工事依頼書の入力を自動化。FAX受信後最短3分の連絡で顧客満足度向上に寄与
OCRの対象帳票
工事依頼書
工事依頼書の入力を自動化。FAX受信後最短3分の連絡で顧客満足度向上に寄与

フジテックメンテナンス株式会社は、一般家庭用および業務用厨房機器の企画から開発設計、生産、販売、アフターサービスまでを一気通貫で行う
富士工業グループの一員です。同社は主に製品の修理やアフターメンテナンスに従事。自社製品のほか、ODM製品や他社製品まで広く請け負っています。
1日に約100件届く工事依頼書に迅速に対応して顧客満足度を高めたいと、スマートOCRを導入。受付処理を自動化して、
FAX受信後の顧客への連絡が最短3分ほどでできるようになりました。カギとなったのはデスクトップアプリ「スマートOCRローダー」。
自社システムと組み合わせ、CSVインポートまで自動化しています。導入わずか7カ月で当初の目的を達成し、繁忙期の残業も減ったとお話しくださいました。
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- 課題
- 工事依頼書の入力に追われ、手入力によるミスも発生
- 顧客満足度を向上したい
- 入力だけでなくダウンロードまで自動化したい
- 多種多様な帳票に対応できるAI-OCRが必要
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- 解決策
- スマートOCRを導入し、入力を自動化
- スマートOCRローダー(アプリ)を活用
- キー・バリュー方式でテンプレート作成
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- 効果
- 受付担当者はデータ確認後、受付連絡からスタート
- 催促や問い合わせの電話が減った
- 自社システムをスマートOCRに合わせ、インポートまで自動化できた
- テンプレートの振り分けまで自動で手間いらず
自動化と多種多様なフォーマットへの対応が必須。奇跡的にマッチしたのがスマートOCRだった
初めに事業内容とお二人の役割を教えていただけますでしょうか
川村さん:富士工業の創立は1941年で、カンパニー制となった2001年に当社の誕生となりました。
一般および業務用厨房機器の企画から開発設計、生産、販売、アフターサービスまで一気通貫で行う富士工業グループのメンテナンス部分を担っています。
私はアフターサービス課に所属し、自社製品のみならず、ODM製品や他社製品のアフターメンテナンスの受付を担当しています。
河井さん:工事依頼は年間2万件以上あります。スマートOCR導入時は川村と同じ部署でしたが、現在はグループ会社の富士工業販売で商品の販売に携わっています。
スマートOCRを導入することになったきっかけは何だったのでしょうか
河井さん:修理を依頼する工事依頼書はFAXで届き、1日約100件を20人弱で受け付けます。
ペーパーレスの流れで、受信したFAXは出力せずフォルダ保存になりましたが、依頼内容のシステムへの入力は手入力が残っていました。
得意先ごとに異なる書式の依頼書を一つひとつ確認しながら必要な30項目を自社システムに手入力し、依頼元である顧客に受付完了の連絡を入れ、
修理先やサービス店に連携する流れです。修理の依頼は迅速な対応が必須です。数件が同時進行し、常に入力に追われている状況でした。
この入力作業を効率化して、初動までの時間を短縮し、顧客満足度の向上につなげたいと考えたのがきっかけです。
初めからOCRを検討されたんですか
河井さん:初めはEDIを使ってデータ連携することを考えました。
ですが、顧客側もEDIを導入する必要があるため、顧客に影響を及ぼさない方法にしようとAI-OCRを利用することにしました。
資料を集め、5~6社と打ち合わせをしました。選定の要件は、①処理を自動化できること、②顧客によって異なるフォーマットに対応できること――でした。
①の自動化については、FAX保存後のOCRからCSVダウンロードまでを自動で処理できることが大前提でした。
②は、取引先数がとても多いため、エリア指定ではない抽出方法のOCRを探しました。
その2つの要件を満たしたのがスマートOCRだったんですね
河井さん:はい。要件を満たす製品がなければ手入力を続けるか、EDIを進める予定でした。 インフォディオは営業の方が当社の要件を理解し、実際の運用に向けた相談にも乗ってくれ、非常に献身的でした。 デモで抽出方法を見たところ、いったん帳票上の全ての項目を読み取り、 条件を付けて必要な情報だけを抜き出すという方法が非常にニーズに合いました。 また、アップロードからCSVダウンロードまで自動化できるデスクトップアプリがあると説明を受けました。 スマートOCRだけが当社の要件に奇跡的にマッチしたので、早速トライアルに進みました。
トライアルはいかがでしたか
河井さん:実はAI-OCRの選定要件で、読み取り精度は重視していなかったんです。 99.8%の高精度と言っても、100%でなければチェックは発生するからです。100%以外はどれも変わらないと思っていました。 ところが使ってみると、予想以上の正確さでした。読み取り結果はもちろんですが、印鑑を除去して読み取りますし、小さな手書き文字でも精度が高く、ほぼ問題ありませんでした。

