請求書や領収書だけじゃない。電帳法の対象帳票はこんなにある。

電子帳簿保存法とは?対象書類は国税関係帳簿と取引関係書類!保存要件などを解説

「電子帳簿保存法の対象書類って、取引関係書類だけ?」
「電子帳簿保存法が改正されたけど、対象書類に何か影響はあるのかな」

電子帳簿保存法の対象書類を調べるとき、このような疑問を抱く方もいるのではないでしょうか。詳細は本文で解説しますが、電子帳簿保存法の対象書類は以下の2つです。

  • 国税関係帳簿(仕訳帳など)
  • 国税関係書類(貸借対照表・契約書など)

そのため仕訳帳・貸借対照表・契約書などを電子保存する場合は、電子帳簿保存法の要件を守らなければなりません。

そして電子帳簿保存法の改正に伴い、各保存区分の要件は変化しました。例えば令和5年(2023年)税制改正に伴い変更された、スキャナ保存要件における『一般書類をスキャナ保存する場合は相互関連性の確保が不要』が、その代表例です。

このようにケースによっては、同じ項目でも「その文書は重要書類なのか、それとも一般書類に分類されるのか?」で取り扱いが変化します。この例からして、企業が電子帳簿保存法に対応するには、文書の種類まで細かく把握する必要があります。

そこでこの記事では電子帳簿保存法の対象書類だけでなく、重要度ごとに区分した取引関係書類の一覧・要件・保存期間・改正内容も解説。この記事を読めば、電子帳簿保存法の対象書類を電子保存する際の対応方法が詳細にわかります。

「電子帳簿保存法に対応して、各文書の保存業務効率化や現場の負担軽減を推し進めたい!」と考えている方は、ぜひ読んでみてください。

電子帳簿保存法の対象書類は取引関係書類など

まずは電子帳簿保存法の対象書類2つを解説します。

  • 国税関係帳簿
  • 電子取引を含めた国税関係書類

国税関係帳簿

電子帳簿保存法の対象書類の1つである国税関係帳簿とは、国税に関する法律で保存が義務付けられている帳簿を指します。具体的に言いますと以下のとおり。

文書名 国税関係帳簿
具体例 仕訳帳
現金出納帳
固定資産台帳
買掛帳元帳
売掛金元帳
など

簡単に言いますと、そのときの社内の財務状態などが記されている文書が、国税関係帳簿に分類されるということ。そのため仕訳帳なども、電子帳簿保存法の対象書類に該当します。

仕訳帳などを電子保存する場合は電子帳簿保存法、厳密にはその1つの保存区分である『電子帳簿等保存』を守らなければなりません。

電子帳簿等保存の要件に関しましては、後述します。

電子取引を含めた国税関係書類

電子帳簿保存法の対象書類はもう1つあります。それが国税関係書類です。国税関係書類はさらに決算関係書類と、電子取引を含めた取引関係書類に分かれています。各書類の具体例は以下のとおりです。

項目 決算関係書類 取引関係書類および
電子取引関係書類
具体例 貸借対照表
損益計算書
棚卸表
財産目録
事業報告書
など
契約書または控え
請求書または控え
領収書または控え
納品書または控え
見積書または控え
など

要は決算に関する情報が記された書類と、それら書類を作成する際に必要となる文書を、国税関係書類と言います。したがって貸借対照表・契約書または控えなどを電子保存する場合も、電子帳簿保存法を遵守しなければなりません。

決算関係書類であれば国税関係帳簿と同様に電子帳簿等保存を、取引関係書類であればスキャナ保存もしくは電子取引データ保存の遵守が求められます。そのため各保存要件は必ず覚えておきましょう。

なお、上記のような各文書を仕分けるのは大変です。専門知識や経験がなければ、かなりの時間がかかってしまうことでしょう。それに伴い人件費が高騰し、悩む責任者の方は多いのではないでしょうか。

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ちなみに取引関係書類は、重要度によってさらに3つに分類されます。スキャナ保存などの保存要件の前に、先にこちらを解説しておきますね。

