アンケート データ化

アンケート回答はデータ化しよう!Excelでの集計方法・分析手法を解説

「アンケートをデータ化したいけどやり方がわからない」
「データ化したアンケートの集計・分析はどうしようかな」

上記のように考えている方がいるかもしれません。

アンケートのデータ化はそれほど難しい話ではありません。スマートOCRなど、高精度な読み取りシステムを導入すれば簡単に実現できます。そしてデータ化できれば、アンケート内容をWebツールで正確かつ迅速に分析することが可能。マーケティング活動に活用しやすくなることでしょう。

そこでこの記事では、アンケートをデータ化させる方法・メリット・注意点・集計・分析・活用方法を解説します。「自分ひとりで判断するのは不安・データ化するのをひとりで進められない・データ化の導入に失敗したくない」と考えている方は、ぜひ読んでみてください。

アンケート回答をデータ化させる方法は3つ

アンケート回答をデータ化させる方法は、以下の3点です。

  • スマートOCRでアンケート用紙をスキャナ保存する
  • クリエイトフォームでアンケートを電子的に作成する
  • 入力代行サービスの利用

スマートOCRでアンケート用紙をスキャナ保存する

紙で受けとったアンケート回答をデータ化させるのであれば、スマートOCR※1でスキャナ保存※2するのがおすすめです。

※1:スマートOCRとは、画像データからテキストデータを抽出するクラウド型業務効率化支援ソリューションのこと。
※2:スキャナ保存とは、スキャナ機器などでアンケート用紙を読み取り、文字や数字などの情報をデジタル化(画像データ化)させること。

スマートOCRにはAI機能が搭載されており、従来のOCRでは読み取りが難しかった手書き文字にも柔軟に対応できます。そもそもアンケートとなりますと、記述式の回答が多くなるハズ。そうなりますと手書き文字が必然的に多くなりますよね。

それにもかかわらず手書き文字の読み取り精度が低いOCRを導入してしまうと悲惨です。読み取り精度が低いということは、1枚のアンケートの内容を認識するのに数分もの時間がかかるかもしれないからです。最悪の場合だと、何回やり直してもまったく読み取れないことすら考えられます。これでは逆に業務効率が悪化しますので、好ましくありませんよね。

しかしスマートOCRは手書き文字の対応が可能です。形が崩れてしまい読みにくい文字でも、正確に読み取ることが可能。その他にも以下の機能があり、読み取り精度はさらに向上します。

  • 白文字の対応
  • 網掛け文字の対応
  • 透かし文字の対応
  • 離れ文字の対応
  • 隣接文字の対応
  • 罫線隣接文字の対応
  • 印影の対応
  • 非定型帳票の対応

上記の機能があることにより、スマート-OCRであればアンケートだけでなく領収書や納品書などといった文書にも対応可能です。手書き文字に対応できるだけでなく、これだけの機能を豊富に揃えているAI-OCRはなかなかありません。紙で受け取ったアンケートやその他文書をデータ化させるのであれば、スマートOCRをぜひご利用ください。

クリエイトフォームでアンケートを電子的に作成する

最終的にアンケートをデータ化させるのであれば、クリエイトフォーム※で最初から電子的に作成してしまうのもおすすめです。

※クリエイトフォームとは弊社が独自に開発した、アンケートや申込書をイチから作成できるWebツールのこと。クラウド上で作成・保存をしますので、パソコンにシステムをインストールする必要が一切ありません。

クリエイトフォームでアンケートを作成すれば、それと同時にOCR(データ抽出)設定も自動で設定できるからです。どういうことかといいますと、以下のように『OCR設定を実行』の手間がなくなるのです。

手順 従来のAI-OCR クリエイトフォーム
1 アンケートを紙で作成 アンケート電子的に作成
同時にOCR設定も自動で実行<
2 アンケートを実施 アンケートを実施
3 OCR設定を手動で実行 スキャナ保存
4 スキャナ保存

要は2度手間がなくなるということですね。このことによる業務効率化の効果は大きいことでしょう。アンケート項目や記載位置を凝視しながら、OCRテンプレートを慎重に作成する必要が一切なくなるからです。アンケートを実施・データ化させる機会が多い企業ほど、この効果は絶大でしょう。

しかもクリエイトフォームはドラッグ&ドロップで操作可能。極めて直感的に操作できます。Webツールを扱うのが苦手な方でも、短期間でマスターすることが可能です。ぜひ一度ご検討ください。

