見積書 データ化

見積書はデータ(PDF)化させよう!保存期間・電子化要件・メリットを解説

「見積書をデータ化したいけど、イマイチやり方がわからない」
「データ保存の義務化って最近よく聞くけど、まだ何もしていない」

上記のように考えている方がいるかもしれません。

詳しくは本文で解説しますが、見積書をデータ化させるのは簡単です。導入するシステムによってはスマートフォンでパパっと撮影し、システムにアップロードすることもできるからです。昨今ではWebツールが大きく発展したこともあり、見積書をはじめとした文書を、誰でも簡単かつ即データ化できるようになりました。

もちろん見積書をデータ化させるのであれば、電子帳簿保存法を守らなければなりません。そこで、この記事ではデータ化するメリット・方法・保存要件・ポイントなどを解説しています。

「自分ひとりで判断するのは自信がない・データ化をひとりで進めることが難しい・データ化するのに失敗したくない」と考えている方は、ぜひ読んでみてください。

見積書はデータ(PDF)化させてOK

見積書は、データ化させて問題ありません。以下の3点について説明します。

  • 見積書のデータ(電子・PDF)保存は認められている
  • そもそも見積書に必要な記載項目は?
  • 見積書の保存期間は?

見積書のデータ(電子・PDF)保存は認められている

見積書のデータ保存は認められています。電子帳簿保存法で認められているためです。

電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類を電子的に保存することを認める法律です。国税庁は、次のように説明しています。

各税法で原則紙での保存義務が義務づけられている帳簿書類等について一定の要件を満たした上で電磁的記録(電子データ)による保存を可能とすること及び電子的に授受した取引情報の保存義務等を定めた法律です。

引用元:国税庁|電子帳簿保存法が改正されました(2023年7月19日時点)

上記のとおり、データ保存が認められています。従来の紙の保存をする必要がなく文書保存の負担を軽減する法律です。

またPDFで発行した場合、改ざん防止効果を期待できます。ファイルを保護する機能が充実しているためです。

例えば見積書の作成をExcelやWordで作成したとします。ExcelやWordファイルは編集が可能なファイルですよね。そのため、悪意のある人に数値や金額を改ざんされるおそれがあります。

改ざんを防止するためには、データファイルを編集されにくくすることが必要です。PDF化した場合、パスワード設定により以下の内容に権限を設定できます。

  • 文書閲覧
  • 印刷
  • 編集
  • テキストなどのコピー

文書の重要度によってカスタムできますので、用途に合わせて設定が可能です。PDFを保護する機能を使用することで、改ざんのリスクを防止する効果が期待できます。

PDF化は、データ容量を抑えることができパソコンのみならずタブレットやスマートフォンでの閲覧も可能です。OSやOfficeソフトに左右されることがありません。いつでもどこでも確認できるため業務効率化にもつながります。

そもそも見積書に必要な記載項目は?

見積書に必要な記載事項は、以下の11点です。

  • タイトル
  • 見積書の発行日
  • 見積書の通し番号
  • 納期予定期間
  • 見積書の有効期限
  • 発注側の情報
  • 受注側の情報
  • 受注側の社員
  • 商品やサービスの詳細内容
  • 見積金額
  • 備考

