文書管理システムとは?メリット・システムの選び方を解説

「文書の一括管理をしたいけれど、何を利用すれば良いかわからず困っている」
「文書管理システムとはどのようなものかわからない」

文書の管理業務を行っている方のなかには、こうした悩みを持っている方は多いのではないでしょうか。

従来の紙の文書の保管では、再利用時に手間や時間がかかったり保管場所の確保が必要だったりといった不便さがあります。文書の紛失や持ち出しによる情報漏洩などのリスクもあり、電子的な保管へ移行している企業もあるでしょう。

文書を電子的に保管する際には、文書管理システムがおすすめです。文書管理システムは一元的に文書を電子保存でき、保管場所の確保や紙文書作成にかかるコストを削減できます。システム内での文書の検索もできるため、必要な情報を取得しやすくなり、業務効率の向上も期待できるでしょう。

文書管理システムはさまざまな製品があり、製品によって搭載している機能は異なります。そのため、選ぶ際にはポイントを押さえて吟味することが大切です。

本記事では文書管理システムとは何か、使うメリット、選び方を解説します。文書管理システムに関するよくある質問にも回答しているため、導入を検討している方はぜひ参考にしてください。

文書管理システムとは?機能などを解説

文書管理システムとは文書を電子的に一元管理できるシステムです。どのようなものなのか、以下の3つの観点で解説します。

  • 文書管理機能とは?
  • 文書管理システムの主な機能
  • オンプレミス型とクラウド型がある

自社にあった文書管理システムを導入するためにも、まずは具体的にどのようなものなのか理解を深めましょう。

文書管理機能とは?

文書管理機能とは電子化した文書の作成から廃棄までをパソコン上で一元管理できるシステムのことです。書類を一貫して電子的に管理でき、ペーパーレス化や電子帳簿保存法、インボイス制度などへの対応を進めるために注目を集めています。

一般的に、日常業務で扱う文書は紙媒体の書類や資料が主流でした。しかし紙の文書は保管するための場所の確保が必要であったり、必要な書類がどこにあるかわからず探すのに手間取ったりするなどの課題があります。さらに、火災や災害などによる紛失や情報漏洩などのリスクもあります。

文書管理機能は、文書を一貫してパソコン上で管理するシステムです。専用のシステム内で書類の作成や検索、保管などを一元的に行えます。また、インターネットを利用してスマートフォンやダブレットなどさまざまなデバイスでいつでもどこでも文書へのアクセスが可能です。

これにより、従来抱えていた課題を解決できます。文書管理にかかっていた手間や時間が削減できるため、文書管理機能の活用により業務の効率化やリスクの軽減ができるでしょう。

文書管理システムの主な機能

文書管理システムの主な機能は以下の通りです。

  • 保管
  • 検索
  • 外部システム連携
  • ワークフロー補助
  • バージョン管理
  • セキュリティ
  • アクセス権限

基本となる機能は文書の保管機能です。部署や種類などをもとに分類してシステム内に保管します。業務上の文書を一括して電子的に保管するため、紙の文書を保管する手間がかかりません。

検索機能は、保管されている文書の内容を検索できる機能です。必要な文書が見つけやすくなるため、業務の効率化に役立ちます。また、外部システム連携機能では会計や販売管理などの他のシステムとの連携が可能です。これにより、必要な情報へのアクセスが容易になります。

ワークフロー補助機能は、文書の申請・承認をシステム上で行う機能です。従来は紙の文書を回して承認を得ていた稟議書や申請書などの文書を、システム上で行えます。これまで紙の書類を回すためにかかっていた手間がなくなり、効率的に申請から承認まで行えるでしょう。

バージョン管理は、いつ・誰が・どのような文書の変更を行ったかといった更新履歴を管理する機能です。電子的な文書は、上書きすると変更前の状態がわからなくなってしまいます。バージョン管理をすることで、誤って変更してしまった場合にも復元が可能です。

セキュリティやアクセス権限機能では、不正アクセスや情報の持ち出しなどのリスクへの対策を行います。ファイルの暗号化や文書に透かし文字を入れるなどの機能があり、情報漏洩のリスクを軽減できるでしょう。