入力代行サービスの利用

入力代行サービスを利用するのもアンケート回答を保存する方法のひとつです。社員が集計業務をする必要がなく本来業務に集中できます。

入力代行サービスの流れは、以下のとおりです。

  1. 用紙の確認と仕様の精査・検討
  2. 作業員・AIスキャナによるデータ化
  3. データ活用支援・後処理

始めにアンケートがどのようなタイプなのか確認します。選択式・記述式・手書きと様々だからです。データの利用目的や納期についても確認します。

作業に入る前に実際に想定されるExcelデータを確認します。そうすることで認識のズレがないようにすることが可能です。

実際の作業では、作業員がスキャナ機器で書類を電子化させます。自由記述欄のように手書きの箇所はAIスキャナを使用して読み取りが可能です。様々なアンケート用紙に対応し作業員が整理してくれます。

データ化したアンケートは、集計・グラフ化して最適な状態で渡してくれます。データ化後に不要となった紙のアンケートは、企業によっては溶解処理をするなど後処理も万全です。

またアンケート入力代行のおおまかな料金は以下の表のとおりです。

項目数 料金
択一選択 0.5円~
複数選択 1.5円~
自由記述式 0.2円~/1文字
単純集計 一式15,000円~
クロス集計 一式30,000円~

上表は、とあるデータ入力代行会社の料金表。紙のアンケートをイチから電子化してデータ入力するには、相当の労力と時間が必要です。入力代行サービスは、この作業行程を一手に引き受けてくれます。さらには、集計データまで行ってくれるのです。社員がデータ化作業に取られることなく本来業務に集中できます。

しかしデータ入力代行に依頼をすると、どうしてもやり取りが発生しますよね。もしもメールや電話などといったやり取りを面倒に感じるのであれば、社内でデータ化する仕組みを構築した方が良いでしょう。

アンケート回答を電子保存するメリット

アンケート回答を電子保存するメリットは、以下の5点です。

  • グラフなどで顧客情報を視覚化できる
  • Webツールによる細かい分析を迅速に実行できる
  • 保管コストを下げられる
  • 探しやすくなる
  • 状態劣化がなくなる

グラフなどで顧客情報を視覚化できる

アンケート回答を電子保存すると、グラフなどで顧客情報を簡単に視覚化できます。理由は、電子化したデータはExcelなどを利用し、グラフ作成が簡単にできるからです。

Excelを使用して顧客情報をグラフ化する場合を考えてみましょう。

まず、Excelの代表的な機能は以下の通りです。

  • 数値の足し算、引き算など四則演算
  • 数値の合計、平均、中央値などの演算
  • データの並べ替えや絞り込み機能
  • グラフ作成機能

上記のように、Excelには数値の自動集計や顧客属性の抽出・選択機能があります。また、平均年齢や属性比率をグラフ化する機能もあります。

さらにExcelは中央値や最頻値など代表値の計算も簡単で、円グラフや棒グラフ・折れ線グラフなどグラフの種類が豊富に選択できるのも魅力です。

ただし、グラフの作成には平均値や中央値など各代表値のもつ意味を理解する必要があり、グラフの種類ごとの特性も学ばないと、伝わるグラフにはなりにくく注意が必要です。

もし、これら代表値やグラフ選びの基礎知識が乏しい場合、詳しい人に聞いてみることやWebサイトでグラフの選び方を学ぶと良いでしょう。

Webツールによる細かい分析を迅速に実行できる

アンケート回答を電子保存すると、紙保存の場合とは異なりWebツールを用いた細かい分析を迅速にできます。顧客情報がデジタル化され、Webツールに各数値をすぐに直接入力できるからです。

どういうことかと言いますと、そもそも当たり前の話ですが、紙に書かれている情報のままではWebツールを用いた分析ができません。まずは各情報を電子データに変換し、Webツールに入力しなければならないからです。この際に電子保存が役立つわけです。

保存した時点で電子化、つまりデジタル情報に変換されているわけですから、Webツールに情報を迅速にアップロードすることが可能。コピペ作業を繰り返すことで、数分もあれば各情報を入力できるでしょう。CSVアップロードに対応しているWebツールであれば、各情報を瞬時に入力でき、Webツールを用いて正確かつ細かく分析することも可能です。

もちろん紙保存の場合でも、用紙に記入されている数字や文字をWebツールに入力すれば分析すること事態はできます。しかしこの場合だと手間がかかりますよね。すべてのアンケートの全項目を、このように手動入力することは現実的ではありません。

仮にすべてを入力するとなりますと、数時間はかかるハズ。入力し終わったころには、分析するための体力・気力がなくなっているかもしれません。これでは元も子もありませんよね。ひょっとしますと、入力ミスさえあるかもしれません。