冒頭には『見積書』のタイトルをつけます。このようにすることで、この書類が何の書類なのか判別が可能です。重要なことですので、大きく記載して明確にしましょう。

発行日は、発注側に提示する日付です。有効期限との関係性から発行日を起算日とします。

通し番号は、複数の見積書を同一の発注者へ発行している場合、通し番号を付与して管理します。番号を付与することで履歴検索に便利です。

納期予定期間は、発注から〇日以内と記載します。納期が未定のモノは、あらかじめその理由を記載することでトラブルを防止できます。

有効期限は、諸情勢による価格の変動に対応するために記載することが大事です。また、有効期限があることから発注側の判断を促進させる効果もあります。

発注側の情報は、見積書を提示する宛先です。法人は会社名、個人事業主は屋号が該当します。担当者がいる場合は、担当者名まで記載します。

受注側の情報は、見積書の発行者です。会社名・住所・電話番号・FAX番号・メールアドレスなどを記載します。見積書を発行した担当者名も記載するのが一般的です。

受注側の社印は、発行する文書が正式なものだと証明でき、信用が上がります。押印の際は、会社名とかぶるように右寄りにバランスよく押印しましょう。

商品やサービスの詳細内容は、内訳です。数量・単価・金額を記載します。費用が別途、発生すると記載が必要になります。

見積金額は、内訳の金額・消費税を合わせた金額です。内訳金額などの記載よりも一回り大きく記載するのが一般的です。

備考は、注意事項や補足説明を行う際に使用します。納期に関すること・価格の見直し時期などがあれば記載します。

普段から見慣れている見積書でも記載すべき内容は11項目もありました。確実に信用を得るために、必要事項は抜かりなく記載しましょう。

見積書の保存期間は?

見積書には保存期間があります。法人と個人事業主とでは保存期間が異なります。保存期間の内訳は次の表のとおりです。

対象 保存期間
法人 ・7年間
・9年間
・10年間
個人事業主 ・5年間
・7年間

法人と個人事業主どちらとも複数の保存期間があります。期間が異なる理由について以下で具体的に説明します。

法人の保存期間は基本的に7年間です。国税庁のホームページでは、以下のように説明しています。

法人は、帳簿(注1)を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成または受領した書類(注2)を、その事業年度の確定申告の提出期限の翌日から7年間(注3)保存しなければなりません。
(注1)「帳簿」には、例えば総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあります。
(注2)「書類」には、例えば棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などがあります。
(注3)青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失金額が生じた事業年度においては、10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)となります。

引用元:国税庁|帳簿関係書類の保存期間(2023年7月19日時点)

以上のことから、法人の場合は7年間の保存義務があります。また、欠損金が生じた年度は、10年間であり2018年4月1日より前に事業を開始した場合は9年間の保存が必要です。

一方で個人事業主の保存期間は基本的に5年間です。国税庁のホームページでは、以下のように説明しています。

帳簿や書類を5年間(記帳制度適用者が記帳制度に基づいて作成した帳簿については、7年間)、納税者の住宅地や事業所などの所在地に整理して保存する必要があります。
(注1)一定の要件の下、電子計算機を使用して作成する帳簿および書類に係る電子的記録をもって、帳簿類等の保存に代えることができることとされています。
(注2)令和4年分以降の所得において、事業に係る雑収入を有する場合で、その年の前々年分の業務に係る収入額が300万円を超える人は、現金預金等関係書類を保存しなければならないこととされています。

引用元:国税庁|No2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度(2023年7月19日時点)

以上のことから個人事業主の保存期間は5年です。しかしながら、課税売上高が1,000万円を超える個人事業主は、保存期間が変わります。理由としては、消費税課税事業者になるからです。以下で説明します。

その課税期間(個人事業者は暦年、法人は事業年度)の基準期間(個人事業者は前々事業年度)における課税売上高が1,000万円を超える事業者は、消費税の納税義務者(課税事業者)となります。基準時期における課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合は、その課税期間においては課税事業者になります。

引用元:国税庁|消費税のしくみ(2023年7月19日時点)

消費税課税事業者の場合は、法人と同様で保存期間が7年になります。保存期間が変わる理由を以下で説明します。

課税事業者は、帳簿を備え付けて、これに引き取りを行った年月日、内容、金額、相手方の氏名または名称などの必要な事項を整然とはっきり記載し、この帳簿の閉鎖の日に属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間、事業者の納税地またはその事業に係る事業所等で保存しなければなりません。

引用元:国税庁|No.6621 帳簿の記載事項と保存(2023年7月19日時点)

以上のことから法人の場合の保存期間は、7年間・9年間・10年間の3つの保存期間があることがわかりました。また、個人事業主の場合は、5年間・7年間の2つの保存期間があります。