このように、文書管理システムには業務の効率化とセキュリティ対策を実現するために活用できるさまざまな機能があります。

オンプレミス型とクラウド型がある

文書管理システムは大きく分けて以下の2種類があります。

種類 特徴
オンプレミス型 自社内にサーバーやネットワーク回線などを構築するシステム。自由に開発できる一方、導入・維持管理にコストがかかる。
クラウド型 オンライン上で提供されているシステムのサーバーを利用するシステム。導入コストを抑えられるが、利用するためのランニングコストがかかる。

オンプレミス型はサーバーやネットワーク回線など、ハードウェアおよびソフトウェアを自社内に構築するシステムです。文書管理システムを利用する体制を社内で管理するため、開発の自由度が高く、自社の業務内容や組織体制に合わせたシステム環境を構築できます。セキュリティの強度も調整しやすい点も特徴です。

一方で、導入・維持管理のコストがかかったり定期的なメンテナンスが必要などのデメリットもあります。

クラウド型はオンライン上で提供されているシステムのサーバーを利用するシステムです。自社でサーバーを構築する必要がなく、導入コストを抑えて利用できます。また、メンテナンスはシステムの提供者が行うため、維持管理の手間がかかりません。社外からのアクセスも可能なため、テレワークにも対応しやすいでしょう。

ただし、セキュリティ面ではオンプレミス型よりも脆弱な可能性があります。また、システムの利用料が月や年単位でかかるため、ランニングコストの負担が発生する点もデメリットのひとつです。

オンプレミス型とクラウド型はそれぞれにメリット・デメリットがあります。両者の違いを把握し、自社にあったものを選びましょう。

文書管理システムを使うメリット

文書管理システムを使うメリットは以下の3つです。

  • 業務効率が向上する
  • リモートワークに対応可能
  • コストを削減できる

文書管理を導入すると、さまざまな自社の課題を解決できる可能性があります。どのようなメリットがあるのか詳しく見てみましょう。

業務効率が向上する

文書管理システムを使うと、業務効率の向上が期待できます。システム上で一括管理しているため、これまで文書を扱う業務にかかっていた手間や時間の大幅な削減が可能です。

先述した通り、文書管理システムでは文書の保管だけではなく検索機能やワークフロー補助などの機能があります。検索機能によって必要な情報へアクセスしやすくなれば、紙の文書のときよりも探す手間や時間を大幅に短縮することが可能です。ワークフロー補助であれば、書類を持ってオフィス内をあちこち尋ねる必要がなくなります。

また、外部システム連携機能では、他部署への情報共有がしやすくなります。例えば会計システムと連携させた場合、経費の精算の自動化が可能です。

このように、紙の文書でかかっていた手間や時間を削減できるため、空いた時間を他の業務に利用できます。文書をシステム内で一元管理できるため、会社全体の業務効率化につながります。

リモートワークに対応可能

リモートワークに対応できる点も、文書管理システムを使うメリットのひとつです。文書管理システムは、ネットワーク環境を整えれば社外からのアクセスができます。

情報漏洩や紛失のリスク回避のため文書の持ち出しを禁止していると、リモートワークでは書類の閲覧や利用のためだけに出社しなければならないケースがあります。文書管理システムを導入してシステム上で管理していれば、出社せず社外で文書の閲覧や利用が可能です。

ユーザーのアクセス履歴や文書の閲覧・編集履歴などを記録できる機能もあるため、いつ・誰が・どの文書へアクセスしたかなどの情報も把握可能です。ユーザー別のアクセス権限の管理もでき、文書を効率的かつ安全に管理できます。セキュリティ機能もあるため、不正アクセスや情報漏洩などのリスクを軽減して文書を利用できるでしょう。

特にリモートワークに対応しやすいのは、クラウド型の文書管理システムです。クラウド型の場合、インターネットがあれば場所やデバイスに限らずいつでもアクセスできます。リモートワークでも支障なく必要な文書を利用できるようになるでしょう。

コストを削減できる

文書管理システムを使うと、コストを削減できる点もメリットです。電子文書として管理するため、紙の文書でかかっていたさまざまなコストがかかりません。

紙の文書では主に以下の金銭的なコストがかかります。

  • 紙代
  • インク代
  • 保管費用

文書を印刷するための紙代やインク代はもちろん、保管するためにファイル代なども発生します。場合によっては書類保管用のキャビネットやロッカーの購入が必要になるケースもあるでしょう。

また、金銭的なコストの他にも労力や時間のコストもかかります。紙で文書を保管していると、必要な書類や情報を見つけるためにたくさんの文書を確認しなければならず、膨大な時間がかかってしまいがちです。これにより他の業務にかけられる時間が削られ、社員の手間もかかってしまいます。