Webツールを用いてアンケート内容を分析するのであれば、やはり最初からデータ化させておくのが賢明でしょう。

そもそも昨今はWebツールを用いた分析が主流になりつつありますから、これを機にアンケート内容もデータ化させてしまうことを強くおすすめします。そうすれば、結果的に分析業務を効率化および集計・各計算における正確性の向上を期待できるしょう。

保管コストを下げられる

アンケート回答を電子保存することで保管コストを下げることができます。なぜなら、紙といった物理的なモノで保管する必要がないからです。

まず紙で保管する場合は、保管するために以下のモノが必要になります。

  • 保管する場所・部屋
  • 保管キャビネット
  • 印刷代・インク代
  • 用紙代
  • アンケートを閉じるファイル
  • 整理をする人件費
  • 返信用封筒代

以上のように紙のアンケートは、様々なコストが発生します。

しかしながら、アンケートを電子保存することでこれらのコストは不要になります。アンケート回答をパソコンやクラウド上に保管することで保管場所やキャビネットが不要になります。物理的に保管する必要がないからです。

保管するために必要だった人件費も削減が可能です。そうすることで、保管作業に割いていた時間を本来業務に集中することができます。その結果、生産性向上へとつなげることができるのです。

さらには、返信用封筒で届いたアンケート回答を開封して集計する手間もなくなります。封筒代などのコストも抑えることができるのでアンケート回答を電子保存することは、効果が大きいです。

探しやすくなる

電子保存することで、アンケート回答を探しやすくなります。データ化したファイルは、検索機能で容易に探せるからです。紙のアンケートで保存した場合、当該のアンケート用紙を探すには、以下のような作業工程がありました。

  1. 保管庫へ足を運ぶ
  2. キャビネットから当該のファイルを探す
  3. ファイルから当該のアンケートを探す
  4. その場でメモを取るか、当該のアンケート用紙をファイルから外し持ち帰る
  5. 参照が終わったらファイルに綴じ、元の位置に戻す

紙のアンケートですと探している情報にたどり着くまでに、時間を要することがしばしばです。

しかしながら、電子保存することで当該のファイルを探すことが容易になります。検索機能を使用して即座に探しているファイルを見つけることができるためです。検索に要する時間は1分もかからないことでしょう。

紙のファイルを探すことと比べ、電子保存したファイルは、移動する手間やファイルを探す手間を大幅に削減できます。

以上のことから、電子保存されたアンケートファイルは探しやすくなります。パソコンやクラウド上に保存しているため、わざわざ保管庫に足を運ぶ必要がありません。デスクで検索して当該ファイルを、時間をかけることなく探し出すことが可能です。

状態劣化がなくなる

アンケート回答を電子保存することで状態劣化がなくなります。なぜなら、紙のように物理的に存在しないため、劣化という概念がないためです。

例えば、紙で保管されたアンケート回答を保管庫に探しに行ったとします。紙に印刷した文書は年数が経つと劣化して、黄ばんだり文字が薄れてきたりしますよね。

さらに人によっては、手荒く扱うことで紙面がぐちゃぐちゃになることも。きれいな状態で保つのがなおさら難しいでしょう。

一方で電子保存した文書は、物理的に存在しないため常にきれいな状態をキープすることが可能です。アンケートの保存状態が早期に悪くなる場合は、データ保存がおすすめです。

どうやって集める?アンケート実施方法

アンケートの種類には質問紙票で実施するアナログな方法から、Web調査やインタビュー形式などさまざまです。今回は以下2つのアンケート実施方法について解説いたします。

  • Web調査
  • グループインタビュー調査

Web調査

Web調査の実施方法は内容により変わりますが、一般的な手順は調査目的・調査項目の検討・調査実施・集計処理・分析の5つのフェイズです。以下に紹介いたします。

例として、自社開発したお菓子のアンケートを顧客に実施する場合を考えてみましょう。

調査目的は事例の場合だと、お菓子を買った理由を明確にしたいなどです。他には課題点や調査結果の活用方法を事前に検討しましょう。

調査項目にはお菓子を選んだ理由などを記載します。価格やパッケージなど選択式か自由記述式かも合わせて考えます。調査目的を意識して項目を作成するのがポイントです。

次に、調査実施はまずWeb媒体を決定します。お菓子を購入した機会のある人なら自社HP。一般的な意見なら調査会社経由で、特定Web媒体を使用するなど検討してください。