注意!取引関係書類は3つの重要度に分けられる

電子帳簿保存法の対象書類の1つである取引関係書類を、3つの重要度に分けて解説します。

  • 【重要度:高】重要書類|領収書など
  • 【重要度:中】重要書類|請求書など
  • 【重要度:低】一般書類|見積書など

【重要度:高】重要書類|領収書など

取引関係書類は電子帳簿保存法の対象書類ですが、その中でも特に重要度が高いのが契約書と領収書の2つです。詳細は以下の通り。

書類の名称・内容 書類の性格 書類の重要度
・契約書
・領収書
及び恒久的施設との間の内部取引に関して外国法人等が作成する書類のうちこれらに相当するもの
並びにこれらの写し
一連の取引過程における開始時点と終了時点の取引内容を明らかにする書類で、取引の中間過程で作成される書類の真実性を補完する書類 資金や物の流れに直結・連動する書類のうち特に重要な書類

引用元:国税庁|電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】|3ページ目(2023年7月12日時点)

契約書と領収書におけるポイントは『開始時点と終了時点の取引内容』であるということ。開始時点と終了時点が明らかになっていれば、その取引が実在したこと・支払いが完了していることを確認できます。

そうなれば発注元・受注先の両者に事実確認しやすくなりますよね。「〇月〇日に50,000円の支払いが行われた、△△との取引に関する領収書を見せてください」というイメージです。このときに契約書および領収書の存在を確認でき、申告内容などと相違がなければ真実、そうでなければ虚偽ということになります。

そもそも上述しましたように、取引関係書類は国税関係書類の一部。つまり納税額などといった税金に深く関わってくる書類です。そのこともあり資金の流れの開始・終着地点や、納品書などといった『取引の中間地点で作成された書類』の真偽を決定づける領収書や契約書の存在を、国税庁は非常に重要視していることが伺えます。

ゆえに領収書および契約書は『【重要度:高】重要書類』に分類されているのでしょう。この2つは電子帳簿保存法の対象書類の中でも特に重要ですので、必ず保存してくださいね。

【重要度:中】重要書類|請求書など

電子帳簿保存法の対象書類の中で、契約書と領収書の次に重要視されているのが『【重要度:中】重要書類』です。詳しくは以下の通り。

書類の名称・内容 書類の性格 書類の重要度
・預り証
・借用証書
・預金通帳
・小切手
・約束手形
・有価証券受渡計算書
・社債申込書
・契約の申込書
(定型的約款無し)
・請求書
・納品書
・送り状
・輸出証明書
及び恒久的施設との間の内部取引に関して外国法人等が作成する書類のうちこれらに相当するもの
並びにこれら(納品書を除きます。)の写し
一連の取引の中間過程で作成される書類で、所得金額の計算と直結・連動する書類 資金や物の流れに直結・連動する書類

引用元:国税庁|電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】|3ページ目(2023年7月12日時点)
※国税局電話相談センターに確認したところ、支払明細書も『【重要度:中】重要書類』に分類されるとのこと。ただし国税局の方が言うには、その書類がどのような役割を果たすのかで区分が変更になる可能性もあるとのこと。例えば仮に同じ文書だったとしても、領収書と同じような役割を果たす場合は『【重要度:高】重要書類』になる可能性があるとのこと。要は文書の名称よりも、その書類が持つ性格(果たす役割)の方が重要視されるようです。気になった方は国税局電話相談センターにお確かめください。

先ほどとは打って変わり、非常に多くの文書が対象書類になっています。ここでの要点は『取引の中間過程で作成される書類』ということ。どういうことかといいますと、例えば対象書類に『納品書』などがありますよね。実際のやり取りをイメージしてほしいのですが、納品書などといった書類は取引中に授受します。

そしてこのときのポイントは、これが取引における最終決定ではないということ。あくまで中間地点での話であり、この納品書の内容通りに支払ったこと・取引が終了したことの証明にはなりません。納品後に商品の欠陥が発見され、交渉の末に割引、実際にはもっと安い支払いで済んだかもしれない可能性があるからです。

そのこともあり納品書などといった書類は、『資金や物の流れに直結・連動する書類』ではあるものの、証拠としての決定打にはなりづらいという側面があります。

事実、仮に税務調査時に納品書を提示したとしても、多くの場合において「契約書もしくは領収書も見せてください」と言われ、細かくチェックされますよね。契約書や領収書を提示および納得されて初めて、その納品書が信用されるということです。

