|4ページ目(2023年10月2日時点)

電子データで悪質な改善や隠ぺいがあると判断された場合には、10%加重されるリスクがあります。電子帳簿保存法の制度を利用する際は、電子データの保存・管理方法についてしっかり理解してから導入するようにしましょう。

また、青色申告の認証が取り消されると、最大65万円の特別控除・その年に発生した赤字額を翌年の所得から差し引く制度などが利用できなくなります。税金対策の面では大きな負担になりますので、要注意です。

なお場合によっては、会社法による過料が課されるリスクもあります。会社法では帳簿や書類の記録・保存に関する規定を定めており、国税関係帳簿書類を適切に保存しなかった場合は100万円以下の過料が科されます。会社法第976条ついては下記の通りです。

第九百七十六条 発起人、設立時取締役、設立時監査役、設立時執行役、取締役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員、監査役、執行役、会計監査人若しくはその職務を行うべき社員、清算人、清算人代理、持分会社の業務を執行する社員、民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された取締役、監査役、執行役、清算人若しくは持分会社の業務を執行する社員の職務を代行する者、第九百六十条第一項第五号に規定する一時取締役、会計参与、監査役、代表取締役、委員、執行役若しくは代表執行役の職務を行うべき者、同条第二項第三号に規定する一時清算人若しくは代表清算人の職務を行うべき者、第九百六十七条第一項第三号に規定する一時会計監査人の職務を行うべき者、検査役、監督委員、調査委員、株主名簿管理人、社債原簿管理人、社債管理者、事務を承継する社債管理者、社債管理補助者、事務を承継する社債管理補助者、代表社債権者、決議執行者、外国会社の日本における代表者又は支配人は、次のいずれかに該当する場合には、百万円以下の過料に処する。

引用元:G-GOV法令検索|会社法第976条(2023年10月2日時点)

このように電子帳簿保存法に則った電子データの保存を行わないと罰則を受けるリスクがあるため、電子帳簿保存法についてしっかり理解しておかなくてはなりません。

電子帳簿保存法一問一答では制度の仕組みや要件の適否を確認できるので、電子帳簿保存法に即した運用が可能です。電子データ保存制度が義務化される前に、電子帳簿保存法一問一答に目を通しておくようにしましょう。

最新の改訂版など一問一答にてよくある質問

最後に電子帳簿保存法の一問一答についてのよくある質問に回答していきます。

  • 最新の電子帳簿保存法一問一答はどこにありますか?
  • 保存期間はいつまでですか?
  • スキャナ保存した場合は原本はどうすればいいですか?

最新の電子帳簿保存法一問一答はどこにありますか?

最新の電子帳簿保存法の一問一答は、『国税庁|電子帳簿保存法一問一答(Q&A)~令和4年1月1日以後に保存等を開始する方~』で確認可能です。このページでは以下の資料が用意されています。

電子帳簿・電子書類関係
【令和6年1月1日以後の取扱いに関するもの】

電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】 (PDFファイル/1,293KB)
変更箇所下線ありはこちら(PDFファイル/1,296KB)
【令和4年1月1日から令和5年12月31日までの取扱いに関するもの】

電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】 (PDFファイル/1,249KB)
変更箇所下線ありはこちら(PDFファイル/1,253KB)

スキャナ保存関係
【令和6年1月1日以後の取扱いに関するもの】

電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】 (PDFファイル/948KB)
変更箇所下線ありはこちら(PDFファイル/953KB)
【令和4年1月1日から令和5年12月31日までの取扱いに関するもの】

電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】 (PDFファイル/914KB)
変更箇所下線ありはこちら(PDFファイル/917KB)

電子取引関係
【令和6年1月1日以後の取扱いに関するもの】

電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】 (PDFファイル/773KB)
変更箇所下線ありはこちら(PDFファイル/780KB)
【令和4年1月1日から令和5年12月31日までの取扱いに関するもの】

電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】 (PDFファイル/710KB)
変更箇所下線ありはこちら(PDFファイル/716KB)

引用元:国税庁|電子帳簿保存法一問一答(Q&A)~令和4年1月1日以後に保存等を開始する方~(2023年10月2日時点)

2024年1月1日以後の取り扱いに関する電子帳簿書類関係・スキャナ保存関係・電子取引関係の3つすべての一問一答を確認できます。これから電子保存を導入予定の企業・個人事業主は、導入前に電子帳簿保存法の概要や要件の適否などを確認しておきましょう。

また、2022年1月1日~2023年12月31日までの取り扱いと変わった部分について確認できる変更箇所下線ありのPDFファイルもダウンロード可能です。変更箇所を容易に確認できるため、すでに電子保存を導入している企業にはありがたいハズです。

保存期間はいつまでですか?