調査の実施には期間、調査対象者が集まりやすいWeb媒体などを選定する必要があり、知見に乏しい場合は、調査会社に相談するのも選択肢として考慮すると良いです。

集計処理はWeb調査の場合は自動集計機能があるため、便利です。単一属性の集計や属性ごとの関連比率をみるクロス集計などを実施しましょう。

お菓子のアンケートだと、単一属性の集計例ではお菓子を購入した機会がある人は全体では約4割。その中から女性は8割など複数の顧客属性を集計するのがクロス集計です。

最後に分析を実施します。事例の場合だとお菓子を買った理由を、集計結果を元にして仮説を立てて、商品の販売戦略に役立つレポートを作成します。

お菓子の調査レポートの場合「自社の商品は主に女性の方に好まれており、男性にも好まれる商品ラインナップが必要です」など分析結果から戦略と戦術を立案してください。

グループインタビュー調査

グループインタビュー調査の実施方法は調査目的・テーマ選定・対象者の検討・実施・分析の手順です。以下に解説いたします。

事例として自社サービスのモニタリング調査を実施する場合を考えてみましょう。

グループインタビューはWebと比較して対面で実施可能です。自社サービスの率直な感想や意見を深堀可能です。主観的側面の調査を考え、調査目的を検討しましょう。事例の場合だと、自社サービスに対する改善点を明確にするなどが調査目的となります。

テーマ選定は自社サービスの場合だと自社サービスに対する価格の意見など、具体的にすると深い意見を聞く事ができます。

逆に抽象度を高める場合は、自社サービスの悪い点を教えて欲しいなどです。自由度の高い意見が期待できますが、価格やサービス面など回答が多面的になるため注意が必要です。

対象者の選定は属性を揃えるのがポイント。自社サービスユーザーの年齢、性別、年収などを一致させると活発な議論が期待できるからです。

グループインタビュー終了後は分析を実施します。テキスト化して特定キーワードの頻出頻度を調べるなど、意見を項目ごとに分けると特徴が抽出可能です。

自社サービスへの意見が「お金があるときに行く」や「給料日に行く」という意見だとします。項目分類だと価格に対する意見のため、価格面への不満と分析できます。

グループインタビューは調査目的・テーマ選定・対象者の検討・実施・分析の手順で実施し、主観的な側面が分析可能で、自社のサービスや商品の改善に活用可能な調査方法と言えるでしょう。

アンケート回答をデータ化させる際の注意点

アンケート回答をデータ化させる際の注意点は、以下の2点です。

  • セキュリティを強化しなければならない
  • 業務フローを見直さなければならない

セキュリティを強化しなければならない

アンケート回答をデータ化させる場合、セキュリティを強化する必要があります。悪意のある第三者にデータを盗まれる可能性があるからです。このようなリスクに対応するには、以下の表のような対策がありますのでご紹介します。

アクセス制限 ・ファイアウォールの導入
・IPS※1の導入
・WAF※2の導入
・SSL/TLS※3 暗号化通信
・IPアドレス制限の導入
監視体制 ・サーバーの監視
・脆弱性診断
緊急時の備え ・運営の二重化
・操作ログの保存
・データのバックアップ
セキュリティ対策の証明書 ・SSL/TLSサーバー証明書
・ISMS認証※4
・プライバシーマーク

※1:IPSとは、『Intruction Prevention System』の略称です。不正ログインを防止してくれます。不正アクセスを認めた場合は、管理者に通知して不正アクセスから防御と遮断を行います。
※2:WAFとは、『Web Application Firewall』の略称です。Webアプリケーションの脆弱性に対し防御するセキュリティ対策です。まだ見つかっていない脆弱性に対しても攻撃を防ぐことができます。
※3:SSLとは、『Secure Sockets Layer』、TLSは『Transport Layer Security』の略称です。どちらもインターネット上で通信を暗号化する技術になります。名称は異なりますが、両方とも機能は同じです。
※4:ISMS認証とは、『Infomaion Security Management System』の略称です。一言で情報管理のことをいいます。企業内で『情報セキュリティの管理ルールを作り、実行し、改善する仕組みづくりを、しっかりと構築している』ことを第三者認証された証明がISMS証明です。

上記の表のとおりセキュリティを強化するには、様々な対策があります。中でも個人情報になりうる大切な情報は、第三者から守る必要があります。

そのためには、第三者を侵入させ情報を盗まれないことが大切です。アクセスを制限することでセキュリティ強化を図れます。

大切な個人情報を取り扱うアンケート回答です。そのため、セキュリティ対策の強化が不可欠です。

業務フローを見直さなければならない

アンケート回答データ化は、業務フローを見直す必要があります。なぜなら、紙のアンケートと作業とデータ化したアンケート作業とでは業務フローが変わるからです。以下の表で比較します。