さきほどの国税庁の資料にて、契約書と領収書のことを『取引の中間過程で作成される書類の真実性を補完する書類』と記載されていましたが、このことを指しているのでしょう。そういった背景もあり、『取引過程における開始時点と終了時点の取引内容を明らかにする書類』である契約書や領収書の方が、重要度は高く設定されています。

もちろん納品書なども重要な書類であることに違いはありません。必ず保存をしてくださいね。そして電子保存をするのであれば、電子帳簿保存法を守らなければなりません。

【重要度:低】一般書類|見積書など

取引関係書類にはもう1つの種類があります。それが『【重要度:低】一般書類』です。具体的には以下の通り。

 

書類の名称・内容 書類の性格 書類の重要度
・検収書
・入庫報告書
・貨物受領証
・見積書
・注文書
・契約の申込書
(定型的約款有り)
並びにこれらの写し
及び納品書の写し
資金の流れや物の流れに直結・連動しない書類 資金や物の流れに直結・連動しない書類

引用元:国税庁|電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】|3ページ目(2023年7月12日時点)

『【重要度:低】一般書類』の対象になっている文書のポイントは『資金や物の流れに直結・連動しない書類』です。具体例として見積書などが挙げられていますよね。

まず想像してみてほしいのですが、見積書を発行・取引先に手渡したとしても、商品やお金はまったく動いていません。これは見積書が『仮に商品を注文したら、これぐらいの金額になりますよ』という説明しか果たさないからです。あくまで仮定の話をする書類にしかすぎないということですね。

仮定の話ということで、見積書や注文書は『資金や物の流れに直結・連動しない書類』に分類されるわけです。そして資金やモノの流れに直結しないということで、重要度は最低ランクの『低』になっています。

しかし重要度が低いとはいえ、電子帳簿保存法の対象書類であることに変わりはありません。したがって電子保存をするのであれば、スキャナ保存・電子取引データ保存の要件を守らなければなりません。

肝心の保存要件は次で解説しますね。

スキャナ保存など!電子帳簿保存法の要件

ここからは電子帳簿保存法の対象書類を、電子保存する際の要件を解説します。

  • 電子帳簿等保存
  • スキャナ保存
  • 電子取引データ保存

電子帳簿等保存

電子帳簿等保存とは、仕訳帳などといった帳簿や書類を電子的に作成し、そのまま電子データとして保存することを指します。簡単に言いますと、クラウド上などで作成した仕訳帳を、クラウド上もしくはパソコン上で保存する行為のことです。

そしてこのとき、以下の保存要件を守らなければなりません。

電子帳簿の保存要件の概要 優良 その他
記録事項の訂正・削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認できる電子計算機処理システムを使用すること
通常の業務処理時間を経過した後に入力を行った場合には、その事実を確認できる電子計算機処理システムを使用すること
電子化した帳簿の記載事項とその帳簿に関連する他の帳簿の記録事項との間において、相互にその関連性を確認できること
システム関係書類等(システム概要書、システム仕様書、操作説明書、事務処理マニュアル等)を備え付けること
保存場所に、電子計算機(パソコン等)、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと
1.記録項目は取引年月日、取引金額、取引先の3つのみ
2.日付又は金額の範囲指定により検索出来ること 〇※1
3.二つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること 〇※1
税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしていること ―※1 〇※2

引用元:国税庁|電子帳簿保存法が改正されました|2ページ目(2023年7月12日時点)
※1 保存義務者が、税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、検索要件のうち2・3の要件が不要となります(後述のスキャナ保存及び電子取引についても同様です。)。
※2 “優良”の要件を全て満たしているときは不要となります。

要は、税務職員に「見せてください」と要求されたときに、パソコン上に表示・データをダウンロード・紙にプリントアウトできるようにしておくということ。多くの企業では、すでに条件を満たしていることでしょう。

もちろん作成した仕訳帳などを『優良』判定されたいのであれば、『事実及び内容を確認できる電子計算機処理システムを使用する』などといった項目もクリアしなければなりません。

優良判定されれば所得税の⻘⾊申告特別控除を受けられるため、余裕があるのであれば目指してみると良いでしょう。

スキャナ保存

スキャナ保存とは、紙で受け取った領収書などを専用機器で読み取り、電子保存する行為を指します。もちろんスマホで撮影し、紙の領収書を画像データ化および電子保存する行為もスキャナ保存に分類されます。