ちなみに2023年10月より実施される適格請求書等保存制度(インボイス制度)によって、適格請求書発行と控えの保存が義務化されます。保存期間について、次のように説明しています。

適格請求書発行事業者には、交付した適格請求書の写し及び提供した適格請求書に係る電磁的記録の保存義務があります。(新消法57の4⑥)
この適格請求書の写しや電磁的記録については、交付した日又は提供した日に属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、納税地又はその取引に係る事務所、事業所その他これらに準じるものの所在地に保存しなければなりません。(新消令70の13①)
(参考)仕入額控除の要件として保存すべき請求書についても。同様です(新消令50①)。

引用元:国税庁|5 適格請求書等の写しの保存P96 問77(2023年7月19日時点)

適格請求書の保存期間も7年であることがわかりました。正確な適用税率や消費税額などを伝える制度である適格請求書等保存制度(インボイス制度)の施行が近づいています。制度を理解することはもちろんですが、保存期間があることもしっかりと認識しておきましょう。

見積書を電子化させて保存する際の要件

見積書を電子化させて保存する際の要件について、以下の2点を説明します。

  • スキャナ保存要件
  • 電子取引データ保存

スキャナ保存要件

スキャナ保存をするためには要件がありますので、遵守しましょう。スキャナ保存の要件は以下のとおりです。

  • 入力期間の制限
  • 解像度200dpi以上で読み取る
  • カラー画像(赤・緑・青それぞれ256階調【約1677万色】以上)※1
  • タイムスタンプの付与※2
  • ヴァージョン管理
  • スキャン文書と帳簿との相互関連性の保持※3
  • 見読可能装置(14インチ以上のカラーディスプレイなど)の備付け
  • 電子計算機処理システムの開発関係書類などの備付け
  • 検索機能の確保

参考:国税庁|はじめませんか、書類のスキャナ保存!(2023年7月19日時点)
参考:国税庁|電子帳簿保存法の内容が改正されました〜令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要〜(2023年7月19日時点)※1:一般書類(見積書・注文書などのように、資金や物の流れに直結・連動しない書類)は、グレースケール(白黒)で保存可能。
※2:入力期間内にその国税関係書類に係る記録事項を入力したことを確認できる場合は、このタイムスタンプの付与要件に代えることが可能。ただし、認定タイムサーバーから時刻を取得する第三者の運営するクラウドサービスのみ、タイムスタンプがなくてもOK
※3:一般書類をスキャナ保存する場合については、相互関連性の確保が不要

以上のことから、解像度といった細かい条件があります。スマートフォンやデジタルカメラで撮影した画像も対象ですので、覚えておきましょう。

次に書類は2つの区分に分かれることをお伝えします。内容については以下のとおりです。

書類 重要書類 一般書類
区分 資金や物の流れに直結・連動する書類 資金や物の流れに直結・連動しない書類
具体例 契約書、納品書、請求書、領収書など 見積書、注文書、検収書など

引用元:国税庁|はじめませんか、書類の電子スキャナ保存(2023年7月19日時点)

上記の表から見積書は、一般書類に該当することがわかりました。

入力期間の制限には、一般書類ですと制限はありません。適時に入力すれば問題ありません。

タイムスタンプとは、一般財団法人日本データ通信協会が認定したものです。スタンプが付与された時間に電子データが確かに存在し、それ以降改ざんされていないことを証明する技術になります。

検索機能の確保とは、以下の要件による検索ができるようにすることです。

  1. 取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先での検索
  2. 日付又は金額に係る記録項目について範囲を指定しての検索
  3. 2つ以上の任意の記録項目を組み合わせての検索

税務調査の際に電磁的記録のダウンロードに対応できれば、上記の2と3の要件は不要です。

電子取引データ保存

電子取引データ保存には、真実性の確保と可視性の確保を遵守する必要があります。国税庁では、以下のように説明しています。

真実性の確保
以下の措置のいずれかを行うこと。
1.タイムスタンプが付された後、取引情報の授受を行う
2.取引情報の授受後、速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付す
3.記録事項の訂正・削除を行った場合に、これらの事実及び内容を確認できるシステム又は記録事項の訂正・削除を行うことができないシステムで取引情報の授受および保存を行う
4.正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規定を定め、その規定に沿った運用を行う