紙のアンケート データ化したアンケート
1.Excelに手入力 1.Excelに自動反映
2.ファイルに綴じる
3.キャビネットへ収納
2.パソコンへ保存
3.クラウド保存
4.保管庫に足を運ぶ
5.該当するファイルを探す
6.該当文書を探す
4.ファイル検索

上記の表のとおり紙のアンケートからデータ化したアンケートを比較すると作業工程や作業方法が変わることがわかります。

データ化する際は、従来の方法とは異なるため、社内周知が必要です。業務フローを見直し、すべての社員に行き届くには労力もかかります。しかしながら、業務の効率化を図るためにも必要なことです。適切に業務フローを見直して、今までのムダをなくしていきましょう。

データ化させたアンケート回答の集計方法

データ化させたアンケート回答の集計方法は、以下の2点です。

  • 単純集計
  • クロス集計

単純集計

単純集計とは、最も基本的なアンケート集計方法です。別名で『Grand Total』と呼ばれ、GT集計とも呼ばれます。設問に対して回答結果を集計し、回答者の人数や内訳を表示する方法です。

例えば以下のようなアンケートを、500名を対象に行った場合を考えてみます。

質問文
あなたは、月に1回以上電車に乗ることがありますか?
回答 500人 100%
1:はい 385人 77%
2:いいえ 115人 23%

上記の表のとおり回答者が500名いる中で『はい』を選択した方が385名で全体の77%。一方の『いいえ』を選択した方は、115名で全体の23%であることがわかります。

質問ごとに対して何名、何%が質問を選択したかを表示するものが単純集計表です。

クロス集計

クロス集計とは、前述した単純集計の値に他の質問や性別・年代の基本情報を掛け合わせて行う手法です。

やり方としては、まずは単純集計を行い、全体把握をすることからはじまります。さらに個々のデータをより深堀して、調査する集計方法がクロス集計です。クロス集計について前述した単純集計の例をもとに説明します。

質問 あなたは、月に1回以上電車に乗ることがありますか? 人数
1 はい 385人 77%
2 いいえ 115人 23%
全体 500人 100%

上記の単純集計からは、読み解けるのは月に1回以上電車に乗る人が500名の回答で385名の77%いるということでした。さらに深堀して男女での利用者数をみた場合、単純集計では男女間の差があるかどうかはわかりません。

そこで役立つのがクロス集計です。質問に対して性別を掛け合わせると以下のようにクロス集計表を作成することができます。

【質問】あなたは、月に1回以上電車に乗ることがありますか?
性別 全体 はい いいえ
全体 500人 77.0% 23.0%
男性 322人 79.1% 20.9%
女性 178人 73.0% 27.0%

上記の表のとおりクロス集計することで次の情報を得ることができました。

  • アンケート回答者500名中男性322名・女性178名
  • 男性322名中79.1%が月に1回以上電車に乗っている
  • 女性178名中73.0%が月に1回以上電車に乗っている

以上の結果から、男性の方が月に1回以上電車に乗る機会が多いということがわかります。

他の情報と掛け合わせることで詳細な情報を確認することができるのがクロス集計の特徴といえます。今回の例では、性別で掛け合わせましたが、掛け合わせる素材は自由です。

例えば、年齢や居住地といった情報を掛け合わせることも可能です。様々な情報を掛け合わせ内容を深堀できるのがクロス集計の強みと言えます。

Excelが基本ツール!集計に使える関数

Excelを使って集計することもできます。もしも予算が限られているのであれば、Excelで集計するのがおすすめ。そこでこの記事では、その際に役立つ関数を解説します。

  • COUNTIF関数
  • SUM(サム)関数

COUNTIF関数

COUNIF関数とは、条件に当てはまったセルの数をカウントしてくれる便利な関数です。数値が含まれるセルの数をカウントする際は、COUNT関数を使用します。

COUNTIF関数の構文は次のとおりです。

『=COUNTIF(範囲、検索条件)』

『範囲』で指定したセルより『検索条件』で指定した条件に当てはまったセルの数を関数の抽出結果として表示することが可能です。

例えば、男女10人を対象に行きたい国を第三希望までアンケート集計したとします。COUNTIF関数を使用し、行きたい国の票数を集計してみます。

A B C
番号 第一希望 第二希望 第三希望
1 韓国 中国 タイ
2 イタリア フランス ドイツ
3 フランス スペイン ポルトガル
4 アメリカ カナダ イタリア
5 アメリカ インド ロシア
6 イタリア トルコ ドイツ
7 スペイン ポルトガル フランス
8 イギリス フィンランド ノルウェー
9 ドイツ オランダ イタリア
10 フランス イタリア オランダ