そしてスキャナ保存をするのであれば、以下の要件を必ず守らなければなりません。

  • 入力期間の制限
  • 解像度200dpi以上で読み取る
  • カラー画像(赤・緑・青それぞれ256階調【約1677万色】以上)※1
  • タイムスタンプの付与※2
  • ヴァージョン管理
  • スキャン文書と帳簿との相互関連性の保持※3
  • 見読可能装置(14インチ以上のカラーディスプレイなど)の備付け
  • 電子計算機処理システムの開発関係書類などの備付け
  • 検索機能の確保

参考:国税庁|はじめませんか、書類のスキャナ保存!(2023年7月12日時点)
参考:国税庁|電子帳簿保存法の内容が改正されました〜令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要〜(2023年7月12日時点)
※1:一般書類は、グレースケール(白黒)で保存可能。
※2:入力期間内にその国税関係書類に係る記録事項を入力したことを確認できる場合は、このタイムスタンプの付与要件に代えることが可能。ただし、認定タイムサーバーから時刻を取得する第三者の運営するクラウドサービスのみ、タイムスタンプがなくてもOK
※3:一般書類をスキャナ保存する場合については、相互関連性の確保が不要

画像をデータ化するということで、解像度やカラー画像などといった画像に関する指定があります。仮に電子保存をしたとしても、解像度が悪くて文字や数字を読み取れなければ意味がないからです。そのため領収書などを保存するときは解像度200dpi以上、カラー保存をしなければなりません。

ただし見積書などといった一般書類であれば、白黒で保存することも可能です。一般書類は電子帳簿保存法の対象書類ではあるものの、重要度が低いということで、このような措置になっているのかもしれません。

そして何より、一般書類をスキャナ保存する場合は、スキャン文書と帳簿との相互関連性の保持が不要です。具体的には見積書などといったスキャン文書と帳簿の両方に伝票番号などを付け、その番号を検索したときに双方の関連性を確認できなくてもかまわないということ。現場からしますと、少なからず負担が減ったわけですね。

一般書類の種類を知ったついでに、このことも覚えておくと良いでしょう。

電子取引データ保存

電子取引データ保存とは、電子的に授受した金額などの取引情報を、電子データのまま保存する行為を指します。例えばメールやチャットツールなどで、PDF化された領収書などを受け取り、パソコンにダウンロード・保存したとしますよね。あれが電子取引データ保存に該当します。

そしてこのとき、電子帳簿等保存やスキャナ保存と同様に、保存要件が定められています。詳しくは以下の通り。

真実性の確保

以下の措置のいずれかを行うこと。
1.タイムスタンプが付された後、取引情報の授受を行う
2.取引情報の授受後、速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付す
3.記録事項の訂正・削除を行った場合に、これらの事実及び内容を確認できるシステム又は記録事項の訂正・削除を行うことができないシステムで取引情報の授受および保存を行う
4.正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規定を定め、その規定に沿った運用を行う

可視性の確保

1.保存場所に、電子計算機(パソコン等)、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと
2.電子計算機処理システムの概要書を備え付けること
3.検索機能※を確保すること

参考:国税庁|電子帳簿保存法が改正されました|4ページ目(2023年7月12日時点)
参考:国税庁|電子帳簿保存法の内容が改正されました〜令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要〜(2023年7月12日時点)
※:電子帳簿等保存の検索要件1~3に相当する要件のこと。ただしダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、『2.日付又は金額の範囲指定により検索できる』および『3.2つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できる』は不要。
なお、この場合において『前々年度の売上高が5,000 万円以下』もしくは『取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理された状態で紙に出力・提示・提出できる』場合には、検索機能のすべてが不要

真実性の確保においては、1~4のどれかを満たせばOKです。タイムスタンプの付与、もしくは記録の変更・削除履歴が残るシステムを導入すれば問題ありません。

可視性の確保に関しては、1~3の3つすべてを満たさなければなりません。しかし1と2はそれほど難しくないでしょう。現時点で条件を満たしている企業がほとんどのハズ。

3の『検索機能』に関してですが、これは電子帳簿等保存で記載している検索要件と同じです。基本的には『取引年月日・取引金額・取引先』で、対象書類を検索できるようにしておけば条件をクリアします。具体的にいいますと、ファイル名を以下のようにして電子保存すれば問題ありません。