可視性の確保
1.保存場所に、電子計算機(パソコン等)、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと
2.電子計算機処理システムの概要書を備え付けること
3.検索機能を確保すること

参考:国税庁|電子帳簿保存法が改正されました|4ページ目(2023年7月19日時点)
参考:国税庁|電子帳簿保存法の内容が改正されました〜令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要〜(2023年7月19日時点)

上記のとおり、電子取引データ保存をするには、改ざん防止の措置・検索機能の確保・見読可能装置※の備付けが必要です。

※見読可能装置とはパソコンのディスプレイやプリンタなど電子データで保存した書類について画面上で確認や書面で出力する設備のことです。

検索機能の確保では、様々な方法があります。専用ソフトを使って検索機能を持たせることが可能。その他にもファイル名に規則性を持たせ簡単に検索することが可能です。『20230708_10000_翼商店』といったファイル名で保存し特定のフォルダに格納します。

見読可能装置の設置は、税務職員に限らず関係する社員も確認するうえで必要なモノです。ディスプレイやプリンタを設置することを意味します。

ここまで電子取引データの保存について説明しました。真実性の確保と可視性の確保が重要であることがわかりましたね。必要な要件を的確に押さえることが大切です。

なお電子保存するのであれば、DenHoがおすすめです。DenHoであれば電子帳簿保存に対応した電子保存が可能です。タイムスタンプ機能が標準搭載されているため、ローコストで保存管理できます。ご検討ください。

見積書をデータ(PDF)化させるメリット

見積書をデータ化させるメリットは以下の3点です。

  • 見積書の明細をデータ化できる
  • 発行関連コストを下げられる
  • 業務の効率化を図れる

見積書の明細をデータ化できる

見積書の明細を簡単にデータ化できます。なぜこれがメリットなのかといいますと、PDF化することで、各データを迅速に関連付けられるからです。

例えば、従来の紙の場合は明細書の各項目を1つ1つ手入力する必要がありました。1つの見積書の明細は複数ページにおよぶことが多々あります。そのため、手入力するには相当な時間と労力がかかるのが現状です。

しかし、AI-OCRを導入することで手入力の労力を一気に削減することができます。

そもそもAI-OCRとは、AI技術を活用したOCR※の仕組みやサービスを指します。

※OCRとは:『Optical Character Reader』の略称で、画像データのテキスト部分を認識し、文字データに変換する光学文字認識機能のことをいいます。

AIの特徴であるディープラーニングにより文字の補正を学習。その結果、文字の認識率を高めることが可能です。

AI-OCRは、文字の認識率が高いばかりではありません。高度なデータ抽出方法により複雑な表データや複数行の項目もデータ化が可能です。そのため、明細のような複数ページにまたがるボリュームある内容でも1つの関連するデータとしてまとめることが可能です。

以上のことから、FAXやPDFなどの膨大な見積書を基幹システムに手入力し、多くの時間と労力を費やしているのならAI-OCRの導入がおすすめです。簡単に各データとの関連付けもできますので、入力時の作業工数を減らせます。入力作業にて、人員確保や人件費の高騰に悩んでいる場合はAI-OCRの導入をおすすめします。

なお弊社のスマートOCRにもAI機能が搭載。AI 文字認識エンジンやAI 文字列エリア認識エンジンなど、数多くの高性能な機能が搭載されていることもあり、文字認識精度はなんと99.8%を誇ります! 詳しくはお問い合わせください。