文書管理システムを導入すれば、電子化した文書を管理するため、紙の文書にするためにかかっていた金銭的なコストが発生しません。また、検索機能により労力や時間のコストも削減できます。これまで無駄にかかっていたさまざまな面でのコストを削減できるでしょう。

文書管理システムの選び方

文書管理システムを選ぶ際に注目したいポイントは、以下の4つです。

  • 必要な機能があるか
  • セキュリティ対策は施されているか
  • 他のシステムとの連携は可能か

製品によって機能が異なるため、導入前によく確認することが大切です。具体的にどのようなポイントに注意して選ぶと良いのかを解説します。

必要な機能があるか

文書管理システムを選ぶ際には、自社に必要な機能があるかをチェックしましょう。自社に必要な機能がなければ、導入しても有効に活用できません。文書管理システムを有効に活用するには、まずは自社に必要な機能は何かを洗い出すことが大切です。

文書の保管や検索などの機能でも、製品によって対応している範囲が異なります。

例えば、文書を検索する際、文書の名称や検索したい語句をピンポイントで検索する場合もあれば、あいまいな表現で検索したい場合もあるでしょう。また、ワークフローの改善や見直しを目的とする場合は、自社のワークフローの課題を解決できる機能の有無の確認が欠かせません。

検索機能であれば、さまざまなパターンを想定し、完全一致検索やあいまい検索など複数の検索方法があると便利です。ワークフローであれば承認が必要な文書の管理機能が充実していると業務効率の向上が期待できるでしょう。

このように、製品ごとの違いだけを見るのではなく、自社の課題や導入の目的を明確化したうえで必要な機能があるかどうかを確認することが大切です。導入前に文書管理システムで何がしたいのかを明らかにしたうえで、それにあったシステムを探しましょう。

セキュリティ対策は施されているか

セキュリティ対策が施されているかどうかも、文書管理システムを選ぶ際のポイントです。セキュリティ対策が高い水準で施されていれば、文書を適切に管理し、セキュリティ面でのリスクを軽減できます。

顧客情報や契約内容など機密性の高い文書を保管する際、セキュリティ対策が不十分では不正アクセスが起こりかねません。また、機密文書のデータの持ち出しや編集が誰でもできる状態になっていれば、情報漏洩やデータ改ざんのリスクも高まります。

こうしたリスクを軽減するためには、高い水準でのセキュリティ対策が必要です。文書管理システムを導入する際には、主に以下のポイントをチェックしましょう。

  • アクセス権限を細かく設定できるか
  • アクセス・編集履歴情報を記録できるか
  • 印刷・ダウンロードなどデータの持ち出し禁止機能があるか
  • 透かし文字などスクリーンショットへの対策機能があるか
  • 2段階認証などの不正アクセス防止機能があるか

高い水準でのセキュリティ対策ができれば、さまざまなリスクを回避できます。強固なセキュリティ体制をつくりやすいのは、オンプレミス型です。ただし、クラウド型サービスのセキュリティ対策も強化されています。各製品のセキュリティ対策の内容を吟味したうえで、自社に必要な機能を備えたものを導入しましょう。

他のシステムとの連携は可能か

文書管理システムを選ぶ際には、他のシステムとの連携が可能かどうかもチェックしましょう。他のシステムとの連携機能があれば、より業務効率の向上が期待できます。

先述した通り、他のシステムとの連携ができれば社内での情報共有がしやすくなり、文書に関わる業務を効率的に行えるようになります。他のシステムとの連携では、以下の例が代表的です。

  • OCR※サービス
  • 会計システム
  • 電子契約・署名サービス

※OCRとは、PDFや写真などの画像から文字情報を抽出しデータ化する技術のこと。

OCRサービスと連携すればスキャンした紙の文書の情報をテキストデータとして管理できます。これにより手動入力による転記にかかる手間や時間の削減や、入力ミスの防止などが可能です。

会計システムと連携すれば、請求書や注文書などを一括管理でき、帳票に関する業務の効率化ができるでしょう。電子契約・署名サービスでは、契約の締結から終了や更新の手続きなど契約に関する一連の業務を電子化して管理できます。

このように、他のシステムとの連携ができればさまざまな場面で時間を節約できます。ただし、多くの機能を連携すると逆に管理が煩雑になる可能性も否定できません。連携した方が良い機能とする必要がない機能を見極めたうえで、必要な連携機能があるかどうかをチェックしましょう。