【保存例】
2024.0101.100000円.株式会社電子保存

ファイル名を上記のようにしておけば、フォルダの検索欄に取引先名などを入力・検索することで表示されるようになります。こちらに関しましても、ハードルは高くないですよね。

ただし、すべてのファイルを逐一記入するのは現実的ではありません。現場の負担が重くなることは目に見えています。

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そもそも電子帳簿保存法とは?保存期間も解説

ここで一度、電子帳簿保存法の基本情報を解説します。

  • そもそも電子帳簿保存法とは?
  • 対象書類の保存期間

そもそも電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法とは以下のように、請求書など保存が義務付けられている国税関係帳簿書類の電子保存を認める法律のことです。

電子帳簿保存法は、税務関係帳簿書類のデータ保存を可能とする法律

引用元:国税庁|電子帳簿等保存制度特設サイト(2023年)

ここでいう電子保存とは、既述した『電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引データ保存』の3つを指します。請求書や領収書をスキャナ保存などしても良いことになったのは、電子帳簿保存法のおかげということですね。もちろんこの際は、タイムスタンプなどの要件を守らなければなりません。

そうなりますと、同じく電子保存を認める法律『e-文書法』と同じように感じますが、両者はまったく異なる法律です。対象書類が違うからです。詳しくは後述します。

対象書類の保存期間

肝心の保存期間ですが、法人ですと7年間になっています。ただし欠損金額を繰り越す場合は、以下のように9年もしくは10年間です。

法人は、帳簿(注1)を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成または受領した書類(注2)を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間(注3)保存しなければなりません。

(注1)「帳簿」には、例えば総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあります。
(注2)「書類」には、例えば棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などがあります。
(注3)青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失金額が生じた事業年度においては、10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)となります。

引用元:国税庁|No.5930帳簿書類等の保存期間(2023年7月12日時点)

ポイントは『その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間』ということ。請求書などの発行日・領収書などの領収日ではありません。間違えやすいのでご注意ください。

そして一般企業の場合、確定申告書の提出期限は以下のように『各事業年度終了の日の翌日から2月以内』と定められています。

通算法人は、通算制度を適用しない法人と同様、原則として各事業年度終了の日の翌日から2月以内に、確定申告書を提出する必要があります。
ただし、確定申告書の提出期限の延長の特例を受ける場合には、全ての通算法人につきその期限が原則として2月間延長されます。

引用元:国税庁|確定申告書の提出期限(2023年7月12日時点)

そのため例えば自社の決算が2023年4月末なのであれば、各帳簿書類の保存期間は2030年6月末になります。非常に長い期間の保存が義務付けられますので、覚えておきましょう。

なお個人事業主の場合だと以下のように、5年もしくは7年間が保存期間となります。

種類 保存期間5年 保存期間7年
青色申告 取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など) 仕訳帳
総勘定元帳
現金出納帳
売掛帳
買掛帳
経費帳
固定資産台帳
損益計算書
貸借対照表
棚卸表
領収証※1
小切手控※1
預金通帳※1
借用証※1
など
白色申告 業務に関して作成した右記以外の帳簿(任意帳簿)
決算に関して作成した棚卸表その他の書類
業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類
収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)

引用元:国税庁|記帳や帳簿等保存・青色申告(2023年7月12日時点)
※1:前々年分の事業所得及び不動産所得の金額が300万円以下の方は、5年

これに付け加えて、課税売上高が1,000万円の事業者は課税事業者になり、以下のように保存期間が7年間に変更されます。

課税事業者は、帳簿を備え付けて、これに取引を行った年月日、内容、金額、相手方の氏名または名称などの必要事項を整然とはっきり記載し、この帳簿の閉鎖の日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間、事業者の納税地またはその事業に係る事務所等で保存しなければなりません(注)。

引用元:国税庁|No.6621帳簿の記載事項と保存(2023年7月12日時点)

課税売上高が1,000万前後を推移している個人事業主の方は、特に気を付けてください。

さらにインボイス制度に伴い、適格請求書を発行した場合は法人・個人に関係なく保存期間が7年間になります。

この適格請求書の写しや電磁的記録については、交付した日又は提供した日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、納税地又はその取引に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地に保存しなければなりません(新消令70の13①)。

引用元:国税庁|適格請求書等の写しの保存 (2023年7月12日時点)

インボイス制度は2023年10月1日からスタートします。そのため適格請求書のやり取りが必然的に増えます。このことを知らずに5年で多くの書類を廃棄してしまいますと、税務署から注意を受けることは必至です。このようなことは絶対に避けるべきですよね。

以上、売上高や適格請求書のことを考えますと、個人事業主の方も基本的には7年間が保存期間と覚えておくと良いかもしれません。

電子帳簿保存法は2022年と2023年に改正!