発行関連コストを下げられる

見積書のデータ化は、発行関連コストを下げることができます。紙といった物理的に発行することなくペーパーレス化を実現できるためです。

従来の紙の場合、以下のようなコストがかかっていました。

  • 保管場所
  • キャビネット代
  • ファイル代
  • 印刷代・インク代
  • 紙代
  • 郵送代

紙で出力した場合、発行に係る人件費も必要です。発行関連コストは、多くの要因がもとでコストがかかることになります。

一方で電子データ化を導入することにより、大幅にコストを下げることができます。ペーパーレス化が実現するからです。

データの保管場所は、パソコンかクラウド上になります。そのため保管庫に行って、キャビネットからファイルを探して写しを綴じるといった保管業務がなくなります。

発行するために必要だった紙や印刷するためのコストも不要です。

電子データ化されているため発注先にメールで送ることができます。つまりは、郵送代も不要です。

上記のとおり、データ化はペーパーレス化を実現させます。そのため、発行関連のコスト削減につなげることが可能です。

業務の効率化を図れる

見積書のデータ化は、業務の効率化を図れます。データ化された見積書は検索ですぐに探し出すことができ、共有もしやすいためです。

例えば従来の紙の場合は、確認するためには以下のように対応する以外ありませんでした。

  1. 確認したい見積書を探しに保管庫へ行く
  2. キャビネットを探す
  3. 当該の見積書が綴じられたファイルを探す
  4. ファイルから探す
  5. 必要に応じて取り出し自分のデスクに持っていく
  6. 確認が終わったら戻すため保管庫に行く
  7. キャビネットに綴じる
  8. 保管庫にしまう

たった1つの見積書の確認だけでも、これだけの作業工程が発生します。経営視点から言えば、このような業務に人件費はかけたくないところでしょう。

しかしながら、見積書をデータ化して社内で共有した場合は、上記のような行程を踏まずに済みます。検索機能でパパっと見つけられるからです。1つの見積書をわずか数秒で探し出せます。数分かかっていた業務を数秒に効率化できるわけですから、最終的には相当な人件費をカットできるハズ。

出先でもすぐに確認ができ、データファイルを探すことも容易にできます。パソコンはもちろん、タブレットやスマートフォンで手軽に確認することが可能です。営業中に話が進み、「前回提示してくれた見積書の内容を、もう一度確認したいんだけど?」と急に聞かれたとしても、その場で即対応できるのはうれしいところです。

データ化することで今までかかっていた労力と手間は、一気になくすことができ業務効率化を図ることが可能です。ぜひとも、見積書のデータ化をご検討ください。

見積書をデータ(PDF)化させる方法

見積書をデータ化させる方法は、以下の3点です。

  • 紙の見積書をスキャナ保存する
  • 見積書作成ソフトで作る
  • Excelで見積書を作成する

紙の見積書をスキャナ保存する

紙の見積書をスキャナ保存する方法は複数あり、簡単に保存することができます。
方法は以下のとおりです。

  • オフィス複合機
  • 家庭用複合機
  • スキャナ専用機
  • スマートフォン
  • コンビニ

オフィス複合機は、企業での使用を想定して設定されているため高性能のADF(自動原稿送り装置)を搭載しています。そのため、大量の文書を高速で処理することが可能です。オフィス複合機の使用手順は以下のとおりです。

  • 原稿台もしくはADFに原稿をセットする
  • 操作パネルでスキャンを選択する
  • スキャンデータの保存先を選択する
  • スキャンの開始ボタンを押す

以上の行程で大量スキャンが可能です。原稿台は、1枚ずつのスキャンになります。

家庭用の複合機でもスキャンすることが可能です。ADFがついていないため1枚ずつスキャンをする必要がありますが、電子データ化できることに違いありません。

スキャナ専用機は、基本的にはオフィス複合機と同じです。しかしながら、専用機ということもありオフィス複合機では読み取れない原稿に対応できる機能もあります。以下の3つの機能を持っているスキャナ専用機についてご紹介します。