マルチデバイスに対応可能か

マルチデバイスに対応可能かも、文書管理システムを選ぶ際に注目したいポイントです。マルチデバイスに対応していれば、どこでも必要なときに文書を確認できます。

社内のパソコンだけではなく、スマートフォンやタブレットなどにも対応していれば社員が会社にいなくても文書の確認ができます。業務文書は、情報漏洩や紛失などのリスク回避のために、データや紙の書類の持ち出しを禁止しているのが一般的でした。そのため、文書に関わる業務は会社で行うしかなく、リモートワークの導入がスムーズに行えないといった課題があります。

マルチデバイスに対応していれば、リモートワークをしている場合でも自宅にいながら書類の閲覧や編集が可能です。書類業務のために出社する必要がなくなり、業務が滞る可能性も回避できます。会社以外の場所での業務が可能になるため、リモートワーク以外にも日々の出先や出張先での業務もしやすくなるでしょう。

ただし、どこでも確認できることで情報漏洩のリスクが高まる可能性がある点に注意が必要です。例えば、公共交通機関やカフェなどで機密資料をスマートフォンで確認する場合、周囲の人にのぞき見される可能性があります。デバイスの紛失や盗難、ウイルス感染などによる情報漏洩も考えられるでしょう。マルチデバイスでの使用を想定している場合は、先述したセキュリティ対策の内容にも注意したうえで導入を検討しましょう。

文書管理システムにてよくある質問

文書管理システムにてよくある質問である『文書管理におけるライフサイクル』を解説します。文書管理におけるライフサイクルとは、文書の作成から廃棄までの一連のサイクルのことです。具体的には以下の6つのプロセスがあります。

プロセス 概要
1.発生 社内で文書を作成する。または取引先など社外から文書を受け取る。
2.活用 文書の目的に沿って使用する。
3.保管 必要なときにいつでも確認や参照ができるように保管する。
4.検索 保管している過去の文書に検索性を持たせる。
5.保存 法的に定められている保存期限まで適切に保存する。
6.廃棄 保存期間が過ぎた書類を適切に廃棄処分する。

文書のライフサイクルは、文書の作成や社外からの授受によって文書が発生するところから始まります。次に、発生した文書の目的に沿って処理が行われます。例えば、契約書であれば契約の締結、稟議書であれば承認や決裁の取得などです。

目的を果たしたばかりの文書はその後の業務で利用する可能性が高いため、いつでも確認できるように保管します。保管時には検索性を持たせるとスムーズに確認でき、業務の効率化にもつながります。また、検索性を持たせると類似文書を作成する際に過去の文書を活用しやすくなるでしょう。

業務で活用する機会が減った後も、法的に定められている保存期間までは保存が必要です。特に帳票は以下のように定められています。

法人は、帳簿(注1)を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成または受領した書類(注2)を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間(注3)保存しなければなりません。

(注1)「帳簿」には、例えば総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあります。
(注2)「書類」には、例えば棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などがあります。
(注3)青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失金額が生じた事業年度においては、10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)となります。

引用:国税庁|No.5930 帳簿書類等の保存期間(2023年12月6日時点)

上記の保存期間まで適切に保存し、期限が過ぎたあとに文書を廃棄します。廃棄する際には情報漏洩などのリスクも考慮したうえでの処分が必要です。

文書は各プロセスによって活用方法や管理の仕方が異なります。そのため、ライフサイクル内の各プロセスに合わせて適切に管理することが大切です。

まとめ|文書管理システムを使おう

文書を適切に管理するためには、文書管理システムを使いましょう。文書管理システムは、文書の作成から廃棄までを一括管理できるシステムです。従来の紙の文書やファイルサーバーでは煩雑になりがちだった文書の保管を、統一したルールのもとで適切に行えます。

一元的に文書を管理できるため、必要なときに必要な情報へアクセスできる点も文書管理システムのメリットです。紙の文書でかかっていた手間や時間を大幅に削減できるため、業務効率の向上も期待できます。また、アクセス権限の細かな制限や不正アクセスを防止する機能などにより、セキュリティ面の強化もできるでしょう。

文書管理システムにはさまざまな製品があり、利用できる機能は異なります。各製品の機能や導入目的を明確にしたうえで、自社にあったシステムを導入しましょう。

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