先ほど解説した電子帳簿保存法は、実は何度も改正されています。

  • 2022年の改正内容
  • 令和5年税制改正に伴い再度変化

2022年の改正内容

多くの書類を対象にしている電子帳簿保存法は、2022年に改正されています。詳しくは以下の通り。

電子帳簿保存法保存区分 2022年改正の内容
電子帳簿等保存 1.税務署長の事前承認制度が廃止
2.優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置を整備
3.最低限の要件を満たす電子帳簿についても、電磁的記録による保存が可能
スキャナ保存 1.税務署長の事前承認制度が廃止
2.適正事務処理要件が廃止
3.タイムスタンプの要件が緩和
4.検索要件が緩和
5.不正があった場合の重加算税の加重措置を整備
電子取引データ保存 1.タイムスタンプの要件が緩和
2.検索要件が緩和
3.電子データでの保存が義務化
4.申告漏れ等に課される重加算税が10%加重される措置を整備

引用元:国税庁|電子帳簿保存法が改正されました(2023年7月12日時点)

加算税措置もありますが、全体的に緩和されていることがわかります。

事前承認制度や適性事務処理要件が廃止されたことにより、電子保存を始める際のハードルが明らかに下がったと言えます。その分ディスプレイの購入やシステム導入の準備などに時間をかけられることでしょう。

その他にもタイムスタンプや検索要件が緩和されています。このことにより、実務面においても負担が軽減されたといえるでしょう。これを機に、国税関係帳簿書類の電子保存を検討してみてください。

ただし上述しましたように、スキャナ保存と電子取引データ保存における各要件は若干異なりましたよね。画像データに関する指定の有無などが、その代表的な例です。そのため、事前に各保存要件をよく確認しておくことを強くおすすめします。そうすれば、正しく保管管理することができます。

令和5年税制改正に伴い再度変化

実は電子帳簿保存法は令和5年税制改正に伴い、もう一度改正されました。詳細は以下の通りです。

電子帳簿保存法保存区分 令和5年度税制改正大綱の内容
電子帳簿等保存 1.「優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置」となる書類の見直し。
スキャナ保存 1.解像度・階調・大きさに関する情報の保存が不要。
2.入力者等情報の確認要件が不要。
3.帳簿との相互関連性の確保が必要な書類が重要書類に限定。
電子取引データ保存 1.検索機能が不要とされる対象者の範囲が、準期間(2課税年度前)の売上高が「1,000 万円以下」の保存義務者から「5,000 万円以下」の保存義務者に拡大。
2.対象者に「電子取引データをプリントアウトした書面を、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理された状態で提示・提出することができるようにしている保存義務者」が追加。
3.入力者等情報の確認要件が不要。
4.令和4年度税制改正で措置された「宥恕措置」は、適用期限(令和5年 12 月 31 日)をもって廃止。
5.改ざん防⽌や検索機能など保存時に満たすべき要件に沿った対応は不要となり、電子取引データを単に保存しておくことができる。

引用元:国税庁|電子帳簿保存法の内容が改正されました〜令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要〜(2023年7月12日時点)

どの保存区分も条件が緩和されていることがわかります。しかしその中でも最大のポイントが『電子取引データを単に保存しておくことができる』です。

どういうことかといいますと、今までは宥恕措置(簡単に言うと経過措置)に過ぎなかった『紙に出力して保存しても良い』というルールが、2024年1月1日以降も認められるようになったのです。宥恕措置の内容が電子帳簿保存法の本則(82ページ|(3)の②)に盛り込まれたからですね。

「それなら電子保存をしなくてもよいのでは?」と思うかもしれませんが、そうはいきません。なぜなら紙に出力して保存することが認められるのは、以下2つの条件を両方満たす場合に限られるからです。