  • シートフィードスキャナ
  • スタンドスキャナ
  • ハンディスキャナ

シートフィードスキャナは、オフィス複合機と同様でADF機能を持っています。大量の文書スキャンや名刺のスキャンを行うことが可能です。

スタンドスキャナは、上からカメラで撮影するようにスキャンします。厚みのある書籍や接触を避けるべきモノのスキャンをする際に重宝されます。

ハンディスキャナは手にもってスキャナを動かしスキャンするタイプの小型スキャナです。収納しやすく持ち運びも便利です。水平にセットしたモノ以外のモノにもスキャンすることができます。

スマートフォンは、スキャン機能を提供するアプリがあり簡単にPDF化することができます。カメラ機能を使用して撮影した書類をPDF化してくれるので、大変便利です。写真撮影間隔で手軽に使用できます。

コンビニのマルチコピー機でもスキャンが可能です。ADFがついている機種が多く、大量の文書をスキャンすることができます。データの保存先は、記録媒体が必要でUSBメモリやSDカードが必要です。

スキャンする方法は複数ありますが、今や誰でも持っているスマートフォンがスキャナとして活躍してくれます。出先などで簡単にデータ化できますので、スマートフォンの撮影機能がおすすめです。

ちなみに弊社のスマートOCRであれば スマートフォンで撮影し、そのままアップロードすることが可能です。非常に便利ですので、ぜひご検討ください。

見積書作成ソフトで作る

見積書をデータ化するのであれば、最初から見積もり作成ソフトを使うのがおすすめです。見積書作成ソフトであれば、見積書をデータとして作成することが可能。それだけでなく発行業務・確認作業の効率化も実現できます。機能については、以下のとおり。

  • データ送付機能
  • 郵送代行機能
  • ロゴ・印影の登録
  • 一括作成
  • テンプレート作成
  • 入金確認
  • データ管理
  • 入力ミス防止機能
  • ステータス管理機能
  • 検索・コピー機能
  • データ変換機能

見積書作成はルーティン化された業務ですが、取引の成否にかかわる重要な業務です。そのため金額の誤記入などは好ましくありません。

しかし、どんなにチェックをしたとしても人間がやることにはヒューマンエラーがつきものです。

そこで役立つのが、見積書作成ソフトです。上記でご紹介した機能により見積書を一括作成・入力ミスの防止機能までついています。テンプレートを選択して必要事項を入力するだけで見積書が簡単かつ正確に作成することが可能です。

Excelで見積書を作成する

Excelで見積書を作成することができます。Excelには『テンプレート機能』があり、税抜き・消費税・総額の計算から発行日の入力まで可能。自動で計算することが可能です。そのため、数値の入力ミスを防ぐことができます。

この機能を使用して見積書をダウンロードする手順は以下のとおりです。

  1. Excelにてファイルを選択
  2. 新規作成を選択
  3. 『office.comでテンプレートを検索』を選択(ボックスに『見積書』と入力)
  4. テンプレートが表示されたら任意のテンプレートを選択
  5. 『ダウンロード』を選択
  6. ダウンロードされた見積書が表示される

以上がExcelのテンプレート機能による見積書のダウンロード手順です。発行日や有効期限などすでに入力されており、関数が仕込まれています。有効期限を変更したい場合は、数値を変更するだけで手間がかかりません。数量・単価に数値を入れるだけで金額が自動計算されます。

すべての入力が完了すると税抜き金額・消費税・総額が自動計算により算出することが可能です。必要な数値を入れるだけで合算の数値を出してくれるので電卓を使用する必要がありません。

Excelのテンプレート機能を使用することで雛形を使用することが可能です。必要な関数がすでに仕込まれていますので、最低限の数値の入力で見積書が完成します。

見積書をデータ(PDF)化させる際のポイント

見積書をデータ化させるポイントは、以下の2点です。

  • 表の読み取り精度が重要
  • 非定型帳票に対応できる

表の読み取り精度が重要

見積書をデータ化する際、文書内の表の読み取り精度が重要になります。理由としては、作業効率が変わるためです。

どういうことかと言いますと、例えば読み取れなかった箇所がある場合、手入力する必要がありますよね。これでは非常に非効率です。せっかくシステムを導入しても、読み取りの精度が低ければ確認と入力作業に時間を割き、業務の効率化は難しいです。

