納品書の書き方(記載項目)は?請求書との違いや発行のタイミングを解説

「納品書の作成を任された! でも正しい書き方がわからない」
「そもそも納品書は発行義務があるのかな」
「納品書に押印は必須なの?」

納品書の作成を任されて、どうすれば良いかわからず悩む方は多いことでしょう。詳細は本文で解説しますが、納品書を作成するときの主な流れは以下の通りです。

1.タイトルなど記載事項を決める
2.Excelなどのツールを開く
3.フォーマットを作成する
4.各項目を入力する

基本的な流れは上記の通りですが、納品書の書き方に特に決まりはありません。国税庁に納品書の記載事項の例が記載されてはいるものの、法律で厳格に定められているわけではないからです。

そうなりますと気が楽になるところですが、取引先に渡すものである以上、失礼のないようにしっかりと作成する必要がありますよね。

そこで本記事では、納品書の書き方・請求書との違い・よくある質問を詳しく解説いたします。納品書が必要な理由についても解説しますので、ぜひご参考ください

そもそも納品書とは?請求書との違いも解説

まずは納品書を作成する意味や、請求書と何が違うのかを解説いたします。

  • 納品書とは?
  • 納品書と請求書の違い
  • 納品書を発行するタイミングは?

納品書とは?

納品書とは、企業間で商品やサービスのやりとりを行う際に、受け取った側に渡される書類のことです。簡潔にまとめると「御社に注文いただいた内容はこちらです。弊社は注文通り正確に商品を送りました」と伝えるための正式な書類と言えます。

国税庁が推奨する納品書などへの記載事項は、以下の5つです。

①書類作成者の氏名または名称
②取引年月日
③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④税率ごとに区分して合計した税込対価の額
⑤書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

引用元:国税庁|No.6625 請求書等の記載事項や発行のしかた(2023年9月4日時点)

その他にも、以下のような項目を書くとわかりやすいでしょう。

  • 商品の名前
  • 個数
  • 料金
  • 発注者の情報

個人でネットショッピングをした際、商品が入っている箱の中に同封されている納品書を見たことがある方もいるでしょう。自分が注文した内容と箱の中身が合っているかどうかチェックする際に、納品書が役立ったハズです。これが、納品書が必要になる理由とも言えますね。

特にBtoCビジネスを行っており、商品を発送する(顧客に面と向かって商品を手渡さない)ことが多い企業なのであれば、納品書の発行・送付はマストと言えるでしょう。

なお、もしも発行・送付した納品書を電子保存するのであれば、ぜひDenHoをご利用ください。DenHoであれば、文字の読み取りや帳票の分類を自動で実行してくれます。電子保存を機に保存業務の効率化を図りたい方は、ぜひご検討ください。

納品書と請求書の違い

納品書と請求書の違いは、果たす役割にあります。上述しましたように納品書には、納品に関する情報を書きます。

その一方で請求書とは、取引商品の代金の入金をお願いするための書類のことです。納品書を送付しただけでは取引先にお金を請求できないため、請求書を別で作成する必要があります。

そんな請求書には、以下の内容を書きます。

  • 請求金額
  • 自社の銀行口座
  • 口座番号
  • 支店名
  • 振込期限

取引1件ごとに請求書を発行する場合もあれば、1ヶ月分をまとめていることもあります。1つの企業と取引回数が多い場合、毎回請求書を作成すると手間がかかるため、月末に1ヶ月分をまとめて請求するケースが多いでしょう。

ちなみに請求書は、取引が終了してから発行し受注者に送付するのが一般的です。代金を貰ってから商品の発送をする場合は、取引終了後の請求書の送付は必要ありません。

また納品書兼請求書を作成するケースもあります。特別な理由がないのであれば、1枚に必要な情報をまとめる方が、作業効率が上がります。

納品書を発行するタイミングは?