イ:保存時に満たすべき要件に従って電子取引データを保存することができなかったことについて、所轄税務署⻑が相当の理由があると認める場合(事前申請等は不要)
ロ:税務調査等の際に、電子取引データの「ダウンロードの求め」及びその電子取引データをプリントアウトした書面の提示・提出の求めにそれぞれ応じることができるようにしている場合

引用元:国税庁|電子帳簿保存法の内容が改正されました〜令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要〜(2023年7月12日時点)

ダウンロードに関しましては大丈夫でしょう。問題なのは『所轄税務署⻑が相当の理由があると認める場合』です。具体例が提示されていないため、『どのようなケースならOKでNGなのか?』がまったくわかりません。

そのため「大丈夫だろう」と高をくくって紙保存をしても、「このケースだと紙保存は認められません。電子保存をしてください」と税務職員に言われる可能性があります。

そうなりますと数年分の各文書を、短期間で一気に電子保存することを求められるかもしれません。これでは現場の負担が重すぎますよね。このような事態を避けるためにも、それこそ『相当な理由』がない限りは、電子保存することを強くおすすめします。

電子保存はメリットもあるが、デメリットもある

国税関係書類として、保存を義務化されていた書類の種類がこれだけの数あるということでも驚きです。

電子保存できれば、紙で保存する場合に確保しなければいけなかった保管スペースの問題が解消されるというメリットもありますが、電子保存するためには、取引先名・金額・日付で検索できるようにしなければならないというハードルがあります。

人が手作業で、検索用のデータを登録するのは、かなりの労力がかかります。DX推進として電子帳簿保存を始めたのに、人の作業が増えてしまっては本末転倒です。
そこで今、注目されているのは、AI-OCRを利用して、検索データを自動生成するという方法です。AI-OCRとは画像データをAIが読み取り、画像内の文字をテキストデータとして抽出してくれる仕組みです。

株式会社インフォディオで提供する「DenHo(デンホー)」でもAI-OCRは標準搭載されており、電子帳簿保存の検索データを自動で生成するため、運用の負担なく国税関係書類の電子データ化が実現可能です。AI-OCR搭載の電子帳簿保存システムを検討の際にはDenHoも候補に入れていただければ幸いです。

意外に大変なのは書類の仕分け

AI-OCR搭載の電子帳簿保存対応システムはどれも、検索用のデータが自動で作成されることをメリットとしてうたっており、便利であることは間違いありません。

しかし、実際に導入してみると、導入前には気づかなかったことに遭遇することはよくあるようです。
例えば、書類の仕分けがその一つです。

対象の書類の種類が多くなると、書類の種類を区分するディレクトリ(またはグループ区分フラグ)などがたくさん必要になります。

保存の際は書類の種類別に人の手で仕分けして保存する製品が多くを占めます。

すると、保存の際、目的の書類の区分を見つけ選択する(または目的の書類のディレクトリを開く)のに手間がかかるようになります。

また、保存時に書類の種類を間違えて保存することも増えるようになります。

さらには、書類の中には、納品書兼請求書とか、請求書兼領収書のように、1枚の書類で複数の種類区分に分類することができるものが現れることもあり、その都度、運用方法に頭を悩ませることも増えるようになります。

ちなみに株式会社インフォディオで提供する「DenHo(デンホー)」では、AIが書類の仕分けを自動で行うため、仕分けに人の手を煩わせることもありません。また、DenHoでは、タグとして書類を分類しているため、一つの意書類に複数種類の区分を付与することも可能であり、運用方法に悩むこともなく誰もがわかりやすいシンプルな運用が可能です。

書類の仕分けという視点でも電子帳簿保存システム選びで気を付けてみることをお勧めいたします。

電子帳簿保存法の対象書類にてよくある質問

ここでは電子帳簿保存法の対象書類に関して、よくある質問を解説していきます。

  • 電子帳簿保存法とe-文書法は対象書類が違うのですか?
  • 電子帳簿保存関連の公的資料はどこで確認できますか?
  • スキャナ保存などの制度のことをもっと知りたいのですが

電子帳簿保存法とe-文書法は対象書類が違うのですか?