ここで1つ具体例を挙げます。以下のような2つの見積書の明細表があったとしましょう。

【A】

商品名 数量 単価 金額
スパイク 5 8,000 40,000
ユニフォーム 10 10,000 100,000

【B】

商品 金額
スパイク
数量:5
単価:8,000
40,000
ユニフォーム
数量:10
単価:10,000
100,000

上記の明細表は、結果として伝えたいことは同じですが表の中の記載の仕方が異なります。【A】は一般的によくみる明細表のタイプですが、【B】は数量と単価が同一の枠内に記載されておりイレギュラータイプです。

よくあるパターン化された表を読み取ることは、システムがパターンを認識しているため簡単に読み取りができます。しかしながらイレギュラーな表の場合、読み取りが難しくデータ化させるのが困難です。その結果、業務の効率化も難しくなるでしょう。

このような事態を発生させないためには、AI-OCRの導入が得策です。AI-OCRは高度な表認識機能を有しており、複雑な表や複数の項目があってもデータ化できます。仮に誤った認識をしたとしても学習機能が役立ちます。正しい情報を登録することで、以降は誤ることなく正しい表記をしてくれる確率が向上するのです。

以上のことからAI-OCRを選ぶのであれば、表の読み取り精度を確認しましょう。

ちなみに弊社のスマートOCRには、高度な表認識機能が搭載されています。もちろん複数行項目のデータ化も可能。「単に文字や数字を読み取るだけでなく、複雑な表にもキッチリ対応してほしい!」と悩んでいる方は、ぜひご利用ください。

非定型帳票に対応できる

見積書をデータ化させるのであれば、非定型帳票に対応しているものを選んでください。なぜなら、高度なデータ抽出方法により複雑な帳票でも読み取ることができるからです。

そもそもAI-OCRによっては、以下の機能があり文字列を構造的に認識することで容易にデータ化してくれます。

  • 枠線・表認識
  • かすれ線修正認識
  • 仮想線認識
  • はしご枠の認識
  • 複雑な表の認識
  • ページをまたぐ表データ

上記の機能により非定型帳票に対応できます。AI-OCRは、非定型帳票でも自動的に表や線を認識することができる優れものです。

例えば、入り組んだ難解な表データでも読み取りが可能です。データを処理しやすいようにAI-OCRの認識機能で自在に読み取りができます。また、ページをまたぐような表でも一連の表であることを認識してひとつのデータとして抽出ができます。

今まで非定型帳票から1つ1つの項目を決まったフォーマットに逐一入力していたのなら、その必要がなくなるかもしれません。AI-OCRがバラバラな帳票を読み取り、データ化してくれるためです。AI-OCRの導入は、企業にとって画期的なものとなり時間も手間もなくしてくれる可能性を秘めています。

以上のことから、見積書をデータ化するのなら非定型帳票に対応しているものを選んでください。高度なデータ抽出方法は、必ずや貴社にとってプラスに働きます。

なお弊社のスマートOCRには非定型帳票を得意としています。様々な帳票にも対応できますので、柔軟な運用が可能。複雑なレイアウトの文書でも、高精度な読み取り精度を実現しております。ぜひご利用ください。

見積書をデータ化させる際によくある質問

見積書をデータ化させる際によくある質問は、以下の2点です。

  • 見積書には有効期限を記載した方がいいのですか?
  • 電子帳簿保存法は改正されることがあるのですか?

見積書には有効期限を記載した方がいいのですか?