上記の表からCOUNTIF関数の範囲を指定します。Excelの関数の引数のダイアログボックスから『範囲』を選択します。始点と終点の間に『:(コロン)』をはさんで入力します。もしくは、始点のセルをカーソル選択して終点までドラッグすることで範囲指定することもできます。

イタリアに行きたい人を数えるためのCOUNTIF関数による構文は以下のとおりです。

『=COUNTIF(A1:C10,”イタリア”)』

上記の構文からイタリアに行きたい人は、5人と簡単に導き出してくれました。

今回は男女10名がどこの国に行きたいかを例に説明しましたが、対象数が多ければ多いほどCOUNTIF関数は便利です。個別に数えるよりもCOUNTIF関数を使用すれば、抽出したい数値を即座に導き出してくれます。今まで手計算で苦労されていたのならば、ぜひとも試してみてください。

SUM(サム)関数

SUM関数は、選択した範囲を足し算して合計を算出する関数です。Excelにおける基本的な関数のひとつといえます。

例えば、300名を対象にサッカーショップでスパイク5点の印象に関するアンケート集計を行いました。以下のExcel表でまとめたアンケート結果表で合計人数の算出方法をご紹介します。

A B C D E
番号 商品 とても好き やや好き どちらでもない やや嫌い かなり嫌い
1 スパイクA 56 66 32 75 71
2 スパイクB 120 86 56 28 10
3 スパイクC 27 65 35 78 95
4 スパイクD 30 42 155 35 38
5 スパイクE 193 88 11 6 2

上記の表より『とても好き』と回答した合計数の構文は以下のとおりです。

『=SUM(A1:A5)』

上記の構文により合計数は426が導き出されます。範囲の指定は始点と終点を:(コロン)ではさみます。指定した範囲の合計を表示することができます。

また、SUM関数はカッコ内に入れたセルの値をカンマで区切ることで個別の足し算を行うことも可能です。上記の表を例にして好きという印象を持っている人(A列とB列)の合計を知りたいときは、『=SUM(A1:A5,B1:B2)』と入力することで合計数が773であることがわかります。

このように足し算を行う関数をSUM関数といいます。今まで電卓をはじいて合計を算出していたのなら自動で計算をしてくれます。Excel関数の使用は、業務効率化につなげることが可能。ぜひともExcel関数を利用してみてください。

データ化させたアンケート回答を分析する方法

データ化させたアンケート回答を分析する方法は、以下の3点です。

  • 相関分析
  • 単回帰分析
  • 重回帰分析

相関分析

相関分析とは、2つのデータの関係性の強さを表す相関係数を計算して数値化する分析手法です。

相関係数は『1』に近いほど正比例の関係性が強くなります。逆に『-1』に近いほど反比例の関係性が強くなります。さらには『0』に近いほど関係性がなくなり無関係であると分析できます。

具体的な例としては、ビールの販売数量と気温の相関分析です。相関係数は+0.78ということから正比例の関係性が強いことがわかります。つまりは、気温が高いとビールの売れ行きが上がるということです。

相関分析は、Excelの『分析ツール』を使用して分析することができます。以下でその手順をご紹介します。

  1. ファイルを選択
  2. オプションを選択
  3. ダイアログボックスからアドインを選択
  4. 設定を選択
  5. アドインウィンドウの分析ツールにチェックを入れる
  6. OKを選択

上記の手順が完了しますとデータタブに分析グループが表示されます。入力範囲と出力範囲を指定することで簡単に相関分析ができます。Excelの分析ツールを使用して相関分析をおこないましょう。導き出された結果から様々な関係性を探すことができます。普段、気づくことができない関係性を分析数値が示してくれるかもしれません。

単回帰分析

単回帰分析とは、1つの目的変数Yに対し1つの説明変数Xを用いて図示化すると直線になる回帰式を求めることです。また、回帰分析とはデータを用いた将来予測を行うときに活用される分析手法です。

例えば、あるコーヒーについて以下のようなアンケートを実施したとします。

Q1:あなたは、このコーヒーをどれくらい好きですか。(数字を一つ選択)

  1. 非常に好き
  2. やや好き
  3. どちらでもない
  4. やや嫌い
  5. 非常に嫌い

Q2:あなたが感じるこのコーヒーの特性はなんですか。以下の4点に対して感じたことを評価してください。
【コーヒーの特性】

  • 香り
  • 苦味
  • 酸味
  • コク

【選択肢】

  1. とても感じる
  2. やや感じる
  3. どちらともいえない
  4. やや感じない
  5. まったく感じない
性別 好意度 香り 苦味 酸味 コク
5 5 5 4 3
2 3 4 3 3
4 4 4 4 4
3 2 4 4 2
1 3 4 5 4
5 4 4 5 5
3 4 2 3 3
5 4 5 4 4
2 2 3 4 3
5 5 5 4 4