電子帳簿保存法とe-文書法は対象書類が違います。詳しくは以下の通り。

異なる点 電子帳簿保存法 e-文書法
対象書類 国税関係帳簿書類 様々な文書
具体例 仕訳帳
領収書
納品書
見積書
など
診察記録
免許証
建築図面
預金通帳
など

電子帳簿保存法は確かに電子保存に関する法律なのですが、あくまで国税関係帳簿書類のみを対象とした法律です。そのため国税関係帳簿書類に該当しない書類は対象外。例えば医療機関に保存されているカルテを電子保存する際は、電子帳簿保存法を守る必要はありません。

その一方でe-文書法は以下のように、『民間事業者が行う文書』すべてが対象書類になっています。

民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(以下「e-文書法」という。)は、民間事業者が行う文書の保存、作成、閲覧等について、原則として電磁的記録によることを可能とするもの。

引用元:厚生労働省|民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う省令の整備について(2023年7月12日時点)

定款や株主総会議事録など、今では多くの書類を電子保存することが認められていますよね。それは電子帳簿保存法ではなく、e-文書法のおかげということ。

もちろんe-文書法の対象には、国税関係帳簿書類も含まれています。しかしe-文書法は国税関係帳簿書類に特化した内容ではないため、実務では電子帳簿保存法の内容を確認することが多くなるでしょう。

電子帳簿保存関連の公的資料はどこで確認できますか?

電子帳簿保存関連の公的資料は、国税庁で確認できます。国税庁のオフィシャルサイトであれば、以下をチェックできます。

電子帳簿保存法の概要
パンフレット(過去の主な改正を含む)
関係法令・取扱通達等
届出等の様式
一問一答(Q&A)
制度創設等の背景
JIIMA認証情報リスト
要件適合性に関する事前相談窓口

引用元:国税庁|電子帳簿保存法関係(2023年7月12日時点)

国税庁のサイトには電子帳簿保存法改正後の資料も豊富に掲載されているため、より正確な情報を簡単にゲット可能。一問一答形式のオフィシャル資料も用意されているため、重要ポイントを端的に把握できます。
それだけでなくJIIMA認証※情報リストをチェックすることも可能です。
※JIIMA認証とは、一般販売されているシステムやサービスが電子帳簿保存法の要件を満たし、法的要件を満たしていると判断されることを指します。

弊社のDenHoもこのJIIMA認証リストに登録されているため、安心してご利用ください。

なお、万が一これらをチェックしてもわからないことがある場合は、『国税庁|国税に関するご相談について』から問い合わせてみてください。税務職員が対応してくれます。

スキャナ保存などの制度のことをもっと知りたいのですが

電子帳簿保存法のスキャナ保存や電子取引データ保存制度のことをもっと知りたい場合は、『国税庁|電子帳簿等保存制度特設サイト』を確認してみてください。

このページからスキャナ保存・電子取引データ保存・電子帳簿等保存に特化したページに移動できるため、非常に便利です。このページをお気に入り保存し、必要なときにいつでもチェックできるようにしておくと良いでしょう。

ちなみに『国税庁|電子帳簿等保存制度特設サイト』ではそれだけでなく、以下の切り口で電子帳簿保存法を調べることも可能です。

  • 法令
  • 取扱通達
  • Q&A
  • 制度の概要
  • パンフレット・紹介動画
  • 届出様式

制度ではなく別の切り口から情報を探すことで、今までは知らなかった情報に出会えるかもしれません。

また電子帳簿保存法関連の動画も用意されているため、活字を読むのが苦手な場合でも情報収集がはかどります。ご参考ください。

まとめ 電子帳簿保存法の対象書類は多い

ここまで電子帳簿保存法の対象書類について解説してきました。上述しましたように、電子帳簿保存法の対象書類は非常に多いです。国税関係帳簿・決算関係書類・取引関係書類など、多岐にわたります。

そのうえ取引関係書類は重要度が3つに分かれています。そして何より、重要度によって電子帳簿保存法の保存要件が若干変化していましたよね。例えばスキャナ保存要件における『カラー保存』項目にて、一般書類は白黒で保存可能と記載されていたのが代表例です。

このように電子帳簿保存法の同じ対象書類であっても、その重要度によって話が変わる部分もあります。電子帳簿保存法の対象書類を電子保存する際は、気を付けてくださいね。

また電子保存をするのであれば、ぜひ弊社のDenHoをお使いください。DenHoであればAIにより自動で帳票の種類を仕分けてくれます。面倒な仕分け作業を自動化できるということで、業務の効率化をスムーズに推進できます。ぜひご検討ください。

電子帳簿保存システムDenHo
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