見積書には有効期限を記載してください。価格の変動のリスクに対応するためです。

例えば、業界の状況や諸情勢によって原価が変動することがあります。商品やサービスが適正価格でなくなり、価格の変更を余儀なくされることはよくあることです。このような状況ですと、見積書通りの価格で商品やサービスを提供することは困難になりますよね。

しかしながら有効期限を記載した見積書は、発行元の都合によって撤回することができません。その理由は、民法523条において定められているからです。

(承諾の期間の定めのある申込み)
第五百二十三条

1 承諾期間を定めてした申込みは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回する権利を留保した時は、この限りではない。

2 申込者が前項の申込みに対して同行の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みの効力を失う

引用元:民法|e-Gov法令検索|明治二十九年法律第八十九号 民法 第五百二十三条(2023年7月19日時点)

一方で有効期限が切れた見積書なら効力はなくなります。有効期限が切れた後であれば、価格が高騰した後に価格を変更することが可能。その結果、赤字受注を防げるという図式です。

以上のことから価格の変動に対応するために見積書には、有効期限を記載するのがおすすめです。

電子帳簿保存法は改正されることがあるのですか?

電子帳簿保存法は、改正される可能性があります。その理由は、時代の背景に合わせて改正を繰り返してきたからです。

ここ最近においても、電子帳簿保存法は改正されました。改正内容については、以下で説明します。

2022年1月1日施行の電子帳簿保存法は、帳簿類を保存する際の手続きなどについて抜本的な見直しがされました。

~電子帳簿等保存(区分①)に関する改正事項~
1. 税務署長の事前承認制度が廃止
2. 優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の整備
3. 最低限の要件を満たす電子帳簿についても、電磁気的記録による保存が可能

~スキャナ保存(区分②)に関する改正事項~
1. 税務署長の事前承認制度が廃止
2. タイムスタンプ要件、検索要件等についての要件緩和
3. 適正事務処理要件の廃止
4. スキャナ保存された電磁的記録に関連した不正があった場合の重加算税の加重措置の整備

~電子取引(区分③)に関する改正事項~
1. タイムスタンプ要件及び検索要件についての要件緩和
2. 適正な保存を担保する措置としての見直し

参考:国税庁|電子帳簿保存法が改正されました(2023年7月19日時点)

2023年の電子帳簿保存法の改正内容は以下のとおりです。

① 電子帳簿保尊に関する主な改正内容
● 「優良な電子帳簿保存に係る過少申告加算税の軽減措置」の対象となる帳簿の見直し

② スキャナ保存に関する主な改正事項
1) 解像度・階調・大きさに関する情報の保存が不要
2) 入力者等情報の確認要件不要
3) 帳簿との相互関連性の確保が必要な書類が重要書類に限定

③ 電子取引データ保存に関する主な改正事項
1) 検索機能の全てを不要とする措置の対象者の見直し
2) 令和4年度税制改正で措置された「宥恕措置」は、適用限度をもって廃止
3) 新たな猶予措置の整備

参考:国税庁|電子帳簿保存法の内容が改正されました~令和5年度税制改正による電子帳簿保存制度の見直しの概要~(2023年7月19日時点)

わずか1年の間で見直しが実施されました。改正内容は、対象の見直しと保存条件のスリム化など。スキャナ保存では、解像度・階調・大きさに関する情報の保存が不要となるのが代表例です。対象の見直しと保存条件のスリム化を行うことで事業者への負担軽減を図っていることが推測されます。

今後、ますますICTの発展が予想されます。政府によるデジタル・トランスフォーメーションも推進されています。そのため、電子帳簿保存法は、さらに改正される可能性があるとみて良いかもしれません。

まとめ 見積書はデータ化させるのがおすすめ

今回の記事では、見積書をデータ化させる保存要件・メリット・方法・ポイントについてご紹介しました。紙の見積書をデータ化させることで、労力やコストを削減することが可能です。

また電子帳簿保存法の施行により、2024年1月からは条件を満たさない限り、電子取引データにおいてはデータ保存が義務化されます。保存要件を確認して、いつでも対応できるようにしておきましょう。

なお見積書をデータ化させる際は弊社のスマートOCRをご利用ください。高精度で読み取ることが可能ですので、業務の効率化を実現可能です。ご検討ください。

電子帳簿保存システムDenHo

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