電子帳簿書類は、紙の帳簿書類と同様に帳簿書類を一定期間保存する義務があります。保存期間は法人の場合は7〜10年、個人の場合は5〜7年です。国税庁による帳簿書類の保存期間の解説は下記の通りです。

法人は、帳簿(注1)を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成または受領した書類(注2)を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間(注3)保存しなければなりません。

(注1)「帳簿」には、例えば総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあります。

(注2)「書類」には、例えば棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などがあります。

(注3)青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失金額が生じた事業年度においては、10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)となります。

引用元:国税庁|No.5930 帳簿書類等の保存期間(2023年10月2日時点)

個人の場合は、青色申告か白色申告で保存期間が異なります。国税庁による青色申告の保存期間の解説は下記の通りです。

種類 保存が必要なもの 保存期間
帳簿 仕分帳・総勘定元帳・現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳など 7年
書類 決算関係書類(損益計算書・貸借対照表・棚卸表など) 7年
書類 現金預金取引等関係書類(領収書・小切手控・預金通帳・借用証など) 7年
書類 取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書・見積書・契約書・納品書・送り状など) 5年

引用元:国税庁|記帳や帳簿等保存・青色申告(2023年10月2日時点)

白色申告の保存期間については下記のように解説しています。

種類 保存が必要なもの 保存期間
帳簿 収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) 7年
帳簿 業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿) 5年
書類 決算に関して作成した棚卸表その他の書類 5年
書類 業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類 5年

引用元:国税庁|記帳や帳簿等保存・青色申告(2023年10月2日時点)

規定の期間帳簿書類を保存していない場合、電子帳簿保存法に違反していることになり、罰則を受けるおそれがあるので注意してください。

スキャナ保存した場合は原本はどうすればいいですか?

スキャナ保存した場合の原本は保管する必要がなく、破棄しても問題ありません。最新の『スキャナ保存に関する電子帳簿保存法一問一答』では下記のように回答されています。

令和4年1月1日以後に保存を行う国税関係書類については、以下(※)の場合を除いて、スキャナで読み取り、最低限の同等確認(電磁的記録の記録事項と書面の記載事項とを比較し、同等であることを確認(折れ曲がり等がないかも含みます。)することをいいます。以下同じです。)を行った後であれば、即時に廃棄して差し支えありません。
(※) 入力期間を経過した場合(【問29】のようなケースを除きます。)には、電磁的記録と合わせて国税関係書類の書面(紙)を保存する必要があります。

引用元:国税庁|電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】令和5年6月|5ページ目(2023年10月2日時点)

2022年度の改正で適正事務処理要件が廃止されたこともあり、原本の保管は原則必要なくなりました。ご参考ください。

まとめ|電子帳簿保存法の一問一答は要チェック!

電子帳簿保存法の一問一答について解説してきました。電子帳簿保存法の一問一答は国税庁に寄せられた問い合わせについて回答したものなどをまとめたもので、電子帳簿保存法の概要や要件などについて簡潔に説明されています。

電子保存をするには各要件を満たした保管・運用が必要です。しかし要件が細かく設定されているため、すべての要件を正確に把握することは困難です。電子帳簿保存法の一問一答を確認することは、そんなときの解決策になりえます。電子保存を導入の際は電子帳簿保存法の一問一答を確認し、疑問点を解消しましょう。

なお、もしも国税関係帳簿書類を電子保存するのであればDenHoをお使いください。DenHoであれば、電子帳簿保存法を順守した電子保存を簡単に実施できます。ぜひご検討ください。

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