上記のアンケート結果で役立つのが単回帰分析です。コーヒーのどの特性を上げれば高緯度が上がるのか予測することが可能です。

上記の例の予測を立てるのにExcelを使用して単回帰分析を行うことができます。手順については以下のとおり説明します。

  1. 分析に使用するデータを用意
  2. 散布図を描く
  3. 近似値曲線を追加する

まずは、分析に使用するデータを用意します。上記の例ですと『好意度』と『香り』のデータを使用します。

続いて、Excelのグラフ機能を活用して上記で用意した2つのデータの関係を示す散布図を描きます。ポイントとしては、目的変数を縦軸・説明変数を横軸に入れることです。例を当てはめると目的変数は好意度。説明変数は、香りです。

散布図が完成しましたら『近似値曲線の追加』機能を選択してデータに即した回帰直線を引きます。回帰直線を引く手順は以下のとおりです。

  1. 散布図の右側に表示される+アイコンを選択
  2. 近似値曲線にチェックを入れる
  3. その他のオプションを選択
  4. 近似曲線オプションの線形近似が選択されているか確認
  5. 近似曲線オプション下部の『グラフにR-2乗値を表示する』にチェックを入れる

Excelを使用して回帰分析を行う場合、簡単に最適な回帰式を求めることができます。回帰式とは各データに最も合うように引いた直線を一次関数で表した式をいいます。『Y=aX + b』で直線の式です。Yが目的変数、Xが説明変数です。

実際に上記の表よりExcelを活用して回帰分析を行ったところ次のような回帰式ができました。

Y=0.5366X + 1.722

Xは、目的変数です。上記の例ですと香りに値します。1増えると好意度が2.2586増えるということです。

上記のとおり単回帰分析は、直線の回帰式を求めることです。回帰式を求めることにより予測したい数値を導き出すことが可能です。

重回帰分析

説明変数Xが2個以上存在する回帰分析が重回帰分析です。『重』とは、複数を意味しています。

例えば、単回帰分析でのアンケート結果をもとに分析してみます。アンケート表のみ再掲します。

性別 好意度 香り 苦味 酸味 コク
5 5 5 4 3
2 3 4 3 3
4 4 4 4 4
3 2 4 4 2
1 3 4 5 4
5 4 4 5 5
3 4 2 3 3
5 4 5 4 4
2 2 3 4 3
5 5 5 4 4

好意度を目的変数とします。そして、4つの説明変数を重回帰分析することで回帰式を作ることができます。Excelでの手順は以下のとおりです。

  1. Excel表に各データを入力
  2. データ分析を選択
  3. 回帰分析を選択
  4. 変数指定
  5. 算出結果の確認

まずは、Excel表にデータを入力します。上記の表がそれに当てはまります。

続いて、『データ』タグから『データ分析』を選択します。データ分析がない場合は、アドオンで追加してください。

データ分析を選択するとウィンドウが表示されますので、その中から『回帰分析』を選択します。

上記の表から変数Xに月間売り上げを指定します。変数Yに席数・駅からの徒歩時間を指定します。指定後にOKを選択します。

そうするとExcelの別シートに重回帰分析の結果が出力されます。

上記の手順通りにExcelにて回帰分析を行ったところ以下の結果が出ました。

  • 重相関R:0.7910607
  • 重決定R:0.625777
  • 切片(b):-1.57843
  • 香り(a1):0.906863
  • 苦味(a2):0.411765
  • 酸味(a3):0.05824
  • コク(a4):-0.01961

重回帰分析でわかることは、香りが1つ増えると好意度が0.906863増えることです。また、コクが1増すと好意度が0.01961減少することが分析されています。

以上のことから評価を得られそうな香りと苦味の特性を2つ上げると好意度は以下のような式のもと数値が導き出されます。

重回帰分析の回帰式:Y=a1X1+a2X2+a3X+a4X+b
0.906863×2+0.411765×2+0.058240-0.01961×0-1.57843= 1.058226

回帰式にあてはめると好意度は、香りと苦みの評価を2上げることで1.058226上げることができると予測ができます。

重回帰分析は、要因分析をするうえで不可欠です。色々な要素から分析ができるので信憑性も高くなります。影響を与えている要素を見つけ出し戦略的にマーケティングを行えるからです。多角的に調査を行えば、改善する糸口を見つけることができるかもしれません。