システム側を変更しインポートまで自動化。繁忙期の残業も大幅に減った
導入後は、どのような手順で使っていらっしゃいますか
河井さん:受信したさまざまなFAXはSMB転送で指定のフォルダに入ります。工事依頼書を専用フォルダに移動させると、スマートOCRローダーが自動でアップロードしてOCRをかけて抽出し、CSVダウンロードまで行います。 CSVを格納するフォルダをシステム側が監視していて、格納されたら自動でインポートする手順です。 受付担当者はシステムを開いてデータと原本のpdfを突合チェックし、修正が必要な場合は修正し、顧客に受付完了の連絡をします。以降は同じ手順です。
導入後の効果はいかがでしょうか
川村さん:導入前はFAXが届くたびに手入力していましたし、入力ミスもありました。FAXを受信してから受付完了の連絡をするまで、状況によっては30分~1時間かかることもあったんです。
急ぎの案件が多いため、連絡が遅れると催促でもう一通届くこともあり、同じものを重複登録してしまうことが発生していました。
今はシステムに取り込んだデータとpdfをさっと見比べるだけで、次の作業に移れるためとても大きな業務効率化になっています。催促を受ける前に動けるのでスタートでつまずくことがなくなりました。
河井さん:ローダーアプリによる自動アップロードが1分間隔、当社システムがCSV格納フォルダを監視するのが1分間隔です。担当者振り分けの時間を入れてもFAX受信後最短3分ほどで受付完了の連絡ができています。
導入前は早くても10分はかかっていました。初動までの時間が1/3以下になっただけでなく、手入力がなくなったことが波及して、総電話件数や問い合わせへの対応も減りました。
また、年末から2月末ごろまでの繁忙期は、例年21時近くまで残業することが多かったのですが、今年はほぼ19時には誰もいなくなっていました。就業時間中は忙しくても、以前より早く帰れるようになっています。
働き方改革にもつながったのですね。どのようにして自社システムに取り込むまでを自動化したのでしょうか
河井さん:システムのプログラム修正のタイミングに合わせて導入したんです。スマートOCRができること、できないことを営業の方にしっかり確認し、できないことは自社プログラムをスマートOCRに合わせました。 スマートOCRができることはCSVダウンロードまでだったため、システム側からCSVを取りに行くように作り、プログラム修正が終わる数か月前にスマートOCRを導入して、1~2カ月間テストしました。 導入時は費用面も選定条件で上がりましたが、業務改善効果の見込みがあったので、多少高くなっても問題ありませんでした。
スマートOCRで気に入っている機能などはありますか
河井さん:ローダーアプリですね。導入の決め手になったと言っても過言ではありません。朝出社して、アプリをインストールしているPCと、CSVの保存フォルダを監視しているPCの電源を入れるだけで処理がスタートします。
アプリは原本のpdfも指定フォルダに入れてくれるので非常に便利です。CSVとpdfを紐づけてシステムに取り込むことができ、一つの案件を開くとpdfも並んで表示されるようにしました。データの確認がスムーズにできます。
料金プランで、100枚ずつ追加OCRを購入できるのもいいですね。月によって依頼件数が変わるため、通常期に合わせたプランで契約し、必要枚数を追加すればランニングコストを抑えられます。
テンプレートの作成についてはいかがですか
河井さん:最初に2種類作ってもらい、それを参考にしながら自分たちで作っています。私がハンズオン講習会に参加して作成方法を学び、習得したことをメンバーにレクチャーすることもあります。今は4種類ほどを使っています。 テンプレートは条件の指定も簡単で多種多様な書式にフレキシブルに対応でき、自動振り分けもできるのでとても助かっています。 いかにレスポンスよく受付するかということを目指していたため、現時点で目標達成できています。
ほかの部署でもご活用いただけそうでしょうか
河井さん:私が所属している富士工業販売は、商品の受注を扱います。FAXでも注文が入りますので、導入を検討しているところです。
ありがとうございます。今後の目標を教えていただけますか
川村さん:利用開始7カ月で、テンプレート対応できている依頼書は全体の70%くらいです。
この割合を増やしてさらに業務効率化を進め、手入力をなくしていきたいです。
河井さん:AI-OCRやEDIなどを活用し、受付はもちろん修理対応における初動速度を向上させることで、
修理を必要とされている方に対し迅速な対応を行い、さらなる顧客満足度向上につなげたいと思っています。
ステークホルダーの期待やニーズを正確に理解し、それに応えるためにITテクノロジーを適正に活用して、
人の暮らしや社会に本物の快適さを提供できるよう取り組んでいきます。
※インタビューの内容は取材時のものになります。
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