納品書を発行するタイミングは、発注された商品を納品するときが一般的です。納品と同時に納品書を発行・送付しなければ、発注側は何がいくつ届いたのか確認できません。

もし納品書を発行し忘れたり入れ忘れたりしたのであれば、取引先に連絡しましょう。納品書がなければ、取引先が発注内容と届いた商品が正しいかどうかを確認できない場合があるからです。

まだ商品が完成していない・発送していない状態での発行や、納品から時間が経ってからの発行もおすすめいたしません。取引先も自社も、在庫にズレが生じてしまうからです。

納品書は納品と同時に発行するべきだと覚えておいてください。

納品書の作成(発行)方法は2つ

納品書の作成方法は、主に以下の2つです。

  • 手書きで作成
  • 電子的に作成

手書きで作成

納品書は、手書きで作成できます。

手書きで作成するコツは、1から作成するのではなく販売されている納品書を使用することです。販売されている納品書は、あらかじめ必要事項が記入されていたり複写式になっていたりします。記入するだけで簡単に発行でき控えも作成できるため、取引先が多い場合にも便利です。

しかし、手書きの納品書は保管する際にかさばるのがデメリットになる場合もあります。過去の納品書をすぐに確認したいときも、探すのが大変です。

取引先に紙の納品書をお願いされたとき以外は、電子的に作成するのがおすすめです。

電子的に作成

ExcelやWordなどを利用して、電子的に納品書を作成する方法もあります。テンプレートを利用すれば、必要事項を記入すれば良いだけなので作業効率も上がるでしょう。取引件数が多い場合は、電子的に納品書を作成するのがおすすめです。

電子的に作成すれば項目の変更や追加もすぐに対応できるので、作成の手間が省けます。他にも、以下のようなメリットがありますよ。

  • 経理担当者の負担が軽くなる
  • 発行後にメールですぐに送付できる
  • 控えを管理しやすくなる

電子的に作成するメリットは、納品書をメールですぐに送付できる便利さです。しかし、取引先に他社の納品書を送付してしまうなどの重大なミスが起こる可能性もあります。送信する前に、必ず確認をするようにしましょう。

またデータを削除してしまった・間違えて上書き保存してしまったなど、小さなミスも起こりやすいです。電子で作成する場合の管理は、手書き以上に注意が必要です。

納品書の書き方(記載項目)を解説

続いて、納品書に必要な項目や書き方を解説いたします。

  • タイトル
  • 納品先名
  • 発行者名
  • 納品書(通し)番号
  • 発行日
  • 商品もしくはサービス名
  • 単価
  • 数量
  • 単位
  • 商品もしくはサービス名ごとの金額
  • 小計
  • 消費税
  • 最終的な合計金額
  • 備考欄

タイトル

納品書を発行する際は、何についての書類なのか一目でわかるよう『納品書』とタイトルを記載しましょう。タイトルがない書類は何の書類なのか、取引先がパッと見て判断できません。請求書も同封する場合、どちらが納品書なのかわからず取引先の書類管理に手間をかけてしまう可能性もあります。

そのため、タイトルは大きく読みやすい位置に記載するのをおすすめいたします。タイトルを記載する場合は、書類の1番上に大きく書くのがおすすめです。誰が見ても何が書いてあるのかわかるようにしておけば、紛失したり間違って別のフォルダに保存したりするようなミスを防げます。

納品先名

納品書には、正式名称で納品先名を記載しましょう。納品先名がないと、荷物を受け取った側は自社向けに発送された商品なのかどうか判断できないからです。

略さずに、納品先名の正式名称に御中や様などをつけて、丁寧に記載してください。

【株式会社ABC宛の納品書を作成する場合の例】
NG:(株)ABC
OK:株式会社ABC御中

もし納品書を受け取る担当者がわかるのであれば、担当者名まで記載するとより丁寧な印象を与えられます。取引先が「うちの納品書だ」と安心して受け取れるよう、相手の立場になって作成を進めましょう。

発行者名

納品書には、どこから届いた納品書なのかを受け取った企業がすぐにわかるように発行者名も書きます。

記載するのは、自社名または担当者名です。

【発行者名の書き方の例】
自社名を書く場合:株式会社〇〇
担当者名を書く場合:株式会社〇〇 担当△△

多くの取引先がいる企業には、毎日多くの荷物や納品書が届きます。発行者名が記載されていないと相手は連絡先を把握できず、何かがあったときに困るかもしれません。連絡先やメールアドレス・住所なども記載しておくと、なお良いでしょう。

納品書(通し)番号

納品書番号は国税庁が推奨する記載事項には載っていませんが、記載しておくと管理する際に便利です。

毎月多くの取引先から受注がある場合、納品書も増えていきます。納品書に番号を振っておけば、取引先から「確認したいことがある」と連絡があったときに、すぐに控えを探して確認できます。

肝心の番号ですが、自社の社員がわかりやすい番号であれば、何でも良いでしょう。数字・アルファベット・混合など、管理しやすい番号を検討してみてください。

また取引先ごとに納品番号を振る方法もおすすめです。A社は『a0001~』、B社は『b0001~』のように区別すれば、控えを顧客ごとにわかりやすく管理できます。

発行日

納品書を発行した日付を、年・月・日まで細かく書きましょう。

発行日を書いた納品書は、管理しやすいです。〇年度〇月分・〇年度△月分のように、月ごとに分けて保存したいときにも役立ちます。

納品書すべてに発行日を記載しておけば、社内で過去の納品について確認しなければならないときにもすぐに探し出せるでしょう。

また、取引先と商品に関する話をする際、「〇月〇日の納品分について確認したいのですがよろしいでしょうか?」のように伝えられるため、会話がスムーズに進みます。

商品もしくはサービス名

取引先が瞬時に理解できるよう、正式名称の商品名やサービス名を書きましょう。自社内で使われている略称などを記載すると、取引先は「こんなもの頼んだかな?」と困惑するかもしれないからです。

事前に見積書を作成していた場合は、見積書と同じように記載すると丁寧な印象を与えられます。

単価

商品やサービス1つに対する単価を記載します。フォーマットや企業にもよりますが、単価は以下のように数字のみで記載するのが一般的です。

【例】
商品A|10,000

なお単価が税込みなのか税抜きなのか一目でわかるよう、税区分も記載しておくと良いでしょう。基本的には、消費税は別で記載して最後に足すため、税抜きの単価を書きます。

数量

納品した数量を商品ごとに書きます。商品の数量は自社と取引先の在庫数にも大きな影響を与えるため、ミスなく正確に書きましょう。

また事前に取引先から依頼された数量と合っているかどうか、最終チェックするのも忘れないでください。

単位

数量に対して、商品やサービスの数に対する単位を以下のように書きます。

  • 〇個
  • 〇枚
  • 〇本
  • 〇ケース

単位がなくとも伝わるケースが多いですが、企業間のやりとりを証明する納品書には念のために記載しておくと安心でしょう。商品やサービスの数量を正確に数えて記載するのが難しい場合は、「一式」と記載しても問題ありません。

商品もしくはサービス名ごとの金額

商品もしくはサービス名ごとの金額を、以下のように書きます。

商品名 数量 単価 商品ごとの合計金額
商品A 10個 100 1,000円
商品B 1個 500 500円

数量・単価に間違いがありますと、商品ごとの合計金額に誤りが生じます。そうなりますと取引先に迷惑をかけるおそれが。入力後は、しっかりと確認するようにしましょう。

小計

商品もしくはサービスごとの合計金額をすべて足した金額が、小計です。

ExcelやWordなどを利用して電子的に作成した納品書は自動で計算できますが、計算機を使ってミスがないか二重チェックすることが大切です。

手書きの場合も、小計金額に間違いがないかしっかりと確認しましょう。

消費税

納品物にかかる消費税を、消費税の欄に記載します。

納品書では『合計金額:〇円(税込)』のような記載の仕方はしません。小計〇円、消費税〇円、合計金額〇円と一目でわかるよう、細かく分けて記載します。

最終的な合計金額

小計と消費税を足した金額を、合計金額として書きましょう。

取引先に請求する合計金額は、間違いのないよう送付前にしっかりと確認してください。

間違いがあった場合は取引先にお詫びをしたうえで、正しい納品書を再発行します。社内規則や取引先の都合などで再発行ができない場合は、二重線と印鑑を用いて訂正しましょう。

備考欄

備考欄とは、メモ書きのような項目のことです。取引先に伝えたほうが良いこと、伝えておきたいことがあれば備考欄に書きましょう。

例えば以下のような連絡事項があった場合、備考欄に記載しておくと取引先が納品書と納品物を確認する際に戸惑ったり確認したりする必要がなくなります。

  • 商品Aは今回より形状が変更となりました
  • 商品Bは他の商品よりも壊れやすいため扱いにお気を付けください
  • 〇日~〇日までは稼働しておりません。連絡は〇日以降にお願い申し上げます

納品書兼請求書の場合は、自社の連絡先や振込先・振込手数料などを備考欄に記載してください。

請求書を別で送付する場合は「請求書は後日送付いたしますので、ご確認よろしくお願いいたします」と書いておくのも良いでしょう。

何も書くことがなければ「今月もご注文いただきありがとうございます。何か不備がございましたら、大変恐れ入りますがご連絡をお願い申し上げます」のような一言を添えておくのがおすすめです。

納品書関連でよくある質問を解説!

最後に、納品書関連でよくある質問を解説いたします。

  • 納品書に発行義務はありますか?
  • 納品書に保管期間はありますか?
  • 納品書は電子保存が可能ですか?
  • 納品書に印鑑は必須ですか?

納品書に発行義務はありますか?

納品書に発行義務はありません。商品やサービスのやりとりをする際に納品書を作成せず取引しても、基本的に問題ありません。

しかし納品書は取引した記録として残せる書類のため、企業間のトラブルを防止したり納品物を確認したりする際に役立ちます。

取引先が届いた荷物を開封する際に納品書があると、中身と個数をチェックしやすいです。

また仕入税額控除を受ける際は、納品書の保存を求められます。後々必要だった場合に困らないよう、納品と納品書の作成はセットだと覚えておくと安心です。

納品書に保管期間はありますか?

取引の証拠となる納品書には、保管期間があります。以下は、請求書等の保管期間に関する国税庁の公式サイトの文章です。

法人は、帳簿(注1)を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成または受領した書類(注2)を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間(注3)保存しなければなりません。

(注1)「帳簿」には、例えば総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあります。

(注2)「書類」には、例えば棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などがあります。

(注3)青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失金額が生じた事業年度においては、10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)となります。

引用元:国税庁|No.5930 帳簿書類等の保存期間(2023年9月4日時点)

法人の納品書の保管期間は7年です。納品書の発行から7年ではなく、確定申告書の提出期限の翌月から7年である点に注意しましょう。

ちなみに税法で定められている保管期間は7年ですが、会社法では10年です。

第四百三十二条 株式会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない。
2 株式会社は、会計帳簿の閉鎖の時から十年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない。

引用:e-GOV法令検索|会社法(平成十七年法律第八十六号)(2023年9月4日時点)

納品書に限った話ではありませんが、他社との取引に使用した書類の取り扱いは慎重に行いましょう。

納品書は電子保存が可能ですか?

納品書の電子保存は可能です。以下は、スキャナ保存できる書類の例です。

【例】
・契約の申込書
・請求書
・納品書
・送り状
・検収書
・見積書
・注文書 等
 及びこれらの写し

引用元:国税庁|電子帳簿保存法が改正されました|2ページ目(2023年9月4日時点)

電子帳簿保存法で、税務関係帳簿書類のデータ保存が可能になりました。ちなみに、以下は電子保存における3つの区分です。

  • 1.電子取引データ保存
  • 2.電子帳簿等保存
  • 3.スキャナ保存

取引情報をおよび作成した納品書を電子保存することが可能。また紙の納品書をスキャナで読み取り、電子データにして保管する方法もあります。

納品書を電子保存するメリットは、共有しやすい・紙媒体よりもかさばらないため管理が楽になるなどです。電子データで受け取った場合は、そのまま電子保存するほうが経理の負担を減らせることでしょう。

納品書に印鑑は必須ですか?

納品書への印鑑は必須ではありません。押印していない納品書も、正式な書類として認められます。

事実、以下は東京都中央区の例ですが、見積書や納品書に押印は不要だと令和3年10月に発表されました。

この度、事業者の負担軽減及び利便性向上並びにデジタル化の推進などの観点から、中央区に提出される見積書・納品書、完了届及び工事竣功届について、氏名印や代表者印の押印を不要としましたのでお知らせします。

引用元:中央区|見積書・納品書等への押印が不要となりました(2023年9月4日時点)

納品書への印鑑は必須ではないのですが、企業間で商品や金銭に関わる取引が行われる際は書類に押印するのが一般的です。取引先に押印が必要かどうかを事前に確認するのがおすすめです。

まとめ|納品書の書き方に注意!

納品書は、商品やサービスのやりとりを行う際に発行する書類です。いつ・何を・何個納品したのかすぐに確認できるため、双方が納得して取引を行った証明にもなります。納品書の発行は義務ではないのですが、トラブルや納品ミスを防ぐためには作成したほうが良いでしょう。

また、納品書の書き方に決まりはありません。自社と取引先の双方にとって必要な項目が記載されていればOKです。ただし納品先名や発行者名を記載しなければ、納品書を原因とした誤解が生じるかもしれません。ご注意ください。

なお作成した納品書を電子保存するのであれば、ぜひDenHoをご利用ください。DenHoであれば電子帳簿保存法を遵守した管理を簡単に実現できます。ぜひご検討ください。

電子帳簿保存システムDenHo

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