数値を当てはめれば目的変数を予測することができます。重回帰分析を駆使して予測分析にも役立てましょう。

データ化させたアンケート回答の活用方法

データ化させたアンケート回答の活用方法は以下の2点です。

  • アンケート結果をもとに顧客を絞り込む
  • お客様の声としてWebサイトなどにそのまま掲載する

アンケート結果をもとに顧客を絞り込む

アンケート結果をもとに顧客を絞り込むことで、効果的な施策が立案できます。なぜなら、年齢や職業・価値観・地域など顧客像を鮮明にすると、施策がイメージしやすいためです。

福山市の事例を紹介いたします。同市は人口減少対策に顧客を絞り込み、ペルソナ※を設定したことで人口減少に対する施策が明確になり、具体的な施策が実行できた事例です。

※ペルソナ設定とは、マーケティング用語でサービスや商品を利用するターゲットをさらに細分化し、住まいや年齢、職業など具体的なユーザ像を明確にすること。

家庭内の育児負担の偏重や経済面の不安から、3人目の出産をためらう女性をイメージし、仕事と子育ての両立支援や育児支援の具体施策を考えました。

引用元:総務省統計局Data StaRt|ペルソナマーケティングを活用した新たな人口減少対策(2023年7月12日時点)

事例の中では複数のアンケートや年代ごとの悩みを分析し、夫の育児参加に悩みがあるペルソナ像を設定して、子育てパパ活躍デイの施策を講じています。

この施策は子育て中の女性という抽象的なターゲット像では創造できません。理由は、子育ての悩みを具体化し、解決策を検討した結果、可能な施策だからです。

アンケート結果から具体的な顧客の絞り込みを実施することで、ペルソナ設定が可能になり、効果的な施策が検討できるといえます。

仮に、育児施策を実施する立場になって考えてみましょう。

子育て中の女性に対する施策を実施するパターンと、夫の協力が得られない子育ての悩みを持つ主婦に対する施策を実施するパターンを考えます。

前者の対応施策は、保育園の拡充や育児支援金の配付などが考えられますが、夫の子育て参加の悩みは解決されません。

後者の対応施策は男性の育休推進のPRなどが検討でき、施策が具体的です。夫の子育て協力が得られやすくなり、悩みも解決されやすいです。

一人の個人の悩みを考え抜いて解決することで、結果的に複数や大多数の人の悩みも具体的に解決されます。

それが、顧客を絞り込む重要性です。

つまり、ペルソナ像が明確になるほど具体的な商品やサービス・施策を考えるヒントとなります。

お客様の声としてWebサイトなどにそのまま掲載する

お客様の声としてWebサイトなどにそのまま掲載することは、収益改善に有効です。なぜなら、第3者だからこそ情報の信頼性が高いと人は認識するためです。

事実、口コミが人の購買決定に関与する割合は約8割とする以下の総務省調査報告があります。

どの年代でも「何度もある(5 回以上)」、「何回かある(5 回未満)」を合わせると 8 割強となり大部分の人がそのような経験があることがわかる。

引用元:総務省|GDPに現れないICTの社会的厚生への貢献に関する調査研究報告書P34(2023年7月13日時点)

上記調査報告の中では、20〜60代を各300名程度、計1,603人に対して口コミを読んだことで飲食店・旅行先の決定や購入に繋がった経験の有無を調査しています。

結果、どの年代においても8割近くの人が口コミを参考に商品購入や行先決定をしていました。口コミ情報が消費者心理に与える影響の大きさがわかる調査報告です。

口コミ情報の良い意見も悪い意見もそのまま掲載すると、悪い意見に対する対策をとることが可能であり、商品やサービスの信頼性向上に繋がります。

ちなみに悪い口コミや意見を放置してしまうと、それが拡散され自社の評判が落ちるかもしれません。迅速・丁寧に対応し、悪い意見の拡散を止めるのが大切です。社内マニュアルを整備すると初期対応に迷うことがなく、迅速な対応が可能になるため、合わせて検討しましょう。

まとめ アンケート回答もデータ化させて分析!

今回は、アンケート回答をデータ化するために必要な方法・メリット・注意点・集計の方法をお伝えしました。今まで手作業による集計業務を行っていたのであれば、手間もコストも大幅に削減が可能。それがデータ化の最大のメリットといえます。

分析の仕方も紹介させていただきました。集計から分析までは、手入力による作業が必要ないことが本記事を通してお伝えできたことと思います。アンケート内容を正確かつ迅速に分析したいのであれば、やはりデータ化はマストと言えるでしょう。

なおアンケートをデータ化させるのであれば、スマートOCRをお使いください。スマートOCRであれば、手書き文字も高精度で読み取ることが可能です。ぜひご検